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家屋判定「危険」続々 防災課題浮き彫り
常識を覆す震度6の三連発で、住民を恐怖に陥れた宮城県連続地震。幸い死者はなかったが、二十八日までの同県のまとめでけが人は約六百人、住宅被害は約六千棟に上り、防災上の数々の課題を浮き彫りにした。より深刻な被害が予想される東海地震に向けて、何を教訓とすべきか。被災地から報告する。
通学路沿い、がれき散乱
二十九日午前、県防災局の現地調査チームが宮城県に入った。三陸自動車道を仙台市から北上。震度6強と6弱を記録した矢本町に入ると、瓦が落ちた民家の屋根を覆う青いシートが次々と目に飛び込んだ。道路脇の随所で、頑丈そうな石積みの塀が激しく崩れ落ちている。「これはひどい。子供がそばにいたらおそらく死んでいる」。県防災情報室の井尾高士主査は顔を曇らせ、様子をカメラに収めた。
車を北に進め、三回目の震度6を招いた地震の震源に近い河南町に入った。
「何一つ、何もできなかった。その瞬間は何も考えられませんでした」。農業明日悟さん(68)の妻絹子さん(65)は、散らかった縁側をはくほうきの手を止め、汗をぬぐった。
明日さん宅は築七十五年。昭和五十三年の宮城県沖地震に耐えた。今年五月二十六日の震度6弱でも、七月二十六日未明の最初の揺れでも不安はなかったという。だが、同日朝の二度目の地震で「ビシッ」と大音響がした。かもいが屋根の重みで湾曲し障子は破れ、たんすは宙を飛んだ。
宮城県は二十九日、余震による建物倒壊など二次災害を防ぐため同町と周辺の五町で応急危険度判定を始めた。建築士らの判定士約六十人が基礎や柱、壁の損傷具合など十三項目を調べ、「危険」「要注意」「調査済み」の三段階の診断結果を出す。
「申し訳ないが、この状態では危険と判断せざるを得ません。これを表に張らせてください」
判定士の古沢克彦さん(39)が「危険」と書かれた赤色の紙を手に説明すると、明日さんは「分かった。ご苦労さまです」とだけ答え、足早に片付けに戻った。
追いかけて思いを聞くと「この家は直して使うさ。大工も頼んだ、住み慣れた家だから。東海地震でもこうなる家がたくさん出るのだろ、もっとひどいのだろうに」と鋭いまなざしを返した。
古沢さんがこの日、昼までに診断した九カ所のうち「危険」の判定は四カ所に上る。河南町の通学路沿いで路上にまで散乱したブロック塀をみると、負傷者の大半が軽傷だった実態が、いかに危機的状況の中での幸運だったかがうかがえた。
「死者が出なかった理由に今回、注目していたが、現場を見て偶然の結果との思いを強くした。災害が軽微だったとは決していえない」。井尾主査はそう、実感を言葉ににじませた。(2003東海地震取材班)