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哲学クロニクル 第392号
(2003年7月1日)
姿を消した大量破壊兵器についての常識(1)
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イラクでは大量破壊兵器が発見されず、ブレア政権は苦境に立っているようです。
今回はこの問題をめぐるウォーラーステインのコメントです。
ところで哲学クロニクルのページで、「泡沫録」の掲載を始めました。ぼくの日
々の感想や日録です。あまりたいしたことは書いていませんが(笑)。
http://nakayama.org/polylogos/chronique/index.html
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姿を消した大量破壊兵器についての常識(1)
イマヌエル・ウーラーステイン
http://fbc.binghamton.edu/commentr.htm
アメリカ政府はイラクでいわゆる大量破壊兵器を発見できないでいるが、これは
ブッシュ体制にとっては困惑させられることだが、ブレアにとってはさらに大き
な悩みの種である。戦争を正当化しようと急ぐあまり、アメリカとイギリスの政
府が大袈裟に主張したのは明らかであり、おそらく嘘をついたのもはっきりして
いる。
これは重要なことだろうか。そして何を意味するものだろうか。これにはいくつ
もの疑問がからまっている。第一に、サダム・フセインはどんな武器をどの程度
まで所有していたのか、いつ取得したのだろうか。第二に、武器があったとすれ
ば、フセインはなぜ使わなかったのか。第三に、武器があったとすれば、今どこ
にあるのか。
第四に、ブッシュとブレアにとって、武器の存在がどれほど重要なものだったの
だろうか。第五にアメリカ軍がバクダッドに駐留する今、世界はこうした武器の
「脅威」から安全になったのだろうか。これは錯綜した問いであり、多くの人々
にとって、こうした問いが錯綜したままにしておくのが好都合なので、批判的な
分析には抵抗を示しているのだ。
まず、フセインはどの程度の大量破壊武器をもっていたのだろう。
ラムズフェルドは、戦争を始める前には、イラクに兵器があることをだれも疑わ
なかったのだから、今になって問題にすることはないと言い始めた。兵器はあっ
たし、今もあるし、いつかみつかるというわけだ。もちろん、開戦前に、兵器の
存在を疑った人はごくわずかしかいない。わたしだって疑わなかった。問題は、
兵器が世界にとって切迫した重要な脅威になっているかどうかだ。アメリカは脅
威だと主張し、世界の他の大部分の諸国は、アメリカの主張にかなり激しく反対
した。
いまからみると、サダムは戦争が始まる前の数ケ月に、それまでもっていた兵器
を破壊したようである。もちろん圧力のもとでやったことだ。しかしそれなら、
国連の査察が「効果を発揮している」というブリックス事務局長やフランス政府
の主張が正しかったことになる。最近アメリカは、核兵器の建造に関する文書を
庭に埋めて隠したというイラクの科学者を一人発見した。フセインは制裁が解除
されれば、核兵器を建造するつもりだったようだ。しかしだからどうだと言うの
か。
ところでフセインは本当に機能する大量破壊兵器を持っていたのだろうか。ブレ
アはフセインが45分間でこれを配備できると議会で発言していたことを思い出そ
う。それならなぜ兵器を使わなかったのか。兵器を使えば、軍事的にはある程度
の影響を与えることができただろう。アメリカが警告しているように、フセイン
が世界に脅威となる兵器を所有していたとすれば、この疑問には答えようがない。
考えられるのは、フセインが軍事的に敗北しても、強力な支援者たちを失いたく
なかったということくらいだろう。そこで支援者たちに逃げるように命じ、あと
で擾乱を引き起こそうと考えたかもしれない。この場合にはイラクで大規模な
混乱が発生し、アメリカはこれに政治的に対処できなかっただろう。それから
ゲリラ戦争というわけだ。フセインにしては賢明すぎる考えと思われるかもしれ
ないが、フセインがなにも計画しなくても、結局は同じことになっただろう。
フセインが大量破壊兵器を所有していたとして、今はどこにあるのか。二ケ月も
探して、庭に埋めた書類と、将来は生物兵器を製造するために使われたかもしれ
ないトラック二台しか発見できないというのは、あまりに少ないではないか。た
