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(回答先: ビッグ・リンカー達の宴 投稿者 エンセン 日時 2003 年 8 月 14 日 06:22:11)
インナー・サークル
インナー・サークルとは実業界全体の利害を代弁するビジネスリーダーの小集団であり政治的にもリーダーシップを発揮する権力中枢である。インナー・サークルになるためには
1 社内での昇進 大企業の上級経営幹部に昇進する。
2 外部取締役就任 他のいくつかの大企業の取締役会に外部取締役として名を連
ねさまざまな業種の経営問題に関与しグローバルな観点を身
につける。またそのことで社外的にも一定の評価を獲得する。
3 最高経営幹部昇進 大企業の最高経営責任者(CEO)かそれに次ぐ地位に昇進
する。
4 経済団体の指導部 ビジネス・ラウンドテーブルやビジネス・カウンシルなどの
主要経済団体(日本では経団連や経済同友会に相当)に参画
する。また慈善団体や大学やシンクタンクなどの理事会にも
参加する。
5 政府活動 政府機関の諮問委員会のメンバーになることで経済政策に関
与する政府高官と親密な関係を築く。また多くの場合自らが
政府高官として就任するケースが最近目立っている。
● デビッド・ロックフェラー
スタンダード・オイル創業3代目の誰もが認めるロックフェラー家の継承者である。
ロックフェラー一族が管理する財団、基金の事実上の責任者でもある。
1969年から1980年までチェース・マンハッタン・バンクのCEOを務め、辞任後もヘンリー・キッシンジジャー氏と共に同銀行の国際諮問委員会の会長として支えている。また米外交政策立案機関として有名な外交問題評議会(CFR)議長を長く務め(現在は名誉会長)欧米主要政財界人で構成されるビルダバ−グ会議や欧米日三極委員会(TC=トライラテラルコミッション)を主催している。
三菱商事の社長であった藤野忠二郎氏はかってチェース・マンハッタン・バンクの国際諮問委員会に就任していたこともあり、歴史的にもロックフェラーグループと三菱グループとは比較的関係が深い。
(日本企業でもアドバイザリーボード(社外顧問会)や国際諮問委員会を設置する企業が増えているが顧問的役割にとどまっている。米国ではチェースにしろJ・P・モルガンにしろその権限は取締役会に匹敵する。アメリカン・エクスプレスなどは国際諮問委員会にキッシンジャー氏を招き対中関係強化に向けた取り組みを行っている。)
● J・P・モルガン
●ソニー躍進の背景
2000年2月2日にジャパン・ソサエティー主催でソニー創業者、盛田昭夫氏をしのぶ会がニューヨークで開かれ、新生銀行の取締役に就任したデビッド・ロックフェラー氏、ヘンリー・キッシンジャー元国務長官、そしてソニーの社外取締役であるピーター・ピ−タ−ソンCFR議長などアメリカのエスタブリッシュメントが勢揃いした。
このソニー創業者である盛田氏の人脈は1969年3月のJ・P・モルガン国際委員会役員就任にさかのぼることができる。この「モルガン人脈」こそがソニーの発展を陰で支えたのである。
その後盛田氏はモルガン系企業との連係により新事業参入にも乗り出す。
1972年モルガングループの中核IBMの子会社WTC社の取締役就任、1979年プルデンシャル生命保険と折半出資でソニー生命の前身であるソニー・プルデンシャル生命保険設立(取締役会長就任)、1980年パン・アメリカン航空の取締役に就任する。
同時に日米賢人会議、経団連などの財界活動により日米財界人との交流を深めていくのである。モルガングループのGM(自動車トップ)のいすゞ自動車への大口株式所得やテキサス・インストゥルメンツ(TI−IC最大手)の日本進出にさいして仲介役を務めた。
●モルガングループの構成
モルガングループの中核を担うJ・P・モルガンはモルガン・ギャランティー・トラストの持株会社でジョン・ピアポント・モルガンにより1861年に設立された。法人、機関、富裕家族などの顧客サービスに特化した名門ホールセール(純粋卸売)バンクである。
現在その運営は執行役員(Management)、取締役会(Board of Directors)、国際委員会(International Council)、諮問委員会(Directors Advisory Council)の4部門で行っている。 最高意志決定機関である取締役会は18名で内2名が内部取締役で16名が社外取締役で構成されている。
