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BTJ /HEADLINE/NEWS 2003/09/10 第432号
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◆遺伝子情報と生命保険◆
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9月末から大阪高等裁判所で、遺伝性の高度障害に対する保険金の支払いを
求めた控訴審が始まります。被告は、第一生命。
原告(A氏)は、医師の診断を受けた上で無条件に高度障害保険特約付きの
生命保険に加入。加入後、下肢の麻痺が強くなり、現在は車椅子で生活して
いる男性です
A氏の下肢には、保険加入前から多少の麻痺がありましたが、その原因は不
明。主治医からも進行性のものではないと聞かされていたといいます。
保険加入後、下肢の麻痺が悪化。担当の神経内科医が、他の患者に関する発
表論文の所見をたまたま見つけたことから、ある疾患名が予測され、遺伝子、
蛋白質の活性試験などを経て、病名の確定に至りました。
A氏の疾患は、非常に希な遺伝性の疾患であるため、担当医が他の患者に関
する論文を見ることがなければ、未だに病名は分からなかったかもしれない
ものです。
A氏は、症状が悪化し身体障害者等級第一級と認定されたことに伴い、第一
生命に高度障害保険の支払いを要求。しかし、第一生命は、同氏の疾患は、
保険加入前から発病していたものとして支払いを拒否。
A氏が、保険金支払いを求めて神戸地裁に提訴したものの、今年6月の神戸
地裁の判決では、A氏の訴えを全面的に認めない判決が出されました。
A氏は、「負けてしまえば、慣習法になってしまう。将来のためにも頑張り
たい」と、今年7月に大阪高等裁判所に控訴。9月末から控訴審が始まる予
定です。
A氏の遺伝カウンセリングを行っている京都大学大学院医学研究科遺伝医学
講座分子病診療学教授の藤田潤氏は、「病名を確定することが、患者の不利
益になるとしたら、患者に病名を知らせることの意義に疑問すら感じる」と
いいます。
特に治療法が確立していない疾患の場合、確定診断は、患者にとってどのよ
うな意味があるのでしょう。しかも、その結果が、診断の本来の目的である
治療行為では活用できず、保険金の支払いに影響してしまう。
『医療の進歩によって従来原因不明とされてきた疾病の検査方法が開発され
た例は他にも多くあり、■●病(A氏の疾患名)に限って、保険金受給権の
存否を判断する資料として近年開発された高度医療検査の結果を用いてはな
らないことにはならない』とは、神戸地方裁判所で下された判決文の一部で
す。
診断技術と治療技術には、どうしても時差があります。診断技術の進歩がま
ず先に来て、数十年の月日(この期間の短縮化は進展しているものの)が経
過した後、治療法が確立する。この診断法と治療法の確立の狭間となる期間
を、いかに乗り越えるのか。
この期間は、治療法の確立のため、自らを研究対象として提供することも辞
さない患者が存在します。そのような患者を不幸にすることなく、新しい医
療を実現化するためには、新しい情報をどう扱うべきなのか。
また、生命保険では、保険加入前に発病していた疾患への支給は認めないと
しています。しかし、遺伝病の場合、いつから発病と考えるべきなのでしょ
うか?
遺伝子情報の取り扱いに関して、議論を深める必要があります。
先端技術情報センター 小板橋 律子
mail:btj@nikkeibp.co.jp
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