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(回答先: Re:新たなる国生みへの手がかりへ 《共同的資本主義論》 投稿者 馬場英治 日時 2003 年 7 月 30 日 12:24:26)
マルハナバチさん:
一通り,私の構想をお話しました.
共同的資本主義の3つの基底要素は,個別にはそれぞれなんらかの形で既に試され
れ,あるいは試されようとしています.政府貨幣によって国家債務を帳消しするという
前代未聞の実験はどの政府も試みたことのない大胆な企てですが,おそかれ早かれ
(国際金融資本家の許諾の下で)どこかの国(多分まず日本)で実施されると思います.
消費税は言わば取引税の前駆形式であり,その不徹底かつ欺瞞的な代案であると見
ることができます.イスラム銀行は無利子金融を実用規模で展開しています.共同的
資本主義の中ではこれら3要素は固く結合し,強い相互依存関係にあります.共同的
資本主義からは,それらのうちのどの要素を取り除くこともできません.
共同的資本主義の原理は至ってシンプルなものです.このシステムはいわゆる西欧
型資本主義の構造体からそのサブシステムである「除分準備銀行システム」を除去し
てそれをそっくり,「電子化された共同的マネタリシステム」で置き換えたものです.
「電子化された共同的マネタリシステム」はこれまで説明してきた無利子金融と取引
税の自動徴収業務を含む中央銀行の電子的決済システムです.除分準備銀行とは
あまり熟した語ではありませんが,Fractional Reserve Bank の私訳で,預金
者から預かった預金のうち,一部のみを引き出しに備えて行内の金庫に保管し,残る
大半の部分を貸し出しに用いるという方式の銀行,つまり現行の普通の銀行です.
日本人の感覚では多分これは当たり前のように見えるでしょう.「だって預金を預かっ
たとき金利を付けるって約束したんだから,銀行がそのために何かしなくちゃならない
のは当たり前じゃないか.」 欧米人は必ずしもそう考えずこのような「預かり金を運用
して自己利益を挙げるシステムの合法性」を長いこと議論してきました.(預金者には
利益のごく一部を分配して,大半を自分のものとする,日本の場合はほとんどゼロ!
預金者の依頼にそのような行為を許すことが含まれていたか?失敗しなけりゃいい
んじゃないの?では実際に失敗したとき,彼らはどのように行動しただろう?)
イスラムの法典ではもっと直裁に利息を取ること自体を禁じています.いずれにせよ,
銀行システムの非倫理性,経済に対する弊害は目に余るものがあります.世界貿易
取引総額の何十倍というお金が毎日取引されているという外国為替市場に見られる
ように,我々の生存する実体経済のはるか上空で途方も無い額の余剰資金(あっし
ら氏の用語)が動いています.(それら資金の利己的・破壊的影響力によって,東南
アジアの経済は無残にも壊滅した.)その源泉をたどればそれらはすべて,もともと
は「銀行システム」を通じて経済母体から吸い上げれ,また吸い上げられつつある
(法王ピウス6世の言葉を借りれば)我々の生き血(life blood)であったのです.
我々は完全な代案を用意することができたのでしょうか?我々は銀行システムある
いは寄生者と呼ばれる悪性の癌組織を開腹して完全に切除しましたが,まだやり残
したことがあります.つまり,すみちゃんの指摘する「財閥」が復活する可能性が残っ
ています.我々のシステムでは利息を取る金融行為は原則として排除されます.
社債などの有利子債券は残りますが,これは金融行為ではないとしました.しかし,
「持ち株会社」から見れば子会社からの巨額な株式配当は利子とほとんど同じ寄生
的性格を持つことになると見られます.つまり,まだ蛇の抜け道は残っています.
国家は大きな株式会社であり,株式会社は小さな国家であると前に述べました.政
府の発行する政府貨幣は償還期限無期限で利子率ゼロの国債であり,同様に会社
の発行する株式は償還期限無期限で利子率変動型の社債であるという類似性に着
目したものです.国家は大きな株式会社であるというのはよいとして,株式会社は小
さな国家であるというのはただのレトリックじゃないか?と思われるかもしれません.
その実例を挙げましょう.巨大な独占企業とその複合体はすでに「国家の中の国家」
であり,親国家を実質的に乗っ取っています.違うでしょうか?もし,独占企業がその
利益を国民に還元するという道を選ぶことができれば,その国民経済にはさらなる成
長の可能性が開けます.しかし,かれらはその道を決して選択することはありません.
