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【ベツレヘム樋口直樹】2日、市内中心部からイスラエル軍が撤退したヨルダン川西岸自治区ベツレヘムは、パレスチナ自治政府警察の再展開に伴い、久しぶりに活気を取り戻したかのように見えた。しかし、依然として郊外からにらみをきかせるイスラエル軍の存在に不満を訴える住民の声や、地元警察の治安維持能力を不安視する声も聞かれた。
カラーン、カラン、カラーン…。同日午後4時10分、イエス・キリストゆかりの聖誕教会が勢いよく鐘の音を鳴り響かせたのと前後して、濃紺の制服姿のパレスチナ警官や迷彩服姿の治安部隊が一斉に街へ展開し始めた。パトロールに出る警官らの顔はどれも、久々の出番に喜びをかみしめているようだった。
だが、住民の見方は冷めている。聖誕教会近くでファラフェルと呼ばれる中東風サンドイッチを売っていたハーテムさん(24)は「撤退なんてまやかしさ」と話す。「イスラエル軍はほんの数キロ先で街を遠巻きにしてる。これじゃ観光客は入ってこない」。ハーテムさんは売れ残りのサンドイッチに目をやりながらこう説明した。
中心部から撤退したイスラエル軍は隣接する北部地域に兵力を温存し、エルサレムとベツレヘムを結ぶ主要道路では依然として軍による厳しい検問が行われている。住民たちはごく限られた地域での自由を認められただけで、檻(おり)の中に閉じ込められているような状態に変わりはない。
軍に代わってパレスチナ過激派対策の責任を負うことになった自治政府警察にも不安が残る。イスラエル放送がベツレヘムの警察幹部の話として伝えたところでは、同幹部の部隊には56台の車両があったが、イスラエル軍に没収されたり破壊された結果、今では使用可能な車両は4台しかないという。
聖誕教会前の広場で警戒にあたっていた若い警官の一人は「治安維持は大丈夫かって? 自信はあるさ。インシャッラー(神がお望みなら)」と言って片目をつぶってみせた。
[毎日新聞7月3日] ( 2003-07-03-12:24 )
http://www.mainichi.co.jp/news/flash/kokusai/20030703k0000e030030001c.html