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7月8日付・読売社説(1)
[イラン原油]「優先すべきは核疑惑の解消だ」
日本企業によるイランの石油開発に、米国政府が反対姿勢を示している。二十億ドルとも推定される契約金が渡ったら、イランの核兵器開発が加速する、との懸念からだ。
日本国内では、「民間企業の自由な経済活動に対する不当な干渉」と、米国に反発する声もあがっている。
しかし、北朝鮮の核開発が最大の脅威になっている日本にとって、核拡散の防止は、目先の経済的利益より優先すべき安全保障上の課題である。
今は、イランが自ら核疑惑を晴らすよう、国際的な圧力をかけるべき時だ。イランが国際原子力機関(IAEA)と追加議定書を締結し、抜き打ち査察の受け入れを確約するまで、石油開発交渉を凍結することもやむを得まい。
問題の油田は、イラク国境とのほど近くに広がるアザデガン油田だ。埋蔵量は世界最大級とされる。
国際石油開発と石油資源開発が、二〇〇〇年に優先交渉権を獲得し、正式契約に向け、具体的な開発計画や金銭的な条件などをイラン側と折衝していた。
両社は、共に石油公団を筆頭株主としており、事実上は経産省が主導する国家プロジェクトと言うことができる。
最近になって、ライス大統領補佐官や国務省のアーミテージ副長官が、相次いでアザデガン計画に難色を示した。「今はいかにもタイミングが悪い」「イランに(核開発容認の)誤ったメッセージを伝える」など、厳しい内容だ。
イランは、ロシアの支援で建設中の原子力発電所と同様、すべての原子力開発を平和利用が目的と説明している。
しかし、軍事転用も可能なウラン濃縮や重水製造を手がけるなど、疑惑の行動が目に付く。中国からのウラン輸入に際し、IAEAへの申告漏れもあった。
こうした疑惑に対し、米国が国際包囲網の構築に乗り出したのは当然だ。責任はイランにある。日本は米国に言われるまでもなく包囲網に加わるべきだ。
イランは北朝鮮と異なり、IAEAにとどまるとの立場を崩していない。一刻も早く追加議定書を結び、平和利用に偽りがないことを証明してもらいたい。
その間、アザデガン計画を進めるのは望ましくない。「自主開発原油の拡充」という国策の推進は、イランが疑惑を解消してからでも遅くない。
日本が消極姿勢に転じれば、交渉権を欧州企業に奪われる懸念も生じる。対イラン国際包囲網の構築に当たっては“火事場泥棒”を許してはならない。そうした合意を盛り込む方向で、外交交渉に努めるべきだ。
(2003/7/7/22:33 読売新聞 無断転載禁止)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20030707ig90.htm