しかにイラクは広い国かもしれないが、アメリカは兵器の場所を示す秘密情報を
所有していたはずではなかったか。
シリアに隠れさているのだろうか。いや、そんなことはないだろう。そんな可能
性があれば、アメリカ軍がシリアを捜索しているはずだ。砂漠の地下施設に隠さ
れているのだろうか。そうかもしれない。しかしそれではアメリカ軍はなぜ、国
連の査察官に探させるのに、乗り気でないのだろうか。
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読者の方から前回の配信について、感想文をいただきました。皆様も、『マトリッ
クス・リローデッド』をごらんになった感想など、お寄せいただけると、うれし
いです。
|いつも楽しみにしています。
|政治の話では少し興味が向かなかったけれども、
|こういう話は、マトリックスなどでは話しやすいです。
|ボードリヤールの本は持っていますが読んでいません。
|ボードリヤールが言うことに別な面から功罪を述べられそうです。
|まず、一番基本的なことは、マトリックスの功罪ではなく、マ
|スメディアの功罪だということです。
|マトリックスはアニメになっているようです。
|僕はどちらも見ていないのですが、
|マスメディアによって出版されていくSFやその関係のアニメの
|実情が、偉人には分からないのでしょう。
|僕もしばらくアニメらしいアニメは見ていなかったのですが、
|シャーマンキングというアニメを勧められた形になり見てみました。
|ここの段階で、道徳や倫理はすでにありません。
|アニメを見るものは、これを自分なりに解釈しなければなりま
|せん。これをこのまま受け取って、青春期にこういうものを見
|てよいのかという問題がすでにあります。
|はっきりこのアニメで分かるのですが、
|アニメや、SFの歴史は、如何に優越するか、如何に支配するか
|としか僕には捉えられません。
|科学の歴史は青年や子供に無作為に入り込む。
|自分のいる時代の科学を知らされる。
|子供のころに植えつけられた科学に対して、肯定的に対応する
|。可能世界に対してどこまで実現できるか、どこまで捨てられ
|たものでその捨てられたものを食い続けることができるか、で
|しか自分を維持できなくなるのかもしれない。
|アニメオタクにもダブルバインドの心があります。
|1、実際の世界を信じているが、SFの可能性や捨てられたもの
|を食いあさる。現実に適合している。
|2、SFの可能性を成人してから、どこまで出来るか自分で確か
|める。SFを擬似イデアにする。
|アニマトリックスなど、アニメなど好きな人でも実際には、現
|実の世界に適合しています。不適合の人もいます。
|
|捨てられた可能性に食いつきそれを生きた可能性に取り戻すこ
|とが、究極的にはボードリヤールが懸念するところだと思います。
|哲学は、究極的には創造することに手を貸します。
|現象学がそうだし、
|分析哲学もそうでしょう。
|僕は思うのです。
|マトリックスなどでいかにして捨てたものから、道具としての
|人々を作り出すかということ。捨石を見つけること。
|僕には、分析哲学の手先と伝統的な哲学、あるいは現象学の手
|先と小競り合いをしていると見えます。
|マスメディアは功罪があるといえ、捨石の発見に貢献している
|ように思われます。
|僕はむしろ、マトリックスみたいなものがだめなら、何がよい
|のか、偉人に聞いてみたいと思うのが本心です。
|マスメディア自身を使ってよいことなど出来るのか。
|マスメディアに君臨している人たちに聞いてみたいです。
|だってそうでしょう、
|自分の過去を無理やり消すようなことです。
|いけないことだといっても、記憶にはあるのです。
|アニメと日常を区別して生きているのに、
|もちろん擬似イデアとしてみなさないことがないといえません
|が、ただの否定で終わるのは簡単すぎるように思われます。象
|徴交換と死あたりに明快な回答がでているならいいんですが。
|ぼくは、SFとか推理小説は好きです。
|アニメオタクには当然としてフィクションとして写っているも
|のをこのようにとる。
|当たり前のことが違う。
|感情に走りましたが事実です。
|
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ポリロゴス事務局
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(c)中山 元
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