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「ジェシカ・リンチ上等兵の救出」はペンタゴンが脚本・演出・制作したプロパガンダ映画だった。
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投稿者 安濃一樹 日時 2003 年 6 月 29 日 00:23:34:gmtaOzuBDmsKE

リンチ上等兵を救え!
米兵の救出劇にみるペンタゴンの情報操作


 四月二日午前三時、カタールに派遣されていた各国の記者たちは、中央司令本部からの電話で目を覚まされた。
 指令本部につめかけた記者たちを前に、米軍の報道を指揮するビンセント・ブルックス准将が、米兵の救出に成功したことを告げた。イラク軍の捕虜となっていたのは、第五〇七整備補給部中隊のジェシカ・リンチ上等兵だ。三月二三日以来、一九才の彼女は戦場で行方不明になっていた。
 ジェシカ救出のニュースは、新聞やテレビ・ラジオを通じて広く伝えられた。しかし、彼女の名声を決定的にしたのは、米ワシントンポスト紙の第二報である。
 四月三日、同紙は「彼女は死を決して戦いつづけた」という見出しで、つぎのように報じている。
 ──彼女は、銃弾がつきるまで勇敢に戦い、数人の敵を撃ち倒した。
 ──側にいた仲間たちが死んでいく。彼女も敵の銃弾に撃たれ、いくつもの傷を負った。それでも彼女はイラク兵に向かって銃を撃ちつづけた。
 イラク兵がナイフで彼女を刺した、とも伝えている。
 この記事は、全米ばかりか世界中を駆けめぐった。ジェシカは「戦場のヒロイン」と呼ばれ、メディアの注目を集めるようになる。  
 その後、NBCテレビが、ジェシカ救出劇をテレビ映画にすると発表した。CBSテレビは連続ドラマにするという。ハリウッドでは、映画化の権利をめぐり、激しい争奪戦が始まった。
 二日の午後、中央司令本部がビデオを公開した。特殊部隊による深夜作戦、イラク軍との激しい銃撃戦、決死の突入を試みる兵士たち、救出された彼女を運ぶヘリコプター。ビデオが終わると、画面に彼女の写真が映された。傷ついたジェシカは星条旗に包まれていた。
 各国の記者たちが独自の取材を始めるにつて、救出劇の真相が明らかになっていった。まず記者たちは、ジェシカが収容されたドイツの米軍病院を訪ね、担当の軍医にインタビューをしている。軍医は、リンチ上等兵には銃で撃たれた傷もナイフで刺された跡もないと述べた。
 彼女が監禁されていたというナシリア総合病院へ取材に出かけた記者もいる。イラク人の医師たちは、出来る限りの治療を施していた。リンチ上等兵は、イラク軍の攻撃を受けて車両が転倒した際に、手足を骨折していたという。米ニューズウイーク誌が伝えたような虐待はなかった。フォックスが示唆したような拷問もなかった。
 確かにイラク軍が病院内に詰めていたけれど、その兵士たちは、アメリカの特殊部隊が「救出」にくる前に、みんな姿を消していた。ビデオの戦闘場面は米軍の演出だったことになる。
 医師たちは、イラク軍の目を盗み、米軍の部隊まで彼女を送り届けようとさえした。ジェシカを乗せた救急車は米軍の銃撃によって追い返されている。
 五月一八日、英BBCテレビが、「戦争のスピン」と題した番組で、リンチ上等兵の「救出」はペンタゴンが脚本・監督を務めた映画だった報道した。スピンとは「情報操作」と訳されることが多いけれど、本来は「適当な作り話をして人を煙に巻いてしまうこと」を意味する。報道対策の専門官はスピン・ドクターと呼ばれている。
 三月の終わりころ、ブッシュ政権は追い詰められていた。従順だった主流メディアからも、作戦に対する批判が出た。イラク市民に対する「誤爆」や「誤射」が追求された。ジェシカ救出劇は格好のスピンだった。
 連合軍の侵略が始まる前から、数限りないスピンが繰り広げられてきた。侵略の理由となった大量破壊兵器の問題も、イラク市民の「解放」や「民主主義」でさえもスピンだった。
 スピンの技術はすでの確立している。真実が明るみに出ても、致命傷とはならない。全面否定するというスピンがある。市民の注意や関心を他へ向けるというスピンもある。どうにも無理がきかなくなれば、何もなかったことにすればいい。
 ブッシュ政権によるイラク統治政策がどんな問題をかかえようと、世界経済が危機に直面しようと、米英のタカ派たちは切り抜けるつもりだ。そのために彼らは最強のスピンを用意している。新たな戦争である。


安濃一樹
ヤパーナ社会フォーラム
http://www.kcn.ne.jp/〜gauss/jsf/index.html
mailto: k.anno@mac.com

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