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IRAQ
Finding WMDs
Updated: June 18, 2003
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ブッシュ政権は、イラクの大量破壊兵器(WMD)の存在についての情報を誇張していたのか。
「今日にいたるも、備蓄されていると思われているWMDを発見できずにいる以上、ブッシュ政権がイラク戦争に踏み切った大義は成立しない」と考える人々は、イラクのWMDに関する情報は誇張されていたとみている。ワシントンの高官は、WMD開発容疑だけで戦争に踏み切ったわけではないと反論し、いずれWMDは発見されると自信を持っている。
もしWMDが発見されなければ、ブッシュ政権はどのようなダメージを受けるか。
収集された情報、情報分析とその利用に関する政府の質が問われることになる。将来における国際紛争でも、アメリカが提供する情報の信頼性が疑われることになるかもしれない。上院軍事委員会のメンバーであるカール・レビン(ミシガン州選出、民主党)は六月十五日付けのデトロイト・ニュースによせた記事で「軍事行動、それも先制攻撃による軍事行動を起こすことへの国際的支持は、アメリカが戦争の根拠として示す証拠を、世界が信頼できるものとみなすかどうかで左右されるだろう」と指摘している。
WMDが見つからないことで米世論はブッシュ政権批判を強めるだろうか。
ブッシュ政権が国内での支持基盤を失いつつあると言う者もいる。六月十一日と十二日に実施されたCBSニュースの調査によると、五八%のアメリカ人がWMDの証拠を見つけることが重要だと答え、四四%がアメリカ政府は脅威を誇張していたと答えている。だが、同じ調査においてもブッシュ大統領の支持率は六六%と高く、ほぼ同じ比率の人々がWMDは見つかると確信していると答えている。
脅威を誇張していたという批判にブッシュ政権はどう応えているのか。
「情報を誇張したのではないか、あるいは、戦争をしやすいように都合のよい情報を峻別したのではないか」といった批判に対して、ブッシュ政権は、そのような事実はないと否定している。ブッシュ政権は、民主党のビル・クリントンなど、他のアメリカの指導者たちも、イラクがWMDの開発を行っているとこれまで長く主張してきたと指摘している。
六月上旬にテレビのトークショーに出演したコンドリーザ・ライス大統領補佐官とパウエル国務長官は、ブッシュ政権の主張を擁護した。大統領も六月九日に「イラクは兵器開発プログラムを持っていた」と指摘し、「この十年間における情報はイラクが兵器開発プログラムを持っていたことを示している。イラクが兵器開発プログラムを持っていた証拠をいずれ突き止められることを私は確信している」と発言した。
この問題をめぐってブッシュ政権を批判しているのは誰か。
強力な批判を展開しているのは、レビン上院議員、上院外交委員会・委員長のジョセフ・バイデンなど議会の民主党議員で、彼らは「ブッシュ政権の高官たちは真実に脚色を加えた」と語っている。レビンは、戦争前の段階で、政府がイラクの兵器関連の情報をどのように利用したのか、超党派の姿勢で究明することを求めている。
米議会は調査するだろうか。
上下両院とも、イラクの兵器に関する情報について公聴会を近く開く予定だ。
この他にも真相究明の試みは行われているか。
イギリス議会も戦争前のイラクの兵器に関する情報の洗い直しを行っている。トニー・ブレア首相はイラク戦争をめぐるブッシュ大統領の盟友だった。だが、イギリス世論の大半は戦争に反対していたし、ブレア政権がイラクのWMD開発の証拠として示した一連の文書は厳しく批判されている。批判勢力は、とくに、イラクがニジェールから大規模なウランを輸入しようとしたという情報源についてブレア政権を強く批判している。イギリス政府は二〇〇二年九月に、こうした主張の裏付けとしての文書を公表したが、この文書はねつ造されたものであることが発覚した。ニジェールのケースについては、ブッシュ大統領も年頭教書演説で引用している。
ブッシュ政権が戦争を正当化するために示した根拠はどのようなものだったか。
ブッシュ政権は、サダム・フセインが、数多くの国連決議を踏みにじって非通常兵器を持っていると主張して、戦争論を正当化した。この他にも、イラクを残忍な独裁者から解放・自由化すること、サダム・フセイン政権がアルカイダその他のテロ集団にWMDを提供する恐れがあることを、戦争を肯定論の根拠にあてた。こうした主張は、ブッシュ大統領の二〇〇三年の年頭教書演説、二〇〇三年二月五日のコリン・パウエル長官の国連安保理での演説でも披露された。
イラクが、禁止されている兵器開発プログラムを持っていることの裏付けとして何が示されたのか。
この点に関する動かぬ証拠を持っていなかったために、ブッシュ政権の高官ら、戦争肯定派はイラクの罪の間接的立証を試みた。彼らは、禁止されている兵器、あるいはそれを作るための物質をイラクがかつて保有していたことを指摘し、兵器及び兵器関連物質について信頼できる説明を行っていない事を問題として指摘した。ブッシュ政権は、兵器を解体したのなら、イラクの主張を裏付ける物的証拠、記録、証人を提供すべきだと主張したが、サダム・フセインはこれらの情報を提供しなかった。
これまでにイラクでWMDは発見されていないのか。
アメリカ人の査察チームは、「おそらくは生物兵器の生産に使われていたとみられる」二台のトレーラー施設を発見している。だが、情報当局の一部は、こうした査察チームの見方に否定的だ。米中央情報局(CIA)は六月十一日、WMDの探索のために、元査察官のデビッド・ケイをイラクに派遣すると発表した。ケイは、千四百名のスタッフで構成されるペンタゴンの探索チーム、イラクサーベイグループと活動をともにする。
なぜイラクでWMDは発見されないのか。
ブッシュ政権に批判的な勢力は、「発見されても少数、悪くすれば何も発見できないかもしれない」と主張している。だがラムズフェルド国防長官は、五月二十七日の米外交問題評議会での演説で、「イラクはカリフォルニア州と同規模の大きな国であり、すべての場所を見て回るのは容易ではない」と指摘し、「まだ調査していない生物・化学兵器、核兵器関連の施設と思われる場所が、それこそ山のようにある」と述べた。ラムズフェルドその他によれば、「有望な手がかり」が数多く残されている。
イラクのWMDが存在することを示す手がかりとして、どのようなものがあるか。
ブッシュ政権の高官らは、「イラク人科学者その他の違法な兵器開発プログラムに関与してきた人物たちへの聞き取り調査によってイラクの兵器庫の全容が明らかになる」と強調している。サダム・フセイン時代の反体制派グループであるイラク国民会議(INC)の共同創設者アハマド・チャラビは、「どこに兵器があるかを知っている技術者、科学者が数千名はいる」と発言している。探索チームが発見した技術文書が手がかりになると言う人もいる。米政府のある高官はワシントン・ポスト紙に「イラクにWMDは存在しないと言っている人々は、数週間、数カ月してWMD関連物質が特定されれば、困惑を禁じ得ない状況に直面するだろう」と語っている。
http://www.foreignaffairsj.co.jp/source/Iraq/WMD.htm