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(回答先: 少年院法改正を検討 13歳以下も収容可能 (共同通信) 投稿者 力なき市民 日時 2003 年 7 月 17 日 12:54:08)
12歳の少年の事件はどうなる
'03/7/12 放送
長崎市で4歳の幼稚園児が殺された事件で、中学1年生の男子12歳が警察に補導されました。「まさか」と思うニュースでした。中学生が子どもを殺すとなどということがあるのか、と大きなショックを受けた人も多いと思います。
この事件では、補導された中学生が14歳未満であることから、刑事責任を問われることはなく、逮捕もされませんでした。これは、どういうことなのでしょうか。そして、この後、中学生はどうなるのでしょうか。 今回の事件は、殺人です。大人だったら逮捕され、裁判にかけられます。でも、14歳未満の場合、犯罪によってどの程度の罰を受けるかを定めている「刑法」という法律で、「十四歳に満たない者の行為は、罰しない」と決められています。12歳のこの少年は、罰せられることはないのです。
それは、どうしてか。14歳未満の子どもは、まだ十分な判断力がないと考えられているからです。善悪の判断つまり、何が悪いことか十分判断できないから、犯した罪を追及するのではなく、保護をして、心身ともに健やかに成長できるようにしてあげよう、という考え方なのです。
このため、警察に調べられた後は、この子のこれからの人生のためにはどうすることが最適なのかを考えていくことになるのです。この手続きを説明しましょう。
たとえば大人が殺人事件を起こすと、警察に逮捕されて検察庁に送られ、さらに地方裁判所で裁判にかけられます。裁判の結果、有罪判決が確定すれば、刑務所に入ります。
しかし、20歳未満は異なります。14歳以上20歳未満の場合は、「少年法」という法律にもとづいて手続きが行われます。「少年法」という名前ですが、少年だけでなく少女も含まれます。
事件を起こした未成年者を警察が逮捕すると、いったんは大人と同じように検察庁に送られます。検察庁で調べた後、家庭裁判所に送ります。家庭裁判所というのは、夫婦の離婚の問題や家庭内暴力などの家庭の問題を扱う裁判所ですが、事件を起こした子どもについても担当します。家庭裁判所で「審判」の結果、少年院に送られたり、「保護観察」ということになったりします。
少年院は刑務所ではありません。少年を教育して、社会に戻ることができるように育てよう、というものです。
一方、家庭裁判所で審判の結果、「悪質で大人と同じように裁判にかける必要がある」ということになると、検察庁に戻されます。これを「逆送」といいます。この場合、検察庁は、大人と同じように裁判にかけることになります。
しかし、同じ少年でも14歳未満になると、そもそも罪に問われることはありませんから、警察に逮捕されることはありません。
事件を起こした少年がわかると、警察では、逮捕しないで補導します。補導した上で、児童相談所に送ります。児童相談所は、こういう問題を起こした少年についても取り扱いますが、それだけではなく、子育てに悩む親の相談にのったり、虐待を受けている子どもを保護したりしています。
児童相談所は、殺人のような重大な事件を起こした少年については家庭裁判所に送ります。家庭裁判所は、この子について、どういう子なのか、どうして事件を起こしたのか、専門家に調べてもらうため、少年鑑別所に入れて調べることがあります。少年鑑別所では、心理学者や場合によってはお医者さんが、子どもを調べます。今回の事件では、12歳の少年はすでに少年鑑別所に入れられています。
少年鑑別所で詳しく調べた結果をもとに、家庭裁判所では、審判をするかどうかを決めます。審判が行われた場合、「児童自立支援施設」に入れたり、「保護観察」にしたりします。14歳以上の少年と異なり、少年院に行くことはありません。少年院に入るのは14歳以上だからです。
児童自立支援施設というのは、むかしは「感化院」や「教護院」と呼ばれていたこともありますが、子どもたちが、自然の中で先生たちと共同生活をする学校です。全国の都道府県にあります。
また、保護観察というのは、自宅に戻って普通の生活をしながら、保護司と呼ばれる人に指導を受ける、ということもあります。
このような仕組みになっているのは、子どもは十分な判断能力が備わっていないこと、たとえ間違ったことをしても、十分にやり直すことが可能な存在だからだ、という考え方があるからなのです。
今回の中学生についても、その子の将来のために、何をすればいいのかを、これから考えていくことになります。
でも、今回の事件は殺人という重大なものです。「悪いことをした人は罰してほしい」と願う人もいることでしょう。このところ、少年による凶悪な事件が相次いでいます。事件を起こす少年に対して、どうすればいいのかが問われています。と同時に、子どもたちみんなに命の大切さを知ってもらうにはどうしたらいいのか、という点も、これからの大きな課題になります。
http://www.nhk.or.jp/kdns/_wakaran/03/0712.html