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[2003/08/28]
経産省が独自OSを開発!? ―― 一部報道の真相
http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/NC/NEWS/20030828/134319/
「『基本ソフト、ウイルスに強く――経産省、民間とチーム』経済産業
省はコンピューターウイルスの攻撃に強い基本ソフト(OS)づくりに乗り
出す…」。 8月28日付の日本経済新聞朝刊に、このような記事が掲載され
た。内容を額面通りに受け取ると、日本政府がLinuxやトロンをベースに
した独自OSを 2005年度までに完成させるという、大スクープである。結
論から言うと、この記事は飛躍しすぎであり、実現の可能性はほとんど見
えていない。
記事の内容をまとめると、こうだ。「来年度中に民間のシステム会社な
ども交えた開発チームをつくり、Linuxやトロンを改良したOSを2005 年度
までに完成させる。防衛庁など機密情報を扱う政府部門での採用を目指し、
将来は民間企業にも開放する。ウイルスが侵入してカーネルが被害に遭っ
た場合、自動的に修復する機能を導入する」。
日経コンピュータの取材によると、経産省は来年度から、Linuxなどオ
ープン・ソースOSのセキュリティを高めるための技術や、電子政府で採用
する前提でどのような機能が要求されるのかについての調査研究を始める。
しかし、経産省が主体となってOSそのものを開発する事実はなく、来年度
に民間企業と共同で独自OSの開発に乗り出す事実もない。
記事の根拠は、経産省が提出した来年度予算の概算要求にある。電子政
府行政情報化事業として、6億円を要求している。そのなかの1億円を、
「セキュアOSに関する調査研究費」に充てる計画だ。あくまで要求なので、
予算が下りる確証はないが、仮に下りれば、来年度からセキュアOSに関す
る何らかの研究会が発足することになる。
ここで言うセキュアOSとは、高度なセキュリティ機能をOSレベルに実装
するためのミドルウエアとオープン・ソースOSの組み合わせ、もしくは、
高度なセキュリティ機能を実装したオープン・ソースOSのことである。前
者のようなミドルウエアは韓国のソフト会社「セキュブレイン」などが提
供している。後者は国内の大手インテグレータなどが開発を進めている模
様。
経産省はこれらセキュアOSを電子政府で採用するにあたって、どこまで
のセキュリティ機能が必要か、どんなシステムに適用するのか、といった
ことを、1億円の予算内で調査しようとしているのだ。要は、Windowsに代
わる第2の選択肢の実用性や実現性を見極めようとする試みである。すで
に総務省が同じような試みを今年度に実施しており、別段、目新しい取り
組みとは言えない。
ただし、総務省の「セキュアOSに関する研究」は今年度限りで終了し、
来年度は継続しない。そのため、政府のセキュアOS採用の実現性は、事実
上、経産省に委ねられることになる。「電子政府の脱Windows」に向けた
政府の取り組みは、今年度に引き続き、来年度も続くことになるが、まだ
第一歩を踏み出したばかり。その可能性はまだ見えていない。
(井上 理=日経コンピュータ)
上記の元記事。
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日付:2003/08/28(朝刊)、要約は下記URL
基本ソフトウイルスに強く 経産省、民間とチーム リナックスなど改良
http://www3.nikkei.co.jp/kensaku/kekka.cfm?id=2003082803860
経済産業省はコンピューターウイルスの攻撃に強い基本ソフト(OS)
づくりに乗り出す。マイクロソフトのパソコン用OS、ウィンドウズの欠
陥を狙うウイルス被害が急増しているためだ。来年度中に民間のシステム
会社なども交えた開発チームをつくり、リナックスやトロンといった公開
型のOSを改良。2005年度の完成をめざす。
新OSはまず防衛庁など機密情報を扱う政府部門での採用をめざす。将
来は民間企業などにも開放する。経産省は8月末に財務省に提出する来年
度予算の概算要求に初年度分として数億円の経費を盛り込む。
新OSには高いセキュリティー機能を持たせる計画。ウイルス被害を最
小限に抑えるためファイアウオール(隔壁)を内蔵し、ウイルスが侵入し
てもシステムの一部に封じ込められるようにする。カーネルというOSの
中核部が被害に遭った場合に自動的に修復する機能も導入する。
また外部からのシステムへの侵入に備え、コンピューターやネットワー
クに接続すれば、アドレスなどの履歴が残る仕組みも採用、犯人を追跡し
やすくする。
新OSは安全性を重視するため、ウイルスの攻撃には強い代わりに、デ
ータのやり取りなどの手順が従来より面倒になる可能性がある。このため
安全保障や外交などセキュリティーの確保が最優先される分野で採用され
る見通しだ。
中国政府などはリナックスをベースにした独自OSの開発に取り組んで
いる。日本政府も全省庁にまたがる人事・給与システムにリナックス採用
を決めるなど世界的に「脱ウインドウズ」の動きが始まっている。