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【エルサレム=当間敏雄】イスラエル軍は9日、ヨルダン川西岸にある無許可のユダヤ人仮入植施設の撤去を開始した。シャロン首相が、ヨルダン南部アカバでの米、イスラエル、パレスチナ自治政府の3首脳会談で確約していた措置。
イスラエル兵5人が射殺されたパレスチナ過激派による8日の銃撃事件にもかかわらず、イスラエルが義務履行を進めたことで、新和平案「ロードマップ(行程表)」は命脈を保った形だが、自治政府の過激派対策が依然、最大の難関であることに変わりはない。
シャロン首相は8日夜、自ら率いるリクードの党員集会で「私は平和と治安をもたらす責務を負っている」と強調した。首相が銃撃事件を受けてこれまでのような大規模な報復作戦に出ないのは、和平への決意を示すブッシュ米大統領への配慮と同時に、基盤の脆弱なアッバス自治政府首相の新体制を現時点でつぶすわけにはいかない、との判断がある。政治的に排除したアラファト自治政府議長の復権につながるからだ。
一方、8日の銃撃事件は3首脳会談で武装闘争停止を確約したアッバス首相への強烈な異議申し立てでもあった。首相は早くも窮地に立たされた格好だ。
ガザ北部での事件にはパレスチナ解放機構(PLO)主流派ファタハ系のアルアクサ殉教者旅団とイスラム原理主義組織のハマス、イスラム聖戦の3組織から20代の若者が1人ずつ参加した。3組織の共同作戦は2000年秋の紛争激化以降初めて。特にアッバス首相の出身母体であるファタハの系列組織が参加したことは、首相の指導力に対する「あからさまな挑戦」といえる。
アッバス首相は9日、緊急会見し、ハマスなど過激派だけでなくパレスチナ民衆からも批判の出ていた3首脳会談での声明について「誤解」があったとして釈明。声明で言及しなかった難民帰還権やエルサレム帰属問題などで妥協する考えのないことを強調して、過激派側との「対話」を続ける意向を表明せざるを得なかった。
(2003/6/10/01:05 読売新聞 無断転載禁止)
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20030609i216.htm