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(回答先: Re: セックスのない結婚は「珈琲を入れないクリープ」。 投稿者 マドオンナ 日時 2003 年 6 月 13 日 19:28:11)
夫婦だからセックスしない症候群
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愛しているのに今夜もベッドで違う夢を見る2人。
セックスレスのカップルが増えている原因は、
仕事や子育てが忙しすぎるせい?
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キャスリーン・デベニー
マディー・ワインライクにとって、セックスは喜びのはずだった。以前は体に活力が戻ってくる気がしたし、夫ロジャーとの絆も確認できた。
でもヨガを教え、2人の子供を育てながら家事をこなすうちに、喜びより負担を感じはじめた。そして新たに自分のビジネスを始めると、マディーは疲れきってセックスどころではなくなった。
今は1人で先にベッドに入り、夫が来る前に眠ってしまうことが多い。セックスを求められても「疲れてるの」と断る日が続いた。それでもロマンチックなムードを演出しようと、夫は寝室にキャンドルをともす。「それを見て『勘弁してよ』って思った。自分にないものを要求されてるみたいで」
最近、なかなか「その気」になれないカップルが増えているらしい。帰宅してお風呂に入り、子供に本を読んでやり、軽くお酒を飲んでメールをチェックしたら、後はセックスをするよりトーク番組をぼんやり見ていたい――そんなふうに感じてしまう理由はいくつも考えられる。働きすぎ、家計の心配、子供の送り迎えで忙しいこと。愛用の抗鬱剤が性欲減退の原因かもしれない。
もちろん、いい関係のカップルでも情熱の波はある。でも、スターバックスで若い母親たちの会話に耳を傾けると、どうやらセックスレスの時代が訪れているようだ。
回数が減ったら危険信号
アメリカの既婚者は約1億1300万人。一部の心理学者は、全体の15〜20%がセックスレス(専門家の定義では1年間の性交渉が10回以下)のカップルだと推定している。この範疇には入らない夫婦も、以前に比べて性交渉の回数が減ったと感じている。
一般にセックスを嫌がるのは女性だと思われているが、男性の性欲減退も目立つ。セックスレス夫婦の数は「統計よりずっと多い」と、『セックス欠乏の結婚生活』の著者でセラピストのミシェル・ワイナー・デービスは語る。
それが本当なら大問題だ。実際、最近はセックスレスの話題をあちこちで耳にするようになった。
トーク番組では、セックスレスをテーマにした本がたびたび取り上げられている。女性の性欲回復を効能にうたうハーブの調合剤アブリミルは、今年1月に発売されてから1カ月で20万箱が売れた。製造元には、電話の問い合わせが1日に3000件あるという。
ロバート・ライシュ元米労働長官は、アメリカ人の働きすぎについての講演で、セックスレスをジョークのネタに使った。ひところ共働きで子供がいない夫婦をDINKS(ダブルインカム・ノーキッズ)と呼んだが、ライシュに言わせれば、最近の共働き夫婦はDINS(ダブルインカム・ノーセックス)なのだそうだ。
理想的な性交渉の回数は専門家にも不明だが、多くのカウンセラーは「適度に」したほうがいいと口をそろえる。セックスは夫婦間の絆の一部でしかないが、幸福な結婚生活はたいてい性交渉を伴う。
セックスの頻度で夫婦生活の健全度が測れるかもしれない。もし急に回数が減ったら、深刻な危機に陥っている可能性がある。性交渉は「環境破壊に敏感に反応するある種のカエル」のようなものだと、ワシントン大学で家族調査研究所を主宰する心理学者のジョン・ゴットマンは言う。
専門家によれば、セックスにはカップルの結びつきを維持する効果がある。逆に夫婦のどちらかが回数に不満だと、離婚にいたるケースもある。そうした不満は生活全体に及び、他の家族との関係や仕事の業績にも影響しかねない。
