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【シドニー堀内宏明】イラクへの小麦輸出をめぐり、米国とオーストラリアが泥仕合を演じている。フセイン政権に締め出されていた米小麦業界が、過去の豪州の実績を「わいろの成果」と非難し、怒った豪業界が謝罪を求めて争いが表面化した。新生イラクの小麦市場には各国が参入にしのぎを削っており、戦争では盟友だった米豪の商戦も過熱している。
イラク人にとってナン(平形パン)の原料となる小麦は主食だ。豪州はイラク戦争前から国連の食料援助計画に基づき、各国の中で最も多い年200万トン、7億豪ドル(約560億円)前後を輸出してきた。米国も80年代末まで100万トン弱を輸出していたが、91年の湾岸戦争を機に経済制裁とフセイン政権の米国憎悪が重なり、米小麦は販路を断たれていた。
バグダッド陥落後、米国は「人道的支援の観点から小麦輸出を再開したい」と表明。豪州の生産者が脅威を感じていたところ、6月になって米小麦協会(USWA)がパウエル国務長官に密かに宛てた「陳情書」が発覚し、双方の対立は決定的になった。
陳情書は「豪州小麦の価格は不当に高い」と指摘し、「差額分がフセイン一族の口座にキックバックされているという情報もある」などとした内容。これにはトラス豪農林相も「事実無根であり、豪州の名誉を汚す行為だ」と強く反発し、豪小麦公社(AWB)はUSWAに謝罪要求を送りつけた。
国連の食料援助は9月に終わり、後は基本的に自由競争となる。民主化後のイラクでは小麦需要の急増が見込まれ、USWAにとっては米国が復興計画を主導する今が販路復活の絶好の機会だ。現地では戦勝国の米、豪のほか、フランス、カナダ、ロシアなどもシェア獲得に向けて猛烈なロビー活動を展開しているという。
この問題は米豪通商協議の議題にも上がり、今後も水面下で交渉が続く見通しだ。AWBのピーター・マクブライド広報担当は「これまでの豪州の輸出実績は小麦の品質の良さと、イラク国内で供給経路を開拓した努力が反映されたものだ。政府の補助金に依存してきた米国農家は市場というものが分かっていない。われわれが出した謝罪要求にも、何の返事もない」と怒りが収まらない様子だ。
[毎日新聞7月2日] ( 2003-07-02-18:16 )
http://www.mainichi.co.jp/news/flash/kokusai/20030703k0000m030021000c.html