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http://www.chunichi.co.jp/00/sci/20030805/ftu_____sci_____001.shtml
想定震源域に着目を
名古屋大 地震火山・防災研究センター 田所敬一助手
最終回は地震学の基礎的な事柄についてあらためて話したい。
【地震とは】地震調査委員会の資料には「地下の岩盤中に蓄えられたひずみのエネルギーを解消するために発生した断層運動」とある。岩盤に応力がかかるとひずみ、限界で割れる。割れた時の揺れが地震で、割れた面が断層だ。応力は力を面積で割ったもので、圧力と同じ。英語ではストレスという。
【断層のタイプ】断層は大きく分けて(1)正断層(2)逆断層(3)横ずれ断層−の三つ。正断層は滑り落ちるような断層、逆断層は反対にせり上がるような断層だ。日本列島の下にはプレートが沈み込み、押されているので、逆断層が多い。
【P波とS波】最初、どんと突き上げられ、その後、ぐらぐらと揺れを感じる。「突き上げ」が地震波と同じ方向に震動する縦波のP波で、「ぐらぐら」が進行方向に対して九〇度に震動するS波だ。P波は伝わる速度がS波より速いため先にくる。P波とS波の到達時間の差から震源までの距離を推定できる。
【震源と震源域】しっかり覚えてほしい。断層が動き、破壊する点が震源。最終的に破壊が広がった地域が震源域だ。ドミノ倒しで最初に押すドミノが震源で、倒れたドミノ全体が震源域。地震被害はどこで破壊が始まったかより、どこまで破壊したかが重要。一昨年、東海地震で見直されたのは、想定震源ではなく、想定震源域だ。
【震度】震度はある地震による、ある地点の揺れ。当初は震度6までで、四八年の福井地震後に震度7が追加された。気象台職員が震度を判断していたが、阪神大震災後、機械で自動的に決めるようになった。
【マグニチュード(M)】Mは地震そのものの規模。台風なら、Mが中心気圧で、震度は各地の風速に当たる。Mの値が1増えると、地震のエネルギーは三十二倍で、M6の地震は広島型原爆のエネルギーに匹敵。史上最大の地震は六〇年、M9・5のチリ地震。日本周辺でM8なら数十年に一回、M7で一年に一回程度は起きている。
【発生確率】「××断層で×月×日にM×の地震が起きる」というのが本当の予知。それは難しいため、国の地震調査委員会は「××断層で今後××年以内に××%の確率で大地震が発生する」という情報を公開している。今後三十年以内に宮城県沖は99%、糸魚川−静岡構造線は14%、養老−桑名−四日市断層帯は0・6%以下だ。パチンコの大当たりは0・3%、飛行機事故で死亡する確率は0・005%で、これらより高い。危機管理の観点からは、ゼロでない限り、いつ来てもおかしくないと思っていた方がいい。
(名古屋市生涯学習推進センターでの市民向け講座から)=おわり