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この記事での注目部分。
>私が思うに、今日明文化されている量刑指針は全体的に均衡が取れていな
>い。立法者が無知である結果だ。人間は自分が理解できないことを最も恐
>れる。米議会でより厳しい刑罰を求めている議員たちは、コンピュータの
>具体的な仕組みについてほとんど理解していないようだ。US Patriot Act
>ではそれが最も顕著に表れている。これは9.11の同時多発テロ事件を受け
>て成立した不適切な法律の寄せ集めで、特に、犯罪的なハッキングは国際
>テロに関係していると見なしている。本当かねえ?
>
> どうにも納得がいかないのが、ここ米国では強姦犯の懲役が平均10年で
>あることだ。もし犯人が人間を襲うのではなく、インターネット上にウイ
>ルスを拡散させるという罪を犯していたら、強姦罪と同じかそれ以上の量
>刑が科される可能性がある。暴力犯罪によって被害者が後々まで被る物理
>的・心理的被害が、コンピュータウイルスによるバーチャル世界の一時的
>な被害と同等であると本当に言えるだろうか?
以下、全文。
エンタープライズ:コラム 2003/09/08 18:22:00 更新
Opinion:サイバー犯罪に「適正な」刑罰を
http://www.zdnet.co.jp/enterprise/0309/08/epc06.html
MSBlastの亜種作成で逮捕された2人の若者は、かなりの重刑を科される可
能性がある。しかし、どんな魅力的な選択肢に思えたとしても、重い刑罰
を科すことは答えにならないのだ。
この原稿を書いている最中に、捜査当局がMSBlastワームに関係した2人
の容疑者を逮捕した。しかし逮捕されたルーマニア人のダン・ドミトル・
チオバヌ容疑者(24歳)と米国人のジェフリー・リー・パーソン被告(18
歳)は、手っ取り早く捕まえられるターゲットにすぎない。彼らがやった
ことと言えば、MSBlastのコピーをダウンロードし、それに若干手を加え
たバージョンを拡散させただけだ。いずれの逮捕からも、深刻な被害をも
たらした原種の作者についての手がかりはまったく掴めていない。
チオバヌ容疑者とパーソン被告は、自分の居場所について少なからぬヒ
ントを残していた。大学生のチオバヌ容疑者は、MSBlast.Fのコード内に
担当教授の1人に対する批判を記し、自分が通う大学のサイトにサービス
拒否攻撃(DoS)を仕掛けようとした。コード内には同容疑者の自宅住所
も含まれていたため、逮捕までそう時間はかからなかった。
パーソン被告は、MSBlastの実行可能プログラムに「T33kid」という自
身のスクリーンネームを使っただけだった。しかし、インターネット検索
エンジンを利用できれば、誰でもT33kidのサイト(現在は削除されている)
を見つけることができただろう。そのサイトにはミネソタ州にあるパーソ
ン被告の自宅住所が記されていた。同被告の両親は全米ネットのTV番組で、
息子について、良い子だが「聡明ではない、天才でもない」と語った。
ここでもっと大切なのはその背景である。これら2人は、MSBlastワーム
を実際に書いたわけではない。しかし捜査当局、ウイルス対策ソフトメー
カー、そして一部のメディアさえも、彼らの罪に対して最大限の処罰を科
すべきと示唆している。チオバヌ容疑者の場合、ルーマニアの新法の下で
最高15年の懲役を意味する。パーソン被告は、「Patriot Act(米愛国者
法)」と「Cyber Security Enhancement Act(サイバーセキュリティ強化
法)」によって、懲役10年から無期懲役の刑が言い渡される可能性がある。
実際には、この事件のことでMicrosoftが大騒ぎして、もっと重い刑罰
を科すよう強く主張しない限り、法の文言よりもはるかに軽い刑罰が言い
渡されるだろう。だがここで疑問が湧く。そもそもこれらの刑罰はなぜこ
んなに重いのだろうか?
私が思うに、今日明文化されている量刑指針は全体的に均衡が取れてい
ない。立法者が無知である結果だ。人間は自分が理解できないことを最も
恐れる。米議会でより厳しい刑罰を求めている議員たちは、コンピュータ
の具体的な仕組みについてほとんど理解していないようだ。US Patriot
Actではそれが最も顕著に表れている。これは9.11の同時多発テロ事件を
受けて成立した不適切な法律の寄せ集めで、特に、犯罪的なハッキングは
国際テロに関係していると見なしている。本当かねえ?
どうにも納得がいかないのが、ここ米国では強姦犯の懲役が平均10年で
あることだ。もし犯人が人間を襲うのではなく、インターネット上にウイ
ルスを拡散させるという罪を犯していたら、強姦罪と同じかそれ以上の量
刑が科される可能性がある。暴力犯罪によって被害者が後々まで被る物理
的・心理的被害が、コンピュータウイルスによるバーチャル世界の一時的
な被害と同等であると本当に言えるだろうか?
サイバー犯罪とその刑罰の均衡を釣り合わせる時が来たのだ。
私としては、世界に名を轟かせた有名ハッカー、ケビン・ミトニック氏
や、Melissaウイルスの作者デビッド・スミス被告のときと同じような、
もっと軽い刑罰を支持する。彼らが受けたのは、懲役3年、出所後はコン
ピュータあるいはインターネットへの接触を禁ずる3年間の保護観察とい
う刑罰だった(ミトニック氏は現在セキュリティコンサルタントを務めて
いる。スミス被告は間もなく3年間の保護監査下に置かれる予定で、この
先についてはまだ分からない)。そして(常にではないが)場合によって
は、私たち社会が許せば、有罪判決を受けたハッカーが自分の知識を何ら
かの形で社会に還元できる。
ウイルス作者に重い刑罰を科すことは――たとえ、今はそれがどんなに
魅力的に思えたとしても――答えにはならない。9.11後、ジョン・アシュ
クロフト司法長官とその一派がサイバー犯罪への刑罰を厳しくするように
なってから1年間は、大規模なウイルス事件が起きなかった。しかし先月
発生したMSBlastとSobigは、2001年7月に続けざまに発生したCode Redと
SirCamに匹敵する強力な猛威をインターネット上で振るった。つまり私た
ちは9.11以前の出発点に戻ったのである。
ここで記した刑罰に関する議論はおそらく時期尚早なのかもしれない。
米連邦捜査局(FBI)とシークレットサービスがパーソン被告を捜査した
のは、Microsoftがこの問題を非常に積極的に追及したからにすぎない。
もし比較ができるほど多くの逮捕者がいたなら、それぞれの犯罪に対する
適切な刑罰を見出すことができるだろうか?
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