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05/31 16:33 クルド人台頭に他民族警戒　油田都市キルクーク 　外信61

　イラクの北部油田地帯を抱える戦略都市キルクークで、フセイン
政権下で抑圧されていたクルド人が復権、台頭し、アラブ人やトル
クメン人が警戒感を強めている。米軍政当局は主要四民族を均等に
参加させた暫定警察や行政を発足させ、多民族共存の態勢づくりに
懸命だ。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　キルクークはアラブ、クルド、トルクメン、アッシリアの四民族
を中心としたモザイク都市。フセイン政権はアラブ人支配を確立す
るためクルド人やトルクメン人を域外に追放し、アラブ人を移住さ
せるアラブ化政策を強行した。一方「豊かなキルクークをいずれク
ルド人地域の首都に」と夢見てきたクルド人は多い。　　　　　　
　四月十日にフセイン政権軍が敗走すると、米軍と共にクルド愛国
同盟（ＰＵＫ）の部隊が市内を制圧。米軍の兵員不足もあって事実
上のクルド人支配の様相を呈し、他の民族などから強い反発を浴び
た。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　米軍はその後、民兵を市外に撤退させ、四民族から同数の警察官
を参加させた「キルクーク暫定警察」を再建、米軍と合同のパトロ
ールを実施している。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　しかし、市民の間では「クルド人の民兵や帰還民が増えた」との
証言は多く、五月中旬にはクルド人とアラブ人の住民が衝突して十
人以上が死亡した。トルクメン人政党「イラク・トルクメン戦線」
役員のタラル・ヤコブさん（４３）は「イラクを分裂させ、キルク
ークをクルド人の土地に含める試みには反対する」と警戒感を隠さ
ない。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　米軍が選んだ市内の有力者約三百人は五月下旬に会議を開き、主
要四民族から各六人、有識者代表六人から成る計三十人の暫定評議
会（市議会に相当）を選出。評議会の投票で市長にクルド人が選ば
れ、クルド人の復権ぶりを示した。しかし、アラブ人やトルクメン
人評議員の間では「米軍の運営がクルド人寄りだった」と不満がく
すぶる。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　キルクークで人口調査が行われたのは一九五○年代が最後で、現
在の各民族の比率は不明。米軍は将来の正式な議会選挙までに人口
調査を実施し、民族比を反映した議席配分を行う方針だが、クルド
人帰還民の扱いなど難題は多い。（キルクーク共同＝長谷川健司）
（了）　　０３０５３１　１６３３　　　　　　　　　　　　　　

[2003-05-31-16:33]
nifty共同通信24時間ニュース

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