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平成15 年6 月10 日
エルニーニョ監視速報(No. 129 )
気象庁気候・海洋気象部
エルニーニョ現象等の今後の見通し(2003 年6 月〜2003 年12 月)
エルニーニョ監視海域の海面水温は、夏から秋にかけて基準値(1961 〜1990 年の30 年平均値)よ
り低めながら基準値に近い値で推移する可能性が高い。
【解説】
5 月の監視海域の海面水温の基準値との差は・0.6摯C となり、5 月に入って急速に低下した(図
1)。3 月に太平洋赤道域東部に出現した負偏差域が5 月には一気に拡大するとともに、西経90 度
付近では・1.5摯C を超える負偏差域も現れた(図2 、図4 )。太平洋赤道域の海洋表層においても西
部の正偏差域が縮小し、負偏差域が中部まで広がった(図5 )。
このような海洋の変化は、5 月の上旬から中旬にかけて太平洋赤道域で広く貿易風が強まったた
めに生じたと考えられる。しかし、その東風偏差も下旬には弱まった(下図)。太平洋赤道域中・
西部の水温躍層付近の負偏差域は、その広がりや強さが過去のラニーニャ現象発生直前に見られ
るような規模にはなっていない(図3 )。これらは5 月に見られた太平洋赤道域東部における海面
および表層水温の負偏差の強まりが一時的である可能性を示唆している。逆に監視海域の海面水
温の低い状態を長期間持続させる要因は、現時点では見当たらない。
エルニーニョ予測モデルは、監視海域の海面水温の基準値との差が夏に増大した後、予測期間
の後半は基準値よりも0.5摯C 程度高い値で推移すると予測しているが(図略)、今年に入って予測
モデルは海面水温を実際より高めに予測する傾向があることを考慮する必要がある。
以上のことから、監視海域の海面水温は、夏から秋にかけて基準値より低めながら基準値に近
い値で推移する可能性が高い。しかしながら、現在の海面水温の分布から再び太平洋赤道域で貿
易風が強まる可能性も残っており、今後の海洋と大気の状態を注意深く監視する必要がある。