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米海軍が長崎県・佐世保基地に配備している強襲揚陸部隊に、巡航ミサイル「トマホーク」搭載のイージス艦などを加え、「遠征攻撃群」を新設する計画を進めていることが4日、日米軍事筋の話で分かった。上陸作戦を担う同部隊にミサイル攻撃能力を持たせ、海兵隊の即応性・機動性を高めた新しい艦隊編成。ブッシュ米政権の打ち出した先制攻撃戦略の実行部隊にも位置付けられ、佐世保配備によって朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)に強い圧力を与える狙いがある。
米海軍第7艦隊のロバート・ウィラード司令官は同日、毎日新聞の取材に応じ、遠征攻撃群について「米海軍の変革・再編(トランスフォーメーション)の一環だ」と配備計画を認めた。海軍の強襲揚陸部隊は海兵隊の兵員、装備、物資を載せて上陸作戦を実行。これまでの標準的な編成は対地攻撃能力は持たず、部隊が攻撃を受けた場合の防護能力も乏しかった。
新たに編成する遠征攻撃群(ESG)は、従来の強襲揚陸部隊にトマホーク搭載のイージスミサイル駆逐艦・巡洋艦、攻撃型原子力潜水艦など戦闘艦艇4隻を加えて構成。艦隊防護能力を備えることで即応性と遠征能力が高まるうえ、トマホークで対地攻撃をしながら海兵隊を上陸させることが可能となる。
在韓米軍の再編が進む中、佐世保基地は対北朝鮮の強襲揚陸のための展開拠点に位置付けられる。さらに在沖縄海兵隊の編成にも影響を与える可能性がある。
米海軍は12個ある強襲揚陸部隊を順次、遠征攻撃群に改編する。当面は太平洋艦隊で2個、大西洋艦隊で1個の遠征攻撃群を配備。太平洋艦隊の1個は佐世保基地を母港とする強襲揚陸艦「エセックス」が中核となる。出撃の際は同基地と神奈川県・横須賀基地の艦艇に、在沖縄海兵隊を乗せて強襲揚陸作戦を行うことが予想される。【宮下正己】
◇ウィラード司令官に聞く
米海軍第7艦隊のロバート・ウィラード司令官は4日、神奈川県横須賀市の米海軍横須賀基地の旗艦ブルーリッジ司令官執務室で毎日新聞のインタビューに応じ、日本を拠点とする米軍の役割などについて語った。【聞き手・清宮克良、宮下正己】
――第7艦隊の任務は。
◆任務の一つは、海軍の運用、特に朝鮮半島で何かあった時に、在韓米軍のもとで海軍関係のことを支援することだ。
――佐世保基地に遠征攻撃群を新設という話があるが、その狙いは何か。
◆米軍が進めているトランスフォーメーション(軍の変革・再編)の一環。(北朝鮮を含め)あらゆる緊急事態に対し優れた戦闘能力を持つことになる。今、即応性を考えて、空母もそうだが、戦力をできるだけ(米本土から)前方に動かしたほうがいいという考えはある。
――9・11米同時多発テロの前後で任務は変化したか。
◆9・11以降、海上での対テロの作戦を実施しろといわれれば、即応できるような体制に我々は持っていかなければならない。具体的には、臨検のような形だ。さらに、今までの準備体制を強化した。海上交通の護衛により注意を払い、自分たちの警備レベルも上げた。
――空母キティホークが中東に派遣され、カールビンソンが日本周辺に来た。北朝鮮有事の「空白」を生まないことが目的か。
◆米国政府としては、この地域の重要性を理解している。できるだけここに関与し、責任を果たすことが重要と考えている。カールビンソンが来たのは、キティホークがいなくなった空白を埋めるためだ。現在、キティホークが修理でドックに入っている状況だから、カールビンソンはこの辺りに継続して運用されている。
――キティホークが08年で退役し、原子力空母が横須賀を母港にすると言われるが。
◆どの空母かというのは米政府の中で検討している。どの空母ということが決まれば、これまで前方展開戦力の交代という時に日本政府といろいろと調整や話し合いをしてきたように、同じように調整する。
――代わりに配備されるのは原子力空母しかあり得ないというとらえ方でいいのか。
◆08年で退役が決まっている。今海軍は(世界で)12隻の空母を持っているが、11隻が原子力で、1隻が通常型のジョン・F・ケネディだ。いつどういう形で持ってくるかというタイミングと、船の年齢、どのくらい(日本に)置いておいて、どういうふうに活躍させるのかということが重要だ。そして米政府が考えなければいけないのは、一番状態のいいものを持ってきて、前方展開戦力を北東アジアで運用できるように考慮しなければいけない。
――日本には原子力空母への懸念がある。
◆日本側の核問題に対する感情は私も理解できる。ただ、核兵器としての核と、いわゆる動力としての核は違う。理解してもらいたいのは、我々としては安全面での完ぺきな歴史を持っているから、また今の議論をする時には、現代の核を動力として使うということの技術的な進歩も理解してもらったうえで、二つを区別してやってほしい。
――イラク参戦したキティホークの艦長が海自補給艦から間接給油を受けたと発言して政治問題化した。
◆ともかく、海自がやってくれたことは素晴らしく、非常に誇りに思っている。あれだけやってもらい、これが対テロの戦いということで、いろんな形で貢献してもらった。
◇米海軍第七艦隊とは
米海軍横須賀基地(神奈川県横須賀市)に司令部を置き、日本周辺海域をはじめ、西太平洋、インド洋を担当。旗艦ブルーリッジ、空母キティホークなど。米太平洋艦隊(司令部・ハワイ)の指揮下に第七艦隊と第三艦隊がある。
[毎日新聞8月5日] ( 2003-08-05-03:00 )
http://www.mainichi.co.jp/news/flash/seiji/20030805k0000m010125000c.html