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「長崎幼児死亡事件」の考察 <その1> − 言葉だけで示された二つの“証拠”で犯人と特定された少年 −
http://www.asyura.com/0306/nihon5/msg/642.html
投稿者 あっしら 日時 2003 年 7 月 13 日 00:09:46:


隔離されている少年が犯人なのか無実なのかはわからないが、これまで報道されている内容をもってあの少年が犯人だと納得することはできない。


少年を犯人だと特定した根拠は、これまでの報道に拠る限り、

● 浜町商店街の防犯カメラで撮影された画像

● 幼児が連れ去られた後に路面電車停留所で二人を見たという目撃証言


の二つしかなく、それも、画像や目撃者が明示されているわけではなく、警察のリーク情報や簡単な記者発表という“言葉”によるものだけである。


少年とその両親は、裁判で証拠調べや弁護士による尋問が行なわれることがないたった二つの事実の“口頭説明”によって、罰せられることがない「変態殺人者」という罪を背負い続けるのである。


運動靴の足跡や少年の“自供”は、少年が犯人だと特定された後の補強につながるものではあっても、少年を犯人だと特定した根拠にはならない。

(少年の自宅がある建物及びその周辺で起きたという男児に対する性的いたずらは、そうだという勝手な憶測記事はあっても、少年の犯行だという根拠を示した報道はなく、逆に、少年ではないという被害者の母親の説明が報道されている。たとえ、男児に対する性的いたずらが少年の犯行だとしても、それが今回の幼児殺害の犯人であるという根拠になるわけではない)

私は、商店街の防犯カメラに撮影されているという死亡した幼児の画像の公開と少年と幼児が連れ立っているのを見たという目撃者の公表を主張しているだけだが、主要メディアが揃いも揃って、少年とその両親に関する報道を繰り返しながら、そのようなささやかな要求さえしていない現実にあきれ返っている。

ビデオ映像について、顔や校章は判別できないと報道してきたのだから、ビデオ映像が大きな決め手になったというのなら、本当に顔や校章が判別できたのかと疑問を抱くのが通常の思考だろう。

少年が幼児を誘い出すために呼び掛けた内容も、「ゲームをしに行こう」や「お父さんやお母さんのところへ行こう」と違う情報が流れている。

幼児の衣類についても、遺体の側に散乱していたという報道もあれば、駐車場の1階部分にまとまって置かれていたという報道もある。

あまり先走った憶測はしたくないが、幼児の画像公開や目撃者の公表をしないようなので、報道されている内容から自分なりに推測(妄想)した事件(捜査)の構図を示すことにする。


■ 警察が少年を犯人と特定した経緯の推測

現段階では、少年が犯人として特定されたのは警察の「見込み捜査」の結果ではないかと考えている。

捜査当局は、早い段階から、あの少年かどうかは別として少年の犯行だと考えていたようだ。

少年が補導された(7/9)後に、「長崎新聞」は、「事件発生から四日後、あるタクシー運転手は捜査員から「駿ちゃんは若い男と一緒でした。例えると、二人はお兄ちゃんと小さい弟という感じなんですが」と、尋ねられたという。事件発生当初の漠然とした聞き込みから大きく具体化した捜査員の質問は、画像解析が進むにつれて捜査対象が絞り込まれていったことを意味する。」(「長崎新聞」7/10:http://www.nagasaki-np.co.jp/press/yuusatu/07/32.html )という記事を報じている。

「事件発生から四日後」と言えば、事件発生を連れ去られた日(7/1)と考えると5日の話である。

捜査当局は5日前後になぜそのような判断を持つようになったのであろうか。

「長崎新聞」は画像解析が進むにつれと説明しているが、浜町アーケードの防犯カメラに幼児を連れて歩く若い男が写っていたことが初めて報道されたのは5日だから、画像解析が進むにつれではなく、捜査当局は、映像を入手した初期段階で既に少年事犯だと考えていたと思われる。

「長崎新聞」自身が、7/8掲載の記事で、「男は白い半袖シャツ、黒いズボン姿で、さらに白い靴を履いていたことが新たに分かった。一方、有力な目撃情報が乏しく、捜査本部は七日、専用電話(ホットライン)を設置した。」( http://www.nagasaki-np.co.jp/press/yuusatu/07/19.html )と報じているのだから、タクシー運転手の話を画像解析の進捗に結びつけるのは事後的な解釈だと言える。

