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【アカバ(ヨルダン南部)小倉孝保】エジプト・シャルムエルシェイクで3日行われたブッシュ米大統領と親米アラブ諸国首脳との会談で、アラブ諸国は「いかなる形でも暴力を拒否する」と約束した。これは、アラブが正当な権利と考えてきた対イスラエル抵抗闘争(インティファーダ)の否定ともとれる内容だ。一方、米側の声明は、イスラエルの入植地問題には触れなかった。イラク戦争で見せつけた力を背景に、米国がアラブを圧倒したといえそうだ。
ムバラク・エジプト大統領が発表したアラブ首脳の声明は「いかなる形であれ過激主義と暴力の文化を拒否する」となっている。アラブ外交筋によると、インティファーダ終結のため、イスラエルはアラブ諸国首脳に「インティファーダは暴力」と認定させることを求め、米国はイスラエルの要求をアラブ側に突きつけたと考えられる。
一方、アラブ社会には、インティファーダはパレスチナ人の正当な権利との認識がある。「インティファーダ」という言葉は使わなかったものの、この問題でアラブ側が米国の圧力に屈した印象はぬぐえない。
イスラエルの入植地について、アラブ側には「ブッシュ政権はこれまでの米政権に比べ、厳しく対処していない」との不満が強かった。ブッシュ大統領は会見の中で「入植地問題にも対処せねばならない」と一応は言及したが、声明には盛り込まなかった。
4日のシャロン・イスラエル首相、アッバス・パレスチナ自治政府首相との会談で、パレスチナ側は入植地問題に関するイスラエル側の徹底した措置を求めるとみられるが、この問題で米国がイスラエルに強い圧力をかけることは期待できそうもない。
さらにアラブ側は声明で、「アッバス首相の暴力停止の決意支持」を打ち出し、ブッシュ大統領は「アッバス首相と(暴力停止の)責任について話し合う」として、交渉相手はアラファト自治政府議長ではなくアッバス首相だと強調した。アラブ首脳は「アラファト議長こそパレスチナ人が選んだ代表」としているものの、米・イスラエルによる「アラファト外し」を追認した印象が強い。
[毎日新聞6月4日] ( 2003-06-04-10:25 )
http://www.mainichi.co.jp/news/flash/kokusai/20030604k0000e030017000c.html