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6月24日付・読売社説(2)
[アフガン再建]「国際社会の支援がなお必要だ」
国家再建がいかに困難なことか。アフガニスタン・カルザイ政権の一年の歩みが、そのことを如実に示している。
難民帰還や子女教育の再開など、一定の進展を見せた分野もある。しかし、軍事、財政、治安といった中枢機能に関しては、国家の体をなさない状況が続いている。
六月上旬、政府側部隊との衝突で、前政権を担ったタリバンの兵士四十人の死亡が伝えられた。タリバン勢力が復活しつつあることを物語る数字、と受け止められている。
首都カブールに本拠を置く国際治安支援部隊(ISAF)のドイツ軍部隊が自爆攻撃を受け、兵士四人が死亡した。テロ組織、アル・カーイダが関与していたのではないか、との観測もある。
アフガニスタンで依然、国民の間に、タリバンなどを支持する空気があることも示していよう。このままでは、元の木阿弥(もくあみ)になりかねない。根絶へ向け、カルザイ政権はもちろん、国際社会も改めて力を結集しなければならない。
地方に割拠する軍閥の存在も、国内情勢の不安定と深い関係がある。
「カルザイ氏は、アフガニスタン大統領ではなく、カブール市長」と揶揄(やゆ)する声が聞かれるのも、中央政府の支配が地方に及んでいない現実があるからだ。それどころか、有力地方軍閥は、軍事的にも財政的にも、カルザイ政権より優位に立っているのが実情だ。
これら軍閥は、タリバン政権を崩壊に追い込む過程で大きな力を発揮した。しかし、この割拠状態が続けば、国家再建など画餅(がべい)に帰すだけだ。
カルザイ政権は暫定政権である。アフガン各派が合意した日程によれば、今年中に公式のロヤ・ジルガ(国民大会議)を開催し、新憲法を制定しなければならない。さらに来年、総選挙を経たうえで本格政権を樹立する段取りだ。
時間は限られている。日程に従って国家再建を図るため、カルザイ政権はしっかりした指導力を発揮し、これまで以上の自助努力をしなければならない。
ISAFをはじめとする国際社会の支援も、なおしばらくは欠かせない。そうでなければ、アフガニスタンは「破綻(はたん)国家」から抜け出せないだろう。
国際社会の一員として、日本も引き続き、協力を惜しんではなるまい。アフガニスタンの「平和の定着」国際会議を主催するなど、これまでにも支援を続けてきた日本への期待は大きい。
テロ対策特別措置法は、今秋、期限切れが迫っている。アフガニスタンの現状を考えれば、延長は当然である。
(2003/6/23/22:38 読売新聞 無断転載禁止)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20030623ig91.htm