(利益還元の手段も,それを行なう理由も持たないからです.)歴史から学ぶならば,
彼らの前に開けている道は否応も無く「戦争に向かっている」ことを知ります.
実は我々のシステムにはささやかながら独占が復活することを防止するための装置
が既に組み込まれています.外形課税と呼ばれているものがそれです.この租税は
本来,脱税を企図する偽装合併によって見かけ上のトランザクションを圧縮する行為
に対するペナルティとして用意されたのですが,その本来の意図を超えて,独占に対
する歯止めとして用いてもよいことに気付きました.もちろん対抗手段としては独占禁
止法(1997年改正で持ち株会社解禁)もありますが,ときに適用面での技術的困難
を見ます.外形課税は資本金額・従業員数・取引額その他まったく外形的なファクタ
から自動的に課税額を算出します.これらの数値は支配下にあるすべての子会社
の要素を含みます.外形課税では会社を強制的に分割することは行いません.
外形課税なんてちゃちなもので間に合うだろうか?と言われるかもしれませんが,
私は十分ではないかと考えています.なぜなら,彼らはすでに彼らの犯罪活動のセ
ンターであり,弾薬庫である銀行を失っているからです.外形課税は上記のように重
層化した親会社・小会社のヒエラルキーの各段階すべてのノードに重複的に課税さ
れるかなり懲罰的色彩の強いものになるだろうと思います.証券取引所はすべての
企業の株主名簿を電子的に管理し,外形課税算出時それを中央銀行に提供します.
取引税率はまったくテクニカルな問題ですので,ここで議論するに当たりませんが,
私見では1%というのが目安ではないかと思っています.所得税の税率を考えると10
%くらいまでは許されそうな感じもしますが,平均的流通マージンが5%〜25%であるこ
とを考えると,どんなに高くとも3%超というのは受け入れられないと思います.業界・
業種により,取引マージンにはかなり差があります.中には1%でも無理という業界
も有り得ると思いますが,業種ごとに税率を変えるなどのことは行なわない方がよい
と思います.障害者のための作業場であるとか,労働集約型のリサイクルを行なって
いる企業その他合理的理由で取引税が重負荷となるようなところに対しては,税率の
緩和ではなく,還付ないし助成のような支援の方が適切だと思います.
個人所得には定率の取引税がかかるので,これまでの所得税は極めて低率の取引
税に置き換わります.しかもこれはこれまでの累進課税ではなく完全にフラットな均
等課税です.所得税のこのドラスティックな軽減が経済にどれほどのインパクトを与
えるかは計り知れないものがあります.これまで相当高額の所得税を納めてきた階
層つまり,会社役員・弁護士・議員・専門家その他,上級職種に携わって来た階層は
初めて手に入れた「名目所得を丸ごと使う」幸福に天まで舞い上がることでしょう.
英治
ps: 普通銀行員という職種は地上から消えますが,彼らには中央銀行職員という
新しい椅子が待っています.(手が足りません.)実際のところ,現存する資本主義
システムで置き換わるところというのはたったそれだけなのです!そう考えると,こ
のプランに反対する人間が果たしているのだろうか?という気さえしてきます.ご存
知のように経営者のほとんどはサラリーマンです.この「革命」で不利益を被るひと
は本当に一握りであるだろうことは目に見えています.彼らこそは真の「寄生者」で
あり,その人名リストを作れば,そのあまりに短いことに驚くのではないでしょうか?
確かに,ビル・ゲーツの巨万の富の大半は彼の所有する彼が設立した会社の株式
の現実離れした価格に拠るものであることは確かであり,それが額面に戻るとしたら,
一挙に(彼にしてみれば)貧乏になってしまうかもしれませんが,それがどうしたとい
うのでしょう?どっちにしてもそれを「持っている」というだけで,売却するという訳に
はいかないのだし(それをすれば値が一挙に下がってしまう),死ぬまでその価格を
維持できるかどうか?も分らないのだから,と慰めてやりましょう.
もっぱら脱税で巨利を得てきた人たちにもよいニュースではないかもしれませんね.
脱税は現行法の下でも犯罪ですから,彼らには自分たちがこれまでに冒してきた
犯罪について反省してもらうしかありません.