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6月10日付・読売社説
[万景峰号]「さらに強化が必要な監視態勢」
“後ろめたさ”があったのだろうか。
北朝鮮の不定期貨客船「万景峰’92」号が、新潟西港への五か月ぶりの入港を取りやめた。
政府は、通関、出入国、検疫などの検査に加えて、「ポート・ステート・コントロール」(PSC、船舶の安全検査)を予定するなど、前例のない検査・監視態勢を敷いていた。これが北朝鮮の対応に影響したのだろう。
万景峰号は、九月までの間に、日朝間を十回程度往復する計画だ。引き続き、可能な限り厳しい検査・監視態勢をとらねばならない。
万景峰号をめぐっては、ミサイル関連部品の不正輸出、国内に潜伏する工作員への指令、円の不正送金、麻薬・覚せい剤の密輸など、数々の不正行為が指摘されている。
まさに「疑惑の船」だ。
船底に、軍事用とみられる音響探知機(ソナー)を装備していたことも明らかになった。軍事工作船として活動していた可能性もある。
こうした「任務」を担っている疑いがあれば、法治国家として、検査・監視を強めるのは当然だ。
北朝鮮への「配慮」から、これまでの検査はおざなりだった。政府は、その点を反省すべきだろう。そのうえで、これからの検査・監視態勢に生かさなくてはならない。
日本に入ってくる北朝鮮の船は、万景峰号だけではない。舞鶴港(京都府)、境港(鳥取県)など日本海側を中心に、その数は年間千四百隻に達している。
もっぱら貨物船で、北朝鮮から海産物やマツタケ、日本からトラックや中古車を輸出入しているという。だが、実態は不透明な部分も少なくない。
こうした船に対する検査・監視態勢も厳しくすべきだ。
しかし、港湾法など現行法の限界も指摘されている。港湾管理者である自治体は、特定の国の船であることを理由に、入港を差し止めることができない。
新潟県は、安全保障上の問題がある外国船舶の入港を規制するための法整備を検討するよう、政府に求めている。自民党内にも、同様の新規立法を検討する動きがある。
不正送金を規制するための外為法改正案の準備も、自民党内で進んでいる。国連の決議などがなくても、日本独自の判断で送金停止などの制裁を可能にしようというものだ。
いずれも安全保障の観点から必要な措置だ。現行法に不備がある以上、こうした新規立法も急がなければならない。
(2003/6/10/08:57 読売新聞 無断転載禁止)