私は、不鮮明だとされてきたビデオ画像が少年事犯だという判断を導いたわけではなく、駐車場に残されていたという運動靴の足跡と補導された少年の自宅がある施設でたびたび起きたという男児への性的いたずらが結びついて生まれた判断ではないかと推測している。

ビデオ映像については、「二人が写っていたのは、浜市商店連合会(田中直英会長)がアーケード両脇の高さ四・五メートルの位置に設置した防犯カメラの映像。画像は不鮮明なものが多く、男児の顔立ちからは駿ちゃんと断定できないが、事件当日に着ていた青いTシャツ、ベージュ色の半ズボンなどを手掛かりに本人との見方を強めている。駿ちゃんを連れていたのは二十代以下の若い男とみられる。」(「長崎新聞」7/6:http://www.nagasaki-np.co.jp/press/yuusatu/07/12.html )という記事がある。

誰かはわからない連れの顔ではなく、特定できる幼児でさえ断定できない映像なのである。

やましたさんが『「検証」映像アップデート(7/11 23:00)』( http://www.asyura.com/0306/nihon5/msg/550.html )で紹介されているサイトで関連TV番組をまとめてくれているのを見ての判断だが、商店のシャッターが降りた夜8時過ぎに広角レンズで撮影された防犯カメラのビデオ映像では、顔の特定や校章の特定はできないと考えている。
(だからこそ、幼児だけでもビデオ映像を公開すべきだと主張している)


防犯カメラの映像内容が徐々に明瞭になったのように報道されたのは、画像解析の進捗によるものではなく、関連捜査の“進捗”によるものだと考えている。
関連捜査の“進捗”内容が、ビデオ画像をそれに即するかたちで鮮明なものにした(リークさせた)のであろう。


このような推測から、7月7日時点で、あの少年が特定されていたと考えている。
(週刊文春などのフライング気味の報道も説明できる)


捜査当局が少年事犯だという判断に強く傾いたのは、駐車場で採取した運動靴の足跡だと思われる。
運動靴は少年が履くものという判断はあまりにも単純だが、それに大きな手掛かりを求めたのだろう。
そして、運動靴の型式からそれを指定している中学校や高校を洗った。
そうすると、事件が発生した家電量販店(ヤマダ電機)を遊び場とすると思われるあの少年が通っている中学校が該当した。
(あの中学校が該当運動靴を採用しているかどうか最初にチェックされたかも知れない)

次に絞り込みの対象となった情報は、事件発生後にビデオ情報よりも先に報じられたあの少年が住む大型商業施設で頻発したとされる男児への性的いたずら事件であろう。

「長崎市内で種元駿ちゃん(4つ)が誘拐、殺害された事件に関連し、駿ちゃんと同年代の市内の男児(3つ)が四月、同市北部の大型商業施設で何者かに全裸にされる事件が発生していたことが三日、分かった。男児を誘い込み駐車場付近で服を脱がせるなど共通点があり、捜査本部は同一犯の可能性も含め、関連を調べている。」(「長崎新聞」7/4:http://www.nagasaki-np.co.jp/press/yuusatu/07/02.html

「長崎市北陽町の会社員、種元毅さん(30)の長男、駿ちゃん(4つ)が誘拐、殺害された事件で、誘拐現場から約一キロ離れた同市千歳町の大型商業施設で四月、三歳男児が裸にされ放置された前日にも、四歳男児が暴行を受けていたことが四日、県警の調べで分かった。駿ちゃん事件の約二カ月前にも雑踏の中から男児を連れ出す事件が相次いだことから、県警捜査本部は三事件の関連に重大な関心を寄せて捜査している。」(「長崎新聞」7/5:http://www.nagasaki-np.co.jp/press/yuusatu/07/08.html


あの少年が住んでいた高層アパートに何人同じ中学に通う人がいたかどうかわからないが、高層アパートに住んでいて該当中学校に通う少年が数人リストアップされたと思われる。
あの少年は駐車場の足跡から特定された運動靴を事件後も履き続けていたと報道されているから、監視下に置かれた後もリストから落ちることはなかったはずだ。

そして、あの少年も含めてリストアップされた少年の言動や性格について聞き込み捜査が行なわれたのだろう。

このような聞き込み捜査が、あの少年の父親に、「事件後、噂は飛んでいたが、「まさか自分の子が」という認識を語らせ、「少年の同級生たちは「何も知りません」「分かりません」と一様に口を閉ざしたまま。三年生の女子生徒は「事件のことは校内でかなりうわさになっていた。他校の生徒からも『犯人はおまえの学校の生徒だ』と言われていた」と話す一方、二年生の女子は「あり得ない。先生は『この学校にはそんな生徒はいない』と否定していたのに…」とぼうぜんとした表情。」(「長崎新聞」:http://www.nagasaki-np.co.jp/press/yuusatu/07/35.html )という状況を生み出したと考えている。


