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【イスラマバード西尾英之】インドとパキスタン両国が、イラクへの派兵をめぐって揺れている。それぞれ派遣に応じることで米国への協力姿勢をアピールしたい考えだが、国内にイラク攻撃自体の正当性を疑問視する見方が根強く、派兵反対の世論を抱える。米国が派兵という「踏み絵」で同国への貢献を迫るなか、自衛隊のイラク派遣に揺れる日本とも似た構図になっている。
◆パキスタン
今月24日、ブッシュ大統領との会談で総額30億ドルの経済支援を約束されたムシャラフ・パキスタン大統領は、その直後にに「国連主導のもとで」との条件付きながら、同国兵士約1万人をイラクに派遣する用意があることを表明した。
米国にとってイスラム教国のパキスタンの部隊派遣は、イラク攻撃がイスラム社会を敵にしたものではなく、イスラム教国を含む幅広い支持を得ているとの証しになる。さらに同じイスラム教徒のパキスタン兵なら住民との関係も改善できるとの思惑もあり、パキスタンの派兵を重要視しているとされる。
だがパキスタン国民の間では、米国のイラク攻撃を「イスラムへの攻撃」とみなす反米世論が圧倒的だ。イスラム教系野党は「派兵は米国の傭兵になることに等しい」などとするコメントを発表。英字紙「ニューズ」も「独立国家に対する武力侵攻の片棒をかつぐことになる」と、正当性に疑問を呈した。
ムシャラフ政権が派兵に応じれば住民の反米感情を刺激し、さらにイスラム原理主義勢力を勢い付かすのは確実だ。だが地元ジャーナリストの一人は「大統領の政治的後ろ盾は米国しかないのが実情。圧力が強まれば、国連決議がなくても派兵に踏み切る可能性もある」と指摘する。
◆インド
インドはイラクに約1万7000人を派遣することを検討している。実現すれば1万4000人を派遣している英国を上回る規模になる。
だが同国でも米軍によるイラク攻撃には反対世論が多数を占めた。英国の植民地支配を脱して独立した同国では、イラク攻撃を米英の新たな植民地主義の現れととらえる見方も根強い。24日には左派系のグジャラル、シン両元首相が「派兵はインドの名声に修復不能の傷を与える」との声明を発表した。
任務の危険性を指摘する声もあり、フェルナンデス国防相が派兵に慎重とされるなど、この問題は政府内部にも亀裂をもたらしている。バジパイ首相は今月下旬の中国訪問後に派兵の是非を決断するものとみられたが、帰国後の28日に開いた安全保障に関する非公式閣僚会議でもこの問題に言及せず、結論を先送りした。
[毎日新聞6月30日] ( 2003-06-30-22:27 )
http://www.mainichi.co.jp/news/flash/kokusai/20030701k0000m030116000c.html