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埼玉県熊谷市で4人が殺傷された事件で逮捕された16歳の少女と15歳の少年は、家庭環境に恵まれず、不登校がちなまま中学校を卒業していた。「もっと打つ手はなかっただろうか」。2人が通った中学校の教師は悩む。「こうした子どもは、どこにでもいる。社会全体で支える必要がある」と専門家は指摘する。
少女は、同県北西部で母親、兄弟と暮らしていた。家庭の事情で何度も転校した。通った小中学校は計5校になる。
小学校6年ごろから欠席が増え、金髪にして、夜遊びするようになったという。中学2年以降は欠席が8割。担任らが月に1回ほど家庭訪問をしても変わらなかった。
中学3年になった一昨年春、中学校長や警察官、児童相談所の職員、少女と母親が学校に集まって「約束事」を決めた。
〈たばこは1日7本以内〉〈校門に入ったら携帯電話の電源は切る〉〈髪はお母さんと同じくらいの色にする〉〈週に3回は学校に顔を出す〉
しかし、6月には家出し、連絡がつかなくなった。8月、「規則正しい生活ができるように」と、栃木県内の自立支援施設への入所が決まった。
「本来は私がきちんと監督しなければいけないけど、手に負えなくなって」。母親は自戒を込めて言う。一方で「結局、学校には半分あきらめられているんだな」。
●「今までしっぱいばかり」文集に
少女は施設で中学校卒業を迎えた。
〈高校に入れたら3年間ちゃんと行って卒業式に出たいです。今まで先の事とか、全然考えなくって、しっぱいばっかりだったけど、これからは、先の事もちゃんと考えて行きます〉
卒業文集にはこう書いたが、今春、施設を出ると、再び外泊が増えていった。
●1日2000円、いとこから食事代
15歳の少年は、少女の住む街に近い熊谷市の中学校を今春、卒業した。
小学校5年のとき両親が離婚し、引き取られた母親も間もなく病死。児童養護施設や祖父母宅などを転々とした。2年前の中学2年の秋からは、いとこが名目上の「保護者」になり、熊谷市内のアパートで一人暮らしを始めた。1日2000円の食事代をもらって生活していた。
朝、起こしてくれる人はだれもいない。2年生の2学期は欠席が0だったが、3学期は10、3年生の1学期は37、2学期は65と増えていった。
校長や担任らが自宅に迎えに行くと登校することもあったが、「勉強が分からない」と校長室や保健室で過ごした。
人懐こいが家族のことには口をつぐむ。教師が母親の話をした時、少年は「死んだ」とだけ言って、涙をためたという。
中学の卒業文集に何も書かなかった。代わりに歌手、故・尾崎豊さんの「15の夜」の歌詞をコピーして張りつけた。〈とにかくもう学校や家には帰りたくない 自分の存在が何なのかさえ解(わか)らず震えている15の夜〉
文部科学省によると、中学卒業後、就職も進学もしない子どもは今春の卒業者で約2万人。この少女も少年も無職だった。2人は、少年の友人が、JR熊谷駅で少女に声をかけたことをきっかけに知り合ったという。
少女が卒業した中学校の当時の校長はショックを隠せない。「家庭ともっと連携を取るなど、ほかにできることがあったのかもしれない」
少年が卒業した中学校の当時の校長は「学校が、家庭の中に入り込むことは難しい。しかし、児童相談所に通告して強制的にでも施設に入れた方がよかったかもしれない」。
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熊谷拉致殺傷事件 埼玉県熊谷市箱田のアパート自室で、8月18日午後、飲食店従業員鈴木秀明さん(28)が刺殺され、同じアパートに住む女性3人が拉致されたうえ、刃物で刺されたり首を絞められたりして捨てられ、1人が死亡、2人が重傷を負った。
県警は大けがを負った女性の証言から犯人グループを男女の3人組と断定。21日に主犯格の元暴力団員尾形英紀容疑者(26)を、その後、少年(15)と少女(16)を逮捕監禁容疑で逮捕した。
県警は、少女を巡る尾形容疑者と鈴木さんのトラブルが事件の要因となったとみている。少年と少女は、一連の犯行現場にいたとされ、少年は女性たちの見張り役のような立場だったという。
(09/03 12:03)
http://www.asahi.com/special/kumagaya/TKY200309030136.html