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2003年6月17日 火曜日
「イラクが、近隣諸国への、ひいてはヨーロッパ、米国への、緊急の脅威となる大量破壊兵器を確かに保有していた。その証拠がそのうちに出てくる」。米国当局以外にまだそう信じているのは英国のブレアと日本の小泉両首相くらいらしい。
小泉首相の場合、本音の信念なのか、単なる米国への忠誠表明なのか、ともかくイラク特措法から、大量破壊兵器処理のための自衛隊出動という条文を、自民党の了承の条件とはいえ、ずるいと思われるほど空虚なジェスチャーと見えたためか、法案から削ったところを見れば、さほど深い信念でもないらしい。
しかし、その条文にあった「国連の安保理の決議があれば」という条件付けが、まだ政府内の争点となっているようだ。湾岸戦争以来の「国際貫献」の中心問題である。国連主催の平和維持活動だけに協カするか、米国が指導する心有るものの同盟に加担するか。
イラク復興となれば、イギリスを含むヨーロッパ諸国民が、および民主党の安全保障尊門家・前原氏をはじめ多くの日本国民が、二重の感惰を持っている。その矛盾した気持ちを米国との交渉でフランス、ドイツ政府がよく表現している。
一方の感惰が、明らかに被害者であるイラク国民のために、国連が動員できる様々な救援活動を支援したい。もう一方が、イラクの次期政権の形成、石油施設の支配など、米英が「我々に一任」と要求するなら、占領の人的被害をも米英が被るべきだと考える。占領軍に対する攻撃による米兵死傷者数が毎週増えていく折から、「帝国維持の費用」をアメリカ国民に意識してもらうのも悪い事ではないとの考えもあろう。もともと、イラク征伐反対だった立場の人々から見れば当然と言えよう。
巨大な米国とどう共存するか。世の東西を問わず、外交政策の中核的課題である。日本政府の選択は明らかである。一例をとれば、北朝鮮問題で、韓国と歩調を合わせるより、米国の協力要講に応じることを優先させることにした。そして、それに対して、大きな反対の声は上がらない。日米安保体制自体が、メディア一般にとって、日本外交の問わざる出発点とされている。
ところが、今まで日本と同様、米国べったりの同盟国である英国では問わざる出発点では決してない。特にEUが新しい憲法を制定して、通貨問題をはじめ、英国の大陸への統合が問題にされている今日では。
最近、プロスペクト(PROSPECT)という有カな月刊雑誌に現れた「もうお別れの時期が来た」という論文が批判の声の代表的な表現であろう。著者のロドリク・ブレースウエート氏は決して無名な左翼分子ではない。元在モスクワ大使、二年間も英国中央機密委員会(英国の情報機関と政府との媒介機構)の会長を務めた立派な「体制派外交官」である。
ブレースウエート氏によれば、英米のいわゆる「特別関係」を全面的に支持している人間は三種類しかいない。いわく、ブレア首相(自分が米国の政策形成に大きな影饗を及ぼせるという幻想のとりこになっているから)、核兵器を搭載している潜水艦艦隊司令部の人たち(米国の技術援助無しでは動けないから)、および電子スパイ本部の人たち(同じく米国への技術・施設の依存度が高いため)。
続いて一言う。問題は短期的なブッシュ政権の特質性にあるのではない。もともと、米国一般の世論にとって、英国の存在は微々たるものでしかない。戦後五十年を通じて、「協力」は一方通行の片思いであった。結果として「イギリスの行動の自由が大幅に狭くされ、独自な意思決定主体でなくなったように、世界から見られるようになった」と。
日本語に訳される価値のある論文だと思う。
(英ロンドン大学教授、経済産業研究所客員研究員)
東京新聞 2003年6月15日朝刊 時代を読む:http://www.tokyo-np.co.jp/news.shtml
小泉政権は外交と防衛はアメリカに丸投げしていると、私は前から指摘していますが、イギリスでもブレア政権がピンチに立たされている。イラクを制圧して2ヶ月が経ってもいまだにイラクから大量破壊兵器が発見されないからだ。アメリカはイラクの石油利権が目的だから攻撃理由などどうでもいいが、それに同調したイギリスはそうも行かない。
ブレア政権の場合は情報機関からの情報を改竄したのではないかと言う疑いで、下院の外交委員会で証人喚問が行われ7月に結果が出る。不思議でならないのはイギリスでは911のようなテロが起きておらず、テロの危険性もIRAのテログループよりかは可能性が低かった。それにもかかわらずイラク攻撃の先頭に立ったのはなぜか。
日本のように消極的イラク攻撃賛成でも良かったのではないか。現に100万人規模の反戦デモも起きていた。しかしながら911テロ以来のブレア首相の外交には疑問が持たれる。ロナルド・ドーア教授が指摘するごとく、イギリスは独自の意思決定能力を持てなくなってしまったのか。
日本においても小泉内閣はイラク支援法のために、国会の期日を40日間延長した。しかしイラク全土は散発的な抵抗が起きており、最悪の場合戦死者も出ることを覚悟しなければならないだろう。日本の場合国防軍を持たないアメリカの植民地であるから、アーミテージ総督の指示には従わなければならない。反対は許されないのだ。
イギリスと日本は対米外交で共通の利害を持っている。イギリスはヨーロッパであってヨーロッパでない。日本もアジアであってアジアではない。アメリカにとって日本とイギリスは大洋を挟んだ橋頭堡でユーラシア大陸を牽制している。だからこそアメリカはこの二カ国を子分にしているわけだが、イギリスではアメリカに見切りをつけるべきという意見が体制内から出てきている。
このようにイギリスはアメリカがコケればEUに加わればいいように行動している。ところが日本の場合、アメリカがコケたら何処にも連帯を組めるところがない。自主独立で中国やロシアと対抗してゆかなければならない。それだけの長期的戦略をもって外交を行わなければならない。
中国やロシアや南北朝鮮はとても同盟を組める国ではない。中国や韓国が小学生の時から反日教育を叩き込んでいる事は何度も日記で紹介した。ロシアも領土を返すつもりはない。つまり日本の周りは敵だらけだ。出来得るのなら第二次日英同盟を構想しても良いのではないかと思う。