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カルザイ氏が大統領に就任し、アフガニスタン暫定政府が発足してから19日で丸1年。しかし、大統領の威信は相変わらず地方に及んでおらず、タリバンやアル・カーイダは活動を活発化させ、治安は悪化している。
ボン合意(2001年12月)が定めた総選挙実施・本格政権発足まで残り1年となったが、国家再建の道は険しい。(イスラマバード支局 新居 益)
■震源地は
首都カブールで今月7日、国際治安支援部隊(ISAF)のドイツ軍部隊が自爆攻撃を受け、独兵4人が死亡した事件は、ISAFが始まって以来、最悪の事件だ。国際社会に支えられたカルザイ体制が、依然として反体制勢力の脅威にさらされていることを印象づけた。
ジャラリ内相は9日の記者会見で、「反政府勢力がパキスタンとの国境地帯に潜伏していることは明らかだ」と発言した。
また、ロバリングISAF報道官も18日、「犯人はアフガンかパキスタンのマドラサ(イスラム神学校)で教育を受けたと見られる。国際テロ組織やパキスタンの一部情報機関が訓練や資金を提供しているのではないか」と語り、国境地帯でタリバンやアル・カーイダが暗躍しているとの見方を示唆した。
■生存?
外交筋がタリバン関係者の話として本紙に語ったところによると、米軍が行方を捜索中のタリバン最高指導者オマル師は今年2月、パキスタンとの国境に近いアフガン南東部パクティカ州で、タリバン幹部を招集し「アフガンを外国勢力から解放するため、外国人を殺害」するよう指示した。
実際、それ以後、タリバンの活動は活発化している。南部のスピンブルダク付近で今月4日、政府軍がタリバンと衝突し、タリバン側40人が死亡した事件は、再結集を進めつつあるタリバンが、攻勢を準備していることをうかがわせる。ロイター通信によると、タリバンはスピンブルダクで今月16日、「外国軍と中央政府に対する自殺攻撃」を宣言するビラを配った。
■全国支配へ
来年6月に本格政権を発足させることをめざし、今月上旬、暫定政府の憲法委員会は職員の地方派遣を開始、各地の州政府幹部や部族長らから新憲法に関する意見聴取を行っている。同委員会は8月末までに憲法草案をまとめ、9月1日に公開、10月に招集される憲法ロヤ・ジルガ(国民大会議)で憲法採択にこぎ着けたいとしている。
また、先月下旬には、西部の大軍閥、イスマイル・カーン司令官や、南部のグル・アガ・シャラザイ・カンダハル州知事らが、自らの支配地で勝手に徴収している関税を中央政府に移管することで合意したため、中央政府による全国支配実現に向け、一歩前進したとの見方も出ている。
ただ、米軍などが養成中の国軍は、現在わずか約5000人で、数千―1万数千と見られる主要軍閥の兵力さえ下回ることなどから、中央政府の支配が地方に届くまでには至っていない。このため、ブラヒミ国連事務総長特別代表(アフガン問題担当)は、カブールとその周辺にとどまっているISAFの地方展開の必要性を主張している。
(2003/6/18/23:47 読売新聞 無断転載禁止)
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20030618id29.htm