現在のダグラス・ワーナーCEOは自ら総合電機最大手ゼネラル・エレクトリック(GE)と総合エンジニアリング最大手ベクテルの取締役を兼任しておりモルガングループの結束を担っている。
GE、ベクテル以外にもモルガンと歴史的に関係が深いゼロックス、ハネウエル、テネコ、デュポン、フェルプス・ダッヂなどのCEOおよび元CEOが外部取締役として参画している。特に注目すべきは1999年に合併した国際石油資本最大のロックフェラー系エクソン・モービルのリ−・レイモンドCEOが名を列ねている点であろう。
盛田氏が役員を務めた国際委員会には後任として小林陽太郎富士ゼロックス会長が選任されている。会長はジョ−ジ・シュルツ元国務長官が務めシンガポールのリー・クワン・ユーやダイムラー・クライスラーのシュレンプ会長など世界を代表する政財界人が集結している。
注目はロイターとの結合関係である。実質ロイターとJ・P・モルガンは相互に役員を交換しあう緊密な関係にある。
●ロイターに集うモルガン人
ロイターのクリストファー・ホッグ会長がJ・P・モルガンの国際委員会役員に就任している。
またロイターの取締役会にはまもなく退任するJ・P・モルガンのロバート・メンド−サ副会長、モルガン・スタンレ−・インターナショナルのデビッド・ウォーカー会長、モルガン・スタンレー・ディーン・ウィッターのロバート・ボーマン社外取締役、ドイツ・モルガングレンフェルのジョン・クラーベン会長が結集しており国境を超えてグローバルに展開しているモルガングループの政策発信基地としても機能している。
ロイターは国際的なニュース配信ソースとして有名だが、実際には金融情報通信企業である。電子決済取引システムはロイターの「ディーリング2000」とJ・P・モルガンを中核とした「EBS」の寡占状態になっている。実質J・P・モルガンとロイターが連係しながら現在の巨大電子金融市場における絶対的な覇権を実現させたのである。
J・P・モルガンは1933年の銀行・証券業務兼営禁止を規定したグラス・スティーガル法成立によりいったんは商業銀行業務に専念するが、1935年に投資銀行業再開の為にモルガン・スタンレーを分離設立した。このモルガン・スタンレーは1997年にロンドン拠点としてモルガン・スタンレ−・インターナショナルを設立する。1997年にはディーン・ウィッターと合併しモルガン・スタンレー・ディーン・ウィッターとなり現在も名門投資銀行として第一線にある。
J・P・モルガンの前身であるロンドンJ・S・モルガン商会から派生したモルガン・グレンフェルは、1903年にJ・P・モルガンより分社したバンカーズ・トラストとともに現在はドイツ銀行傘下にある。
J・P・モルガンを中核にモルガングループ各社は時には競い合いながらも高度な情報と金融技術を提供しながらM&A&A(買収、合併、提携)を実行している。特にモルガングループの「アメリカ株式会社」の国益を最優先にした企業再編手腕は日本でも見習うべきであろう。
モルガングループはグリーンスパンFRB議長に代表されるように社内外役員をホワイトハウスや主要閣僚、連邦準備制度理事会、世界銀行などの政府機関に送り込み「アメリカ株式会社」の権力中枢に絶対的地位を確立している。
●アラン・グリーンスパンFRB議長
1987年レーガン政権下で就任して以来3期12年、そして4期目の続投も決定した。クリントン元大統領同様サックスプレーヤーとしても知られるが、ジュリアード音楽大学院出で2年間の演奏旅行を続けた実力は大統領の比ではないようだ。
ステージでスポットライトを浴びているかのように芸術的な演奏が続いている。
アラン・グリ−ンスパン氏はニューヨーク大学に学び、エコノミック・コンサルティング会社タウンゼント−グリーンスパンの会長となる。政府経済政策諮問委員会を歴任し次第に実力を認められる。また外部取締役としてアルコア、オートマチック・データ・プロセシング、キャピタル・シティーズ/ABC、ゼネラル・フーズそしてJ・P・モルガンの経営に参画していた。またシンクタンクとして名高いランド・コ−ポレーションの理事や国際経済研究所のディレクターとしても名を列ねた。
最近その手腕ばかりに目を奪われて不安視する論調も目立ってきているが、彼を支えるサポートメンバーに気付いていないようだ。スポットライトを浴びることなく裏方に徹している人物を忘れてはいけない。
