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イラク中部にあるツワイサ原子力センターで4月初め、近くの住民が貯蔵庫から放射性の「イエローケーキ」と呼ばれるウラン精鉱の粉末が入ったドラム缶を持ち去る事件が起きた。住民の被曝や放射能汚染が懸念され、国際原子力機関(IAEA)が7日、調査を開始する。米軍が今月中旬、ようやくドラム缶を回収したが、住民はなす術を知らないまま不安を募らせていた。
【イラク中部ワルディア村で大木俊治】
「俺たちはどうしたらいいんだ。教えてくれ」バグダッドから南へ約25キロ。原子力センターを囲む土壁沿いにあるワルディア村の一角を訪ねると、炎天下に集まってきた住民の1人、アイサ・イラドさん(42)に詰め寄られた。
イラドさんら住民の話によると、施設を警備していたイラク兵がいなくなった4月初め、米兵が来て敷地入口の門を開放。村の住民が施設内に入ってエアコン、冷蔵庫、コンピューターなどの略奪を始めた。米兵は止めなかったという。
このうち子供を含めた何人かが敷地内の貯蔵庫にあった大量のドラム缶を見つけ、80本以上を転がして運び出した。中にあった黄色い粉は貯蔵庫の床や村の道端に捨て、近くの小川で洗って自宅に持ち帰り、飲料水を貯める水がめにした。ドラム缶にはどくろの絵が貼ってあり、英語で「危険」と書かれていたため忠告する住民もいたが、大半が「中身を出して洗ったから大丈夫」と意に介さなかった。
それから2〜3週間後にセンターの職員が村に来て実情を知り、施設を管理していた米軍に通報。5月半ばに米軍が村を訪れ拡声器で「このまま使っているとがんになる」と危険を知らせ、1個3ドルを払って住民からドラム缶を回収した。
この黄色い粉は「イエローケーキ」と呼ばれるウラン精鉱で、ウラン鉱石から不純物を取り除いたもの。燃料用に濃縮する前の段階だが、皮膚に直接触れたり吸い込む
と被曝する恐れがあり、空気中に拡散して汚染が広がる可能性もある。
村の人口は約5000人。ムクタル・アフメド村長(60)によると、村には診療所がなく、約8キロ離れたサルマンバック市まで行かないと病院はない。火傷のような症状を訴えて病院に行った住民もいたが、きちんとした治療は受けていないという。また米軍の指示で調査したところ村には約100人の妊婦がおり、放射能の胎児への影響も懸念されている。村長は「米軍は危険を知りながら略奪を止めなかった」と米軍の対応に不満をもらした。
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AP通信などによるとIAEAは7日、同原子力センターの調査を始める。IAEAが米軍に調査の受け入れを要求していた。
調査は大量破壊兵器の捜索とは関係なく、米軍は2週間以内に限って立入りを認めた。
[毎日新聞6月6日] ( 2003-06-06-22:09 )
http://www.mainichi.co.jp/news/flash/kokusai/20030607k0000m030109000c.html