ベストセラー小説やゴールデンタイムのテレビコメディーは、セックスレスの実態を強調してみせる。たとえば、アリソン・ピアソンの『アイ・ドント・ノウ・ハウ・シー・ダズ・イット』。主人公の疲れ果てたワーキングマザーは、奥歯の1本1本を20回ずつ磨く。その間に夫が眠ってくれればいいのに、と思いながら。
信用できない世論調査
テレビドラマ『Hey! レイモンド』の人気者レイ・ロマーノは、妻となかなかセックスできない男を演じてジョークを連発している。番組の制作も手がけるロマーノは、ドラマは実生活からヒントを得ていると本誌に語った。
「子供ができてから何もかも変わった。セックスは3カ月に1回。だからセックスしたら、四半期ごとの税金を計算する時期だとわかる。オーラルセックスなら(4年ごとの)免許の更新時期だ」
現実の夫婦のなかには、セックスレスを現代生活の一部として受け入れるカップルもいるようだ。2人の子供をもつニューヨークの弁護士アン(39)もその一人だ。
結婚当初は、夫と毎日のようにセックスをしていた。でも、今では5歳の娘が夫婦の寝室に毎晩やって来る。そのうち犬までベッドに入れろと鳴きはじめる。
「3時か4時には、いびきのうるさい夫をベッドから追い出す。夫は娘のベッドにもぐり込み、ティンカーベル模様の明かりを顔に受けて眠るの。これでセックスなんてできるわけないでしょ?」
不思議なのは、統計を見ると何も問題はないようにみえることだ。シカゴ大学世論調査センターが昨年行った調査では、アメリカの夫婦はセックスを年間68.5回、週に1回強しているという結果が出た。この数字はここ10年、ほとんど変わっていない。
世論調査の回答者が真実を語っているとすれば、セックスレス問題は根拠のない神話ということになる。この調査によれば、働く既婚女性も専業主婦と同じようにセックスをしている。また、既婚者は結婚の経験が一度もない人に比べて、年に6.9回も多くセックスしているという調査結果もある。
ただし性生活に関する世論調査は、額面どおりに受け取るわけにはいかない。性交渉の回数を正直に答える人は少ないからだ。いくら社会科学の発展に貢献するためとはいえ、体裁の悪い話をあえて打ち明ける人はほとんどいない。
研究者が回答を強く迫ると、ほぼ全員が「週に1〜2回」と無難な答えを選ぶ。この数字は1953年の『キンゼー・リポート』がアメリカ人の集団意識に刷り込んだ基準値だ(同リポートは調査対象の選び方に問題があり、今では信頼性が低いとされている)。
「そのせいで、どの程度が『普通』なのか把握できない」。そう語る社会学者のペッパー・シュワーツは、新婚1年目は週3回で、その後はぐっと減ると推測している。本音をぶちまけても平気だとわかると、性交渉は月に1回もないと認める回答者も少なくない。
期待と現実のギャップ
問題は現実だけでなく、認識にもあるのかもしれない。私たちは年100回の性交渉という神話を心のどこかで信じている。しかもテレビや映画には、最高のラブライフを送る人物が次々と登場する。
こうなると、ほかのみんなは自分より性生活を楽しんでいると思いがちだ。テレビドラマ『セックス・アンド・ザ・シティ』のホットな女性たちはもちろん、『シックス・フィート・アンダー』に登場するぱっとしない中年の未亡人ルース・フィッシャーさえ、毎回いい思いをしているのだから。
ピルを手にしたベビーブーム世代は性革命の旗手であり、婚前交渉に罪悪感をもたない初めての世代だった。それだけに、情熱的な性生活が失われたことへの失望は前の世代以上に大きい。
「年をとっても結婚相手と情熱的なセックスを楽しめると考えるのは、ベビーブーム世代が初めて」と、セラピストのマーティ・クラインは言う。「現実が期待どおりにいかないと、多くの人が大変なショックを受ける」