●ポール・ボルカー前FRB議長。
チェース・マンハッタン銀行副社長(1965〜68)、政府財務省通貨担当事務次官(69〜74)、FRBニューヨーク議長(75〜79)を経て79年から87年までFRB議長を務めた。就任中は石油危機後のインフレに積極果敢に立ち向かった。辞任後も現世界銀行総裁ジェイムス・ウォルフェンゾーン氏に代わってウォルフェンゾーン商会の会長に就任し、外部取締役としてネッスル、アメリカ証券取引所、UAL等の経営に携わっている。また日米欧三極委員会の北米議長や外交問題評議会、アスペン研究所の理事も務めている。 新長銀の外部取締役としても内定しており、ネッスルとの関係から日米欧にまたがるネットワークの中心人物である。ネッスルはヨーロッパ財界団体であるヨーロピアン・ラウンドテーブルの会長を送りだしている。
特に注目すべきはグループ・オブ・サーティ(The Group of Thirty)の議長に就任している点であろう。先進国中央銀行総裁クラスを中心とした国際経済・国際金融における絶大なる影響力を持つ組織の事実上の最高幹部として強力なサポートを実現している。
このグループ・オブ・サーティの1999年時点のメンバーにはアジア金融危機を予言したマサチューセッツ工科大学のポール・クルーグマン教授も含まれている。時に「トリックスター」的演技でステージを盛り上げる米国屈指の若手経済学者である。
そしてもうひとりが
●ピーター・G・ピーターソン
商務長官(71〜72)、リーマン・ブラザース・クーン・ロブ商会CEO(73〜84)を経て現在はブラックストーングループの会長である。外部取締役としてロックフェラー・センター・プロパティーズ、ソニー、トランスター等に就任している。また外交問題で再大規模を誇る外交問題評議会の議長を務めている。そしてFRBニューヨークの副会長としてサポートにあたっている。
外交問題評議会発行の「フォーリン・アフェアーズ」1999年11/12月号で掲載された『国際金融構造の将来』ではピーター・G・ピーターソン氏自らがカーラ・ヒルズ元通商代表部代表と共同議長を務めた。このタスクフォースにはボルカー氏もクルーグマン氏も揃って参加している。他にフレッド・バ−グステン氏、ジョージ・ソロス氏等もそのメンバーである。
●チェイニー副大統領
これまでに大統領主席補佐官(フォード政権)、連邦下院議員(ワイオミング州)、国防長官(1代目ブッシュ政権、湾岸戦争を指揮)を経て1995年に石油関連会社ハリバートン社のCEO(最高経営責任者)に就任する。ハリバートン社は世界第2位の石油関連サービス会社で、石油の採掘や技術供与などのサポートを行っている。またユニオン・パシフィック社やP&G、EDSの社外取締役を務め、有力シンクタンクAEIやアスペン研究所のメンバーである。実質彼がオイルビジネス界全体を代表するインナーサークルの中枢にいる人物である。
●ライス国家安全保障担当補佐官
スタンフォード大学の教授。石油メジャー、シェブロンやチャールズ・シュワブの社外取締役を務め、J・P・モルガン国際委員会メンバーであった。国際委員会会長であり、インナーサークルの権化とも表されるジョージ・シュルツ元国務長官と厚い信頼関係で結ばれている。
●オニール財務長官
製紙大手インターナショナル・ペーパーの社長を経て86年にアルミ最大手のアルコア入りし、87年から99年までCEO兼会長を務めた。グリーンスパン米連邦準備理事会(FRB)議長もFRB入りする直前にはアルコアの社外取締役であり、これまでふたりは長い信頼関係を築いてきた。金融界出身ではないが、ルーセント・テクノロジ?社の社外取締役を兼任し、アメリカの経団連と呼ばれるビジネス・ラウンドテーブル、ビジネス・カウンシル、カンファレンス・ボードのメンバーを務めてきた。チェイニー副大統領と同じくAEIや国際経済研究所、ランド研究所の役員でもある。
●エバンズ商務長官
天然ガス・石油会社トム・ブラウン社のCEO兼会長。ブッシュ家とはビジネスパートナーとしての関係を超えた家族ぐるみの付き合いが続いてきた。トム・ブラウン社は『ある会社』と関係が深い。
●ゼーリックUSTR代表
プラザ合意、日米構造協議、日米自動車摩擦など主要な対日政策にかかわった知日派。
ブッシュ陣営のフロリダ開票監視団相談役かつ広報責任者を務めるジェイムス・ベイカー元国務長官がレーガン政権下で財務長官だったときに抜擢された。
