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重大事件を起こした精神障害者の処遇を定めた心神喪失者医療観察法案が10日午後の衆院本会議で可決、成立した。施行は04年の春以降の予定。
法案によると、殺人や放火、傷害致死などの重大事件を起こしたが、刑事責任能力がないとして不起訴処分や無罪となった精神障害者に対し、裁判官と精神科医の合議で入院や通院を命じることができる。厚生労働省指定の国公立病院で治療が行われ、退院の可否や通院の終了時期も裁判所の合議体が決定する。入院の期限制限などがないため、「患者が必要以上に長期入院させられる可能性が残る」として、関係者から批判が強かった。
法務省と厚労省、最高裁は、同法案の成立を受けて(1)全国数十カ所の国公立病院で、10年かけて800〜900床を確保するために、専門病棟の建設に着手する(2)患者のアフターケアなどにあたるため、精神保健福祉士らから約50人の社会復帰調整官を採用する(3)合議に参加する医師を各地裁で採用する(4)審判手続きをスムーズに実施するため、検察庁内での規定を整備する――などの対応に取り組む。
法案は、昨年12月の臨時国会でいったん衆院を通ったが、参院での審議が今国会にずれ込み、字句修正などのため、参院本会議で先月可決された後に衆院に送られていた。野党の反対が強く、昨年の衆院法務委員会で、審議が途中で打ち切られて採決されたり、先月の参院法務委員会で強行採決されるなど、委員会審議は難航した。【伊藤正志】(毎日新聞)
[7月10日15時41分更新]
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030710-00001104-mai-pol