実はセックスレスという現象には、長い歴史がある。紀元前411年に書かれたアリストファネスの喜劇『女の平和』では、アテネとスパルタの女性が両市の和議が成立するまで夫とのセックスを拒む。バージニア・ウルフの『ダロウェイ夫人』の主人公も、セックスのない結婚生活を送っている。
人々が最近になって突然、性生活に不満をいだくようになったのは、いくつもの複合的な要因によると、専門家は指摘する。まず鬱状態に悩む人が増えたこと。昨年、全米で処方された抗鬱剤の処方箋は2億件にのぼった。
避妊や人工妊娠中絶の合法化、女性の性メカニズムの解明によって、セックスをめぐる状況が過去40年間で一変した可能性もある。そして女性自身も変わった。70年代に職場進出して以来、女性の経済力は着実に上がった。現在、女性は全労働力の47%を占め、働く女性の約30%が夫より稼いでいる。
女性は史上初めて、夫と別れてもやっていける経済力を手に入れた。社会学者のアンドリュー・ハッカーは新著『ミスマッチ――広がる男女の溝』の中で、精神的に満たされなければ結婚生活を続ける意味がないと考える女性が増えていると指摘する。
ハッカーによれば、離婚の56.2%は妻が言いだしたもので、夫が言いだしたケースは23.3%にすぎない。女性が自発的に離婚を選べるようになれば、「夫婦生活の義務」の重要性は小さくなり、性交渉の回数をめぐる男女の議論も根本的に変わることになる。
背後にある女性の怒り
家族のあり方も変わった。従来、結婚生活が危機に陥りやすいのは最初の子供が生まれた年だった。新婚1年目を除けば、最も離婚が多いのは育児で寝不足になりがちなこの時期だ。
ところが一部の研究者によると、最近の親はそれ以外の時期にも、不健全なほど子供にのめり込む傾向がある。以前は子供の習い事といえば、ピアノかダンスを週1回という程度だった。それが今は、フランス語にチェロに、スポーツが3種類といった具合にスケジュールがぎっしりだ。
昔はレストランで親子連れの姿を見かけることがほとんどなかった。子供はレストランに連れて行くものではなかったのだろう。
でも最近の働く親たちは、子供と過ごす時間を少しでも増やそうとして、どこへでも連れて行きがちだ。その結果、夫婦2人だけの時間が犠牲になってしまう。
幼い子のいる親たちは、自分の性的側面を忘れてしまうことさえある。心理学者のゴットマンは、生後4カ月の子供をもつ夫婦のケースをあげる。ある朝、夫が妻の胸を愛撫しようとした。すると妻はベッドから起き上がって叫んだ。「これはジョナサンのものよ!」
「今は2人とも、この一件を笑って話せる」と、ゴットマンは言う。「しかし、こういう状況になると男性は引いてしまうものだ」
実は、セックスレスの理由はほかにもある。相手への怒りだ。
本当は「疲れすぎてセックスできない」なんてありえない。実際、セックスするかどうかを夫婦で言い争う時間のほうが、性行為の時間より長いケースもよくある。
本人が意識しているかどうかはともかく、多くの夫婦にとってセックスは戦いの道具だ。そして多くの女性は、男性に怒っている。この点は、働く女性も専業主婦も、子供をもたない妻も同じ。夫はベビーシッターの電話番号さえ知らないと怒り、仕事帰りにおむつやミルクを買う気もないと怒る。
エリカ・ジョングの『飛ぶのが怖い』を読んで育った世代の女性は、自分のオーガズムは自分で責任を取るべきだと考えている。それなのに男たちは、たまの洗濯当番の責任さえ果たさない。
男はかまってほしいのに
研究者によれば、女性の怒りにはそれなりの理由がある。子供のいない共働き夫婦は、たいてい家事を公平に分担する。ところが子供が生まれると、夫は以前ほど家事を手伝わなくなる。
男性の家事に対する貢献度は70〜80年代に飛躍的に伸びたが、それ以降は横ばいだと、ジョンズ・ホプキンス大学の社会学者アンドルー・チャーリンは言う。
逆に妻の出産後、新米パパの55%が労働時間を増やしているという報告もある。一家の稼ぎ手としての責任をにわかに意識するのか、それとも妻の関心が子供に集中するのが悔しいのか。