ゴールドマン・サックスのインターナショナル・アドバイザーや『ある会社』のアドバイザリー・カウンシルを務めてきた。彼もアスペン研究所のメンバーであり、CFRやブルッキング研究所にも所属している。
●カード首席補佐官
ブッシュ前大統領の下で首席補佐官代理や運輸長官を務めた父親人脈の一人で、大統領選を控えた昨年夏の共和党全国大会を取り仕切った人物である。93年から98年まで米自動車工業会専務理事として日本の自動車市場の開放で数値目標の設定を強く求め、閣僚から業界ロビイストへの転身としても注目を集める。
そして99年にはゼネラル・モーターズ(GM)の副社長に迎えられた。
●トヨタ自動車
00年 5月23日 さくら銀、豊田章一郎氏ら社外取締役に。
00年 9月27日 三和などの3行統合、社外取締役に奥田トヨタ会長。
00年11月16日 あいおい損保、社外取締役に張トヨタ社長。
00年11月30日 野村が経営諮問機関、奥田トヨタ会長ら社外の5人が助言。
01年 1月 4日 NECの経営諮問委、張トヨタ社長らが社外委員に
また奥田トヨタ会長は、ウシオ電機の牛尾治朗会長とともに省庁再編の目玉である経済財政諮問会議のメンバーにも選任されており経済全般の運営や財政の運営、予算編成などの基本方針を審議することになっている。このトヨタ自動車もインターナショナル・アドバイザリー・ボードを設立しており、年2回の会合を行っている。メンバーには世界的な政財界人が集結しているが、ここにポール・ボルカー元FRB議長が参加している。世界の動きをいち早く入手できる人脈を有している。
当然のことながら「燃料電池実用化戦略研究会」にも渡辺浩之トヨタ自動車常務取締役が委員となっており、茅陽一東京大学名誉教授が部会長を務める「総合エネルギー調査会」総合部会にも奥田会長が委員となっている。
●ソニー
米世論調査会社ハリス・インタラクティブが、5月3日にまとめた企業の人気ブランド調査で、フォード(2位)、GE(3位)、トヨタ(4位)、GM(5位)をおさえてソニーが2年連続で1位となった。
ソニーは、今年2月のビベンディ・ユニバーサルとのインターネットでの音楽著作権サービス「デュエット」の合弁事業設立に続いて、世界3位のシェアをもつエリクソン(スウェーデン)と携帯電話事業での統合を発表する。
このソニーの欧州戦略は、日本企業の中でも際だっている。この戦略立案を支える部隊は、世界的にも数少ないトップエリートの社外取締役に支えられた取締役会である。
出井伸之会長自身もエレクトロラックス(スウェーデン)、GMに続いて食品・飲料大手ネスレ(スイス)の取締役会に新たに就任する。また、森尾稔副会長も世界最大の米半導体製造装置メーカー、アプライド・マテリアルズと沖電気工業の社外取締役に就任する。
そして4月27日の取締役会で、スイスのエンジニアリング大手、アセア・ブラウン・ボベリ(ABB)の前社長兼最高経営責任者(CEO)のヨーラン・リンダール氏(56)を社外取締役に起用することを決める。
このヨーラン・リンダール元CEOもデュポンとそしてエリクソンの社外取締役であり、ソロモン・スミス・バーニー・インターナショナル(米)の国際諮問委員会のメンバーである。今回のソニー・エリクソン事業統合の背景には、この取締役兼任のネットワークが有効に機能したようだ。なおABBの取締役会には、昨年までラムズフェルド現国防長官(ギリアド・サイエンス会長、アミリン製薬社外取締役、サロモン・スミス・バーニー・インターナショナル顧問会議議長兼任)やピーター・サザーランドWTO元事務局長(現ゴールドマン・サックス・インターナショナル会長、BPアモコ元会長)も就任していたが、サザーランドWTO元事務局長もエリクソンの社外取締役であった。
さてこのアセア・ブラウン・ボベリ(ABB)は、卓越した組織戦略を行うグローバル企業としても有名であるが、世界約140ヶ国に1,000社のグループ会社と約22万人の従業員を擁しており、スイス本社は135人だけで運営されている。主な業務分野は、発電所、電力転送、電力配布、輸送、環境および産業分野の制御である。昨年、原子力部門を英核燃料会社(BNFL)に売却し、現在は、風力、マイクロガスタービン、燃料電池等の代替エネルギー開発に取り組んでおり、小規模分散型電源への移行を進めている。
また環境分野での欧州内のリーダー的存在であり、「持続可能な発展のための世界経済人会議(WBCSD)」の中核を担っている。