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学校の窓ガラスが割られる事件が、ここ数年急増している。学校や教師への反抗で「荒れる教室」が問題になったのは1980年前後。今は少し、状況が変わってきているようだ。子供たちは何にイラついているのだろう。【遠藤和行】
■一度に647枚
「1階の廊下に破片が散乱していました」と教頭は振り返る。福岡市内の市立中学校で5月18日朝、校舎のガラス84枚が割られていた。夜間に何者かが侵入したらしい。この中学では昨年5月にも、85枚が割られた。「なぜこの時期なのか」と教頭は首をかしげる。
今年5月10日朝には、千葉県四街道市の市立中で、理科室などのガラス計98枚が割られた。犯行の際に使われた木の棒が現場に数本残されていた。6月に入っても、神戸市内の小学校で7日、窓ガラス23枚が割られていた。道具はスコップだった。
毎日新聞の記事でみると、卒業シーズンの今年3月から6月上旬までに、少なくとも全国の約40校で1300枚以上が割られた。届けのないケースもあろうから、実際の被害はもっと多いとみられる。01年3月には、愛知県豊橋市の市立中学で一度に647枚が割られたケースもあった。
■「てるくはのる」も
窓ガラス破損に限った統計はないが、文部科学省が83年度から窓ガラス破損を含む学校の備品や飼育動物に関する器物損壊の件数を調べている。97年度から「故意にトイレのドアを壊した」「落書き」を例示するなどして、統計手法を変更したため単純比較はできないものの、それによると、95年度に1536件と初めて1000件を超え、00年度に9942件、01年度も9715件だった。
このデータから、80年代はほぼ横ばいだった被害件数が90年代中期以降、目に見えて増加していることが読み取れる。これは何を意味するのだろう。
一般に、少年たちの暴力行為は器物損壊に始まり、生徒間、対教師暴力と進む傾向がある。99年末、京都市で小2男児を殺害し、「てるくはのる」を名乗った男(当時21歳、自殺)は、事件発生1年前に奈良市内の高校の窓ガラス34枚を割っていたことが後になって判明している。
■数年後が怖い
評論家の芹沢俊介さんは「子どもたちの孤立化」を背景にみる。「校内暴力で特に荒れた80年代初頭は、ツッパリグループが学校や教師への不満から集団でやっていた。しかし、最近は単独で割るケースが増えたと聞く。自分に肯定感を持てず不安。それを発散するため、ガラスを割っているのではないか。群れても彼らの心はバラバラだ」
教育評論家の尾木直樹さんは「かつて教師はぶつかり合ううちに、生徒のムカつく理由に気付いていった。教師自身、とことんかかわろうとした。しかし現在、学校は警察の力に頼ることをためらわなくなった。両者の葛藤(かっとう)が激減し、生徒自身、はっきりしない怒りを抱えたままになっている」と話す。
さらに、尾木さんは教育制度の変化にも不安を指摘し、東京都荒川区などで始まった学力調査結果の学校別公表などを例として挙げる。「一方的な制度の改革は、教師や子どもへのストレスとなり、必ず影響が出る。数年後が怖い」
[毎日新聞6月10日] ( 2003-06-10-14:28 )
http://www.mainichi.co.jp/news/flash/shakai/20030610k0000e040086000c.html