しかし、捜査当局が重要な手掛かりの一つとして考えたと推測するあの少年が住む大型施設で起きた男児への性的いたずら事件とあの少年の関係は、『小学生の息子が自宅周辺で数回、男にいたずらされる被害に遭ったという母親は、「少年補導」のニュースに眠れないまま翌朝を迎えた。少年と同じ長崎市内の集合住宅に暮らす。息子は少年と面識があるため、少年はいたずらの犯人ではないと分かっている。そのため少年の補導は「いまだに信じられない」』(「長崎新聞」:http://www.nagasaki-np.co.jp/press/yuusatu/kikaku1/02.html )と語っているように、無関係の可能性が高いのである。

また、路面電車の停留所で二人を見たという目撃証言があることを除けば、「誘拐現場から殺害現場までは、バスや電車で約三十分の距離。県警捜査本部は、二つの地点をつなぐ国道沿線のコンビニなどで、犯行当日の一日夜に勤務していた従業員らから事情を聴き、防犯ビデオの提出を受けて解析を進めている。現場付近に数路線を運行している長崎バス(本社長崎市)は「今のところ子ども連れの不審な大人や、子どもが嫌がり泣きだしたなどの情報は聞いていない」。長崎電気軌道(同)によると、駿ちゃんが行方不明になった午後七時台に、市中心部に向かう電車は二系統で二十四本運行しているが、事件につながる情報は得られていないという。一方、家電量販店周辺で営業するタクシー会社を中心に、各車両の運行ルートや日時を記す日報の提出を受けている。あるタクシー会社は「犯行当日の日報を三日、すべて提出したが、駿ちゃんに似た子を乗せたという話は出ていない」とし、捜査本部は交通機関からの有力な証言は今のところ把握していないもようだ。」(「長崎新聞」7/6:http://www.nagasaki-np.co.jp/press/yuusatu/07/15.html )という記事の範囲を超えた情報は出てきていない。

路面電車や商店街の歩きで40分間を費やしたとされているのに、二人を目撃したという証言はわずか一つだけなのである。
(それが誰の証言なのかを公表すべきだと思っているが、目撃証言がどの程度の信頼性かは、米国の大学で実験されて、白人を黒人と思い違えるなど不確実性も指摘されている)


幼児死亡事件の捜査当局は、「見込み捜査」を行ない根拠に乏しいままあの少年を犯人として特定したのではないかという疑念を払うために、ビデオ映像に幼児がどのように映っているかを中心とした“証拠”(あの少年を犯人とした根拠)を公開する義務がある。

そして、捜査当局の言葉による説明を鵜呑みにしてあの少年が犯人だと報道しているメディアは、冷静に自分たちが知っている事実は何なのかを顧みて、本当にあの少年が犯人だと納得できる“証拠”の公開を強く要求する責務がある。

あの少年と両親は、成人とは違って刑事裁判で証拠調べや反対尋問も行なわれることなく、捜査当局の発表やメディアが報じていることが“真実”とされ、死ぬまで「変態殺人犯」の一家という罪を背負い続けるのである。

自分自身が冷静に考えてあの少年が犯人だと納得できてから、好きなだけあれこれと報じればいいではないか。

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[参照書き込み]


『「長崎幼児死亡事件」に思う − 保護された少年の両親はどう対応しているのか −』
http://www.asyura.com/0306/nihon5/msg/461.html

『国務大臣の「ふざけた発言」が少年の親を動転させ萎縮させ事実究明を後退させる』
http://www.asyura.com/0306/nihon5/msg/514.html

『担当弁護士は「推定無罪」の観点から取り組む義務がある』
http://www.asyura.com/0306/nihon5/msg/539.html

『少年はいいから、亡くなった幼児が商店街を歩いている映像は公開すべき』
http://www.asyura.com/0306/nihon5/msg/554.html

『じゃあ、司法制度も不要でしょう』
http://www.asyura.com/0306/nihon5/msg/605.html

『警察による「拉致事件」!! − 少年の両親と担当弁護士はまずこの点から闘うべき −』
http://www.asyura.com/0306/nihon5/msg/608.html


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