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★「臨床腫瘍医」の養成は勿論必要なことだ。しかしこれでは年数がかかり過ぎる。現実に「国際的標準治療」を必要とする患者がいる以上、癌治療を行なっている現場の医師に対して短期の研修を行なって対応すべきではないのか。(シジミ)
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news_i/20030829so11.htm
「第3次対がん10か年総合戦略」に「専門医の育成」が盛り込まれた。抗がん剤治療を専門に行う「臨床腫瘍(しゅよう)医」の養成が急務だ。 社会保障部 本田麻由美
◆臨床腫瘍医養成し、医療不信の解消を
がんの新薬開発のスピードは速く、単剤より多剤を組み合わせて使う方が効果が高いケースなど、国際的な臨床試験による科学的根拠に基づいた治療法も次々に確立されている。吐き気などの副作用の予防薬も種類が豊富になってきた。
抗がん剤治療は、こうした数多くの薬剤の中から患者ごとに最善の治療法を選び、副作用を抑えながら行わなければならず、高度な専門知識が不可欠になっている。このため、米国では抗がん剤治療などは腫瘍内科専門医が行うのが常識で、約1万人の専門医が養成されている。
日本で米国と同じ水準の治療を行うには、5000人の専門医が必要とされるが、現実には500―800人程度と見られる。抗がん剤治療に詳しい平岩正樹医師は、「日本ではがん告知が一般的でなかったため、副作用を伴う抗がん剤治療が行えず、専門医も育たなかった」と背景を語る。長年がん治療に携わる医師は、「日本のがん治療は外科手術中心で、薬の投与なんて誰でもできるという風潮もあった」と打ち明ける。
こうした事情から、日本では外科医が手術の合間に抗がん剤治療を行うのが一般的だ。専門医が少ないため、世界各国で効果が認められている抗がん剤が通常の診療で使えないなど、国際的な標準治療が受けられないという問題もある。
昨年、肺がんの新薬「イレッサ」の副作用死が相次いで報告された際に、化学療法に習熟していない医師の処方が大きな問題になった。また、ある大腸がん患者(54)は「嘔吐(おうと)の副作用でもがき苦しんでいるのに、何の手も打てない医師に不信感を覚えた」と訴える。専門医不足で、副作用対策も含め適切に薬剤が使いこなせない現状は、国民の医療不信を助長している。
そんな中、先月まとまった政府の「第3次対がん10か年総合戦略」は、初めて「全国どこでも最適ながん医療を受けることができる体制整備」を柱に掲げ、「臨床腫瘍医などがん専門医の育成」を盛り込んだ。1984年に始まった同戦略は基礎研究が中心で、がん診療の質の向上という視点はなかったが、患者会の要請などで、がん医療の提供体制の改善の必要性がようやく認められたと言える。
現在の抗がん剤治療では、進行がんを完治させることは難しいため、世界標準の抗がん剤が使えない現状を、さほど問題視しない医療関係者もいる。しかし、完治しないから治療しなくてもいいということにはならない。副作用を抑えた適切な治療で、少しでも長く家族と過ごせれば、患者と家族にはかけがえのない時間となる。
日本人の死因は、1981年以来「がん」が最多で、2020年には年間45万人ががんで死亡すると推計されており、最新治療への期待は強い。専門医育成について、具体的な計画を作成する一方、医学教育での位置づけを明確にするなど、早急な取り組みが求められている。
(2003年8月29日 読売新聞 無断転載禁止)