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http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20030827ig90.htm
これでは、医師の「常識」は世間の「非常識」と言われて当然ではないか。
大学病院の医師がほかの病院に名前だけを貸し、診療もせずに報酬を受け取る「名義貸し」が北海道で相次いで発覚している。
すでに北海道大と札幌医大で四百人以上の医師が、約二百の病院に名義を貸したことが判明した。名義を借りた病院が医師数を水増しし、診療報酬や介護給付費をだまし取るケースも少なくない。
文部科学省もようやく重い腰を上げ、医学部を持つ全国の大学に調査を指示することを決めた。当然の対応だ。
名義貸しは医療の現場で、なかば慣習として黙認されてきた。だが、保険医の責務などを定めた健康保険法に反する明白な不正行為だ。放置は許されない。徹底的にウミを出し、悪(あ)しき慣習を根絶せねばならない。
北海道では昨年七月、岩見沢市内の病院で札幌医大の医師が月二十万円から五十万円で名義を貸していたことが、判明した。これをきっかけに北大でも多数の名義貸しが発覚し、名義を借りた病院の元院長らが不正請求で逮捕・起訴される事態に発展した。
背景には、医師不足に悩む中小病院と医師派遣の実権を握る大学医局の「もたれあいの構図」がある。
医療法では患者数に応じて標準の医師配置数が決められ、一定数を確保していないと診療報酬を減額される。これを避けようと、医師が足りない病院が名義を借りるケースが少なくない。
大学医局にとっても、名義を貸すことで、給料も少なく、時には社会保険の適用もない若手医師の生活を安定できるメリットがある。それだけではない。医局の中には名義料の一部をピンハネし、医局運営費に使ったところもある。
医師側のモラルの欠如に加え、行政による医療監視の甘さも、不正行為をはびこらせる一因となった。
医療現場の中には「過疎地に来る医師は少なく、標準医師数は実情に合っていない」との声もある。
確かに過疎地の医師確保は大きな課題であり、標準医師数の見直しや、医師派遣の制度の検討は必要だろう。だが、名義を借りた半数は札幌の病院だ。
医局のあり方も問われている。閉鎖的な医局への権限集中が、名義貸しの温床となった。札幌医大はこの事態を踏まえ医局制度を廃止し、医師派遣は大学で一元的に扱うことを決めた。
透明性を高める取り組みは他の大学の参考になろう。医師派遣を医局に頼る構造を、抜本的に改めることが先決だ。
(2003/8/27/23:02 読売新聞 無断転載禁止)