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6月7日付・読売社説(1) [有事三法成立]「法治国家の体裁がやっと整った」
ようやく「普通の国」への一歩を踏み出した。
武力攻撃事態における政府の対処方針などを定めた有事関連三法が成立した。有事の際の政府の意思決定や、自衛隊の行動に関する一連の手続きを定めてある。国家として当たり前の体制が、やっと整ったといっていい。
日本にとって、北朝鮮の核、ミサイル開発が脅威となっている。有事法制が整備されたことは、北朝鮮に毅然(きぜん)として対応するというメッセージにもなろう。
自衛隊は、この有事関連法によって、超法規的な行動をとらずに、有事に対応できることになる。
有事関連法は、衆参両院でそれぞれ九割近い支持を得て成立した。野党第一党の民主党が対案を出したことが修正合意につながった。
安全保障の根幹をなす法制は、できるだけ幅広い合意で成立することが望ましい。与野党が歩み寄ったことの意義は、極めて大きい。
日米同盟にも、大きなプラスだ。日本有事の際、米国と一体となって戦うための法制が強化されたといえる。
朝鮮半島有事の際も、周辺事態法に基づいて米国を支援するにとどまらず、日本が直接攻撃を受ける事態に向け、自衛隊が事前に準備作業に着手することが可能になる。
しかし、自らの国を自らの手で守るための法的インフラができたとはいえ、これによって有事への備えが万全なものになったわけではない。
有事関連法が主として想定する外部からの攻撃は、敵国の正規軍が侵攻してくるようなケースだ。
しかし、今問題になっているのは、そうした一般的な有事だけではない。米同時テロのように敵の実体が明白ではない大規模テロや、ゲリラ部隊による破壊活動、さらに、武装工作船による領海侵犯などの脅威にさらされている。
これらの事態にも対処できるよう、法整備を急がなければならない。
有事の際の警報発令、国民の避難、被災者の救助などを定める国民保護法制も、これからの検討課題だ。
捕虜の取り扱い、有事における日米間の役務・物品提供、米軍の行動を円滑化するための法整備にも、早急に取り組まねばならない。
憲法上は行使できない、とされる集団的自衛権の問題も、決着すべき時期にきている。政治決断による憲法解釈の変更によって、早急に「行使」を認める必要がある。それが日米同盟だけでなく、有事対応の強化につながる。
(2003/6/7/08:54 読売新聞 無断転載禁止)