一方、男も怒っている。「妻は仕事と育児と犬の世話で大忙し。僕はほったらかしだ」と、マンハッタンのビジネスマン、アレックス(35)は言う。「もっとセックスしたいし、こっちを見てほしい」
今の男性は父親の世代よりずっとまめに家事をやるし、育児にも積極的だ。世の夫たちは、それを妻にもっと評価してほしいのだ。
専門家によれば、はっきり口に出してセックスを拒否する妻は少ない。大半のセックスレスは、鬱積した不満が2人の関係にゆっくりとひびを入れていった結果だ。
50代の俳優ビルと40代のグラフィックデザイナーのローリー(ともに仮名)は、結婚10年目で2人の子もち。ビルはセックスが月に1、2度しかないのが不満だ。
ローリーは夫の要望に応えてベビーシッターを雇い、土曜の夜に2人だけの時間をつくることにした。でも当日、ローリーは疲労を理由に外出をとりやめた。次の週もデートはお流れになった。
疲れているのは事実だが、腹も立っていたと、ローリーは言う。「ビルは家事も子育ても中途半端。キッチンに食料品の詰まった買い物袋があっても見てるだけ。どうして中身を出して、片づけないの? いつもイライラしてるのに、色っぽい気分になれるわけない」
とにかく行動あるのみ
夫婦の絆を維持する秘訣はあるのだろうか。これまでカウンセラーは、気持ちのすれ違いを正すことに重点をおいてきた。いいセックスの土台はコミュニケーション、大切なのは高級レストランでのディナーより会話だと説いてきた。
冒頭に紹介したワインライク夫妻は、2人の息子の成長とともに情熱が戻ったという。肝心なのは絆を守ろうとする姿勢だったと、マディーは振り返る。
しかし、新世代のカウンセラーはもっと積極的だ。『ママ・ジーナの男性ガイドブック』の著書もあるレジーナ・トーマスハウアーは、とにかく時間をやりくりしてセックスしなさいと説く。
ミシェル・サンドバル(40)と夫のマーセロ(42)は、最初の子供が生まれる前にトーマスハウアーのカウンセリングを受け、現在は週に2度「デート」している。「要するにセックスのことさ」と、マーセロは言う。「2人ともデートを最優先している」
セラピストのワイナー・デービスもよく似た作戦をクライアントに勧めている。その気になるのを待っていてもだめ、とにかく行動あるのみだ、と。
クリス・パターソン(31)と妻のタラ(29)にとって、ワイナー・デービスは恩人だ。新婚時代の2人は毎晩のように愛し合っていたが、子供が生まれるとタラが冷めてしまった。
無理な「演出」は効果なし
夫婦は2人の子供の世話に加え、それぞれ自分の仕事で忙しい。タラはセックスレスを疲労のせいにする。一方、クリスはクリスで責任を感じている。「僕はロマンチクなタイプじゃない。ムードづくりも下手だ」
ワイナー・デービスの話を聞き、著作を読んだ夫妻は今、「頑張って」週に1度はセックスするようにしている。
多くのセラピストは、一方がセクシーなムードを無理に演出してもうまくいかないと口をそろえる。裸に網タイツとエプロンだけで夫を出迎えても、相手にばかばかしいと思われたら効果はない。
作家・映画製作者のローズマリー・ブレズリン(45)は、夫トニー・ダンと素晴らしい関係を保っているという。「でもセックスのことは、『来年までおあずけにするつもり?』と聞くしかない。黒いネグリジェを着ようかって言ったら、『笑っちゃうよ』ですって」
それなら、トニーが家事をもっと手伝うように仕向けては? 今いちばんセクシーな生き物は、妻に言われなくてもゴミを出す夫かもしれない。
夫を愛していないわけじゃない
でも、私はとても
疲れていて無理
タラ・パターソン
昼間に寝室で
キャンドルをともし
音楽をかけて
2人の時間を楽しむ
レジーナ・トーマスハウアー
小さな子供がいて
働いていると
どうしても夫のことは
後回しになる
マディー・ワインライク
ニューズウィーク日本版
2003年7月23日号 P.44