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【ワシントン斗ケ沢秀俊】01年秋に発生した米国の炭疽菌事件に関連して、米連邦捜査局(FBI)は9日、メリーランド州にある池の排水を開始した。犯人が封筒に炭疽菌を入れる際に使った可能性のある器具の捜索が目的で、容疑者の特定や逮捕に結びつくかどうかが注目されている。
FBIは「池の捜索は炭疽菌事件に関連している」との内容の短い声明を発表した。池は同州フレデリックの森林の中にある森林火災防火用の人造池で、面積は約4000平方メートル。
米ワシントン・ポスト紙などの報道によると、FBIは「封筒に炭疽菌を入れる作業が池で行われた」との情報を入手、昨年12月から今年1月にかけて、ダイバーが森林内にある約10カ所の人造池を潜水して調べた。その結果、内部に手を入れて作業できるように穴の開いた容器と、プラスチックで被覆されたガラスびんが見つかった。
同紙は「炭疽菌を封筒に入れた人物は、菌を吸入しないよう、水中に容器を沈めて、手袋をはめた手で作業した。炭疽菌を入れた封筒はプラスチックの袋に密閉され、水中の容器から取り出された」とする一部捜査員の見方を報じている。
容器などに炭疽菌の痕跡があったかどうかは報道されていない。今回の捜索は数週間かけて池を排水し、捜査の手がかりとなる器具や菌の痕跡を捜すとみられる。費用は約25万ドル(約3000万円)かかるという。
池は炭疽菌を研究していた陸軍感染症研究所の近くにある。FBIは元同研究所員だった男性研究者を参考人として調べているが、この研究者は事件への関与を全面否定している。
炭疽菌事件では、炭疽菌入り郵便物が上院議員2人とテレビ局や新聞社に送りつけられ、郵便局員ら5人が死亡、17人が感染した。
[毎日新聞6月10日] ( 2003-06-10-10:46 )
http://www.mainichi.co.jp/news/flash/kokusai/20030610k0000e030027000c.html