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モアイを救え!日本の支援で修復が本格化 (読売新聞)
2003年6月18日(水)14時38分
南太平洋の孤島・イースター島(チリ領)で、風化の危機にさらされている石像遺跡、モアイ像の保存・修復事業が日本の資金援助で本格化している。世界7不思議の1つに数えられる“謎の巨大石像”は救われるだろうか。(イースター島で、本間圭一)
巨大なクレーンが、全長約4メートルのモアイ像をつり上げる。6人の作業員が像の両脇を抱え、はれ物に触るかのように静かに地面に下ろす。胴体部分を補強した上で、近く祭壇上に建て直す予定だ。作業を監督するチリ国立遺跡審議会のエンリケ・トゥキ理事(同島担当)は「日本のおかげでモアイ像がよみがえろうとしている」と語った。
日本政府は2000年、国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)に積み立てた文化遺産保存のための基金から、モアイ像の保存・修復事業に67万ドル(約8000万円)の拠出を決めた。チリ政府によると、外国政府からの支援としては過去最高だ。在サンティアゴ日本大使館は、〈1〉日本の研究者や民間企業が1990年代から保存事業に着手し、復元技術が評価されている〈2〉日本人観光客が多い――点を援助の理由として挙げる。チリ政府とユネスコを事業主体に、昨年8月から像の建て直し方法の研究などが始まった。
高さ2―12メートルのモアイ像を、だれが、いつ、何の目的で建てたのか、真相は究明されていない。その謎にひかれて、人口約3000人の同島には年間約1万7000人(昨年)の観光客が訪れる。日本人はその1割を占め、外国人の中では米仏に次ぐ多さだ。
しかし、観光客を待っているのは、厳しい自然にさらされるモアイ像の無残な姿だ。もろい火山性の凝灰岩を素材とするため、風雨による風化が激しい。しかも、島に押し寄せる大波が土壌をえぐり、海岸線に建っていたモアイ像は次々に崩落してしまった。
モアイ像の修復は、1950年代から始まってはいたが、島内で1000体と見られるモアイ像のうち、これまでに再建されたのは30―40体に過ぎない。
こうした背景には、イースター島の文化財保存に、必要額の1割以下しか出せないチリ政府の財政事情に加え、モアイ像の修復よりも道路舗装など生活基盤の改善を優先させたい島民感情もある。10年以上もモアイ像の保存事業にかかわる沢田正昭・筑波大教授(文化財保存科学)は、「このまま放置すれば、岩が朽ちて急速に消滅する運命にある」と警告している。
◆モアイ像 5―6世紀に西方のタヒチ島方面から移住したポリネシア人の子孫が建てた祖先像との説が有力だが、真相は不明だ。倒壊した像が多いのは、かつて島内で起きた部族間抗争のためだとの伝承もある。モアイ像のあるラパヌイ国立公園は95年、ユネスコの世界遺産に登録された。