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「私はあらゆる理論を、その真の核心に還元する才能をもっている。私は、必要な
ときに断固としてそれを行う。幻想とはなんのかかわりもない。
世間の人は、物事を単純に考えることができない。なんでも複雑にせずにはいられ
ない。私は単純化の才能をもっている。そうすれば、すべては一気に解決する。困難
はただ、想像力の中にあるだけなのだ!」
「財政学も経済学も、その他もろもろの学説も、すべて国民の自己主張の戦いに奉
仕するために存在する。」
「起爆することが肝要なのだ。いかなる過程で目標に達するかは、さほどの関心事
ではない。われわれが制御することになる過程は、簡単なものであって、決して複雑
ではないのだ。二、三の不可避的な困難に際して、たじろがぬだけの意志さえもてば
よいのだから。
経済とは、決して教授たちが考えているような神秘学なのではなく、健全な理性お
よび意思の問題なのである。」
(ヒトラー)
『
ヒトラーは国家財政については、自信がないとして銀行家のシャハトに任せたときがあった。財政・金利政策また貿易管理について実践的な知識は経験上持ち得なかっただろう。しかし経済学のうち、経済原論または経済哲学は『わが闘争』である程度のページを割いて、論述している。この経済原論というのはマルクスがアダム=スミスの労働価値説に基盤をおいて展開したもので、価値(サービスまたは商品を金銭で表示したもの)が商品等を提供するための総労働時間に等しい、という公理に沿っている。
そしてマルクスは総売上高から総労働時間への対価(労賃)プラス経費を引いた金額について資本家が超過利潤を得ている、という結論を導き出す。そして市場で価格が変動しても長期的な平均では支払い人件費プラス経費より高く売れるはずだ、すなわち価格はコストプラス適正利潤が確保されるはずだ、と説く。
結論だけ言えば統計的にこれは全く立証されていない。この超過利潤は個々の企業のコストが長期的・短期的に違ううえ業界によって様様なのである。もちろんドイツ経済哲学はこういった統計的処理を自分が使うぶんは認めるが他人には認めない。少なくともリスクの量によって資本の期待利益率は異なると思うのだが。
『わが闘争』のこの部分は極めて難解で、あるいはヒトラー自身が完全に理解しないうちに書かれた可能性もある。しかし素直に論理を読み取れば次のようになる。
1. 労働価値説を正しいと認める。
2. すると資本(エクイティと借入金の合計)は労働の成果である。
3. 結果として一国の資本は国家の大きさ・自由度・力に依拠することになる。
4. これは資本が国民に依拠していると言うのと同じだ。
5. 資本の側からすれば増大を目指すのだから、国家と国民の発展を助ける必要がある。
6. これまで国家は資本の自由と労働者の権利保護に限定した政策で十分としてきた。
7. だがゴッドフリードフェーダーの講義で違う認識を得た。
8. すなわち資本には2種類ある。
9. 投機的資本と健全資本の二つである。
10. 投機的資本とは国際的な株式資本と貸付資本である。
11. 健全資本とは国内の銀行預金をさす。
12. 投機的資本は国民経済とその投機性から相対立する。
13. ゆえに民族的自己保存からドイツ経済の国際化に反対する必要がある。
14. 困難な闘争は敵性民族でなく国際資本に向けられなければならない。
15. 国際資本(金融資本と貸付資本)は戦争の扇動者である。
16. 戦争の扇動者にとどまらず平和なときでも地獄に化そうと狙っている。
17. ユダヤ人マルクスの意図はドイツ社会民主党を通して国際資本の支配地盤を準備することだ。これで(マルクスの)資本論をよく理解できることになる。
7から13はフェーダー説だが、オリジナルの説は資本のリスク性の議論ではないか。すなわち資本(ハードカレンシーでの金銭)は国境がない。また投資判断はリスクとリターンで行われる。そこには一国への愛情はない、と言うものだ。
またフェーダーは読者に強いインパクトを与える利子奴隷という言葉を多用した。利子支払いのため働くことは中世の奴隷労働と同じだと主張した。奴隷は自由な意思に基づかない契約によって拘束されているので論理にならないが、交渉の場を設けずに決められたベルサイユ条約を連想すればなんらかの説得力を持ったのだろう。ただヒトラーは利子奴隷なる扇情的文句を熱心に受け入れたとはいえない。
ヒトラーは外国からの直接投資や間接投資を受け入れることが、その移動性の高さから危険だとみなしたのだろう。実際は直接投資は脱出できず脱出は外国人の損失を意味する。また間接投資では長短に違いがある。長期は期限の利益があるからタイミングの良い脱出は不可能である。もちろん困難な時、債券では単価が下落し、新規の債券発行に問題は生じる。しかし買い入れ償却をすれば外国人の損失・発行者の利益である。ヒトラーの論点はゆえに間接・短期に限られる。
』
(『ヒトラーの経済学』http://www3.kiwi-us.com/~ingle/topix-2/hitler%20at%20econoacademy.html)
[参考]
『奇蹟』
http://www.mirai.ne.jp/~ittaka/sigoto.html