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納豆のにおいとネバネバが嫌いです。家族は全員好きなのに、私は物心ついてから一度も口にしたことがありませんでした。体によい理由や調理法を調べて、納豆に挑戦してみました。
まず、納豆博士として知られる倉敷芸術科学大の須見洋行教授(食品機能学)に効用を聞く。
医学博士でもある須見さんは80年秋、米シカゴの研究所で血栓を溶かす薬の開発をしていた。血栓は血の塊。血管を詰まらせて心筋梗塞(こうそく)や脳梗塞の原因となる。 ある日、何げなく朝食で食べた納豆を1粒、シャーレの中に人工的につくった血栓の上に置いてみた。すると夕方には、血栓が豆のまわりから溶けていた。やがて、納豆菌が血栓を溶かす酵素を作り出すことを見つけ、86年にナットウキナーゼと名付けて発表。現在、世界中の研究者がナットウキナーゼを使った薬の開発を競う。
「ナットウキナーゼ自身が血栓を溶かすだけでなく、血栓を溶かすプラスミンという別の酵素を活性化させる働きもあります」。これがナットウキナーゼのすごいところだという。
須見さんが今注目しているのが納豆のにおい。においの中のピラジン化合物が、血を固まりにくくするという。
納豆でよく知られているのが、骨を強くする効果だ。納豆菌は、食事で取り入れたカルシウムを骨にくっつけるノリ役のたんぱく質合成に必要なビタミンK2をつくる。実際に、納豆消費量(総務省家計調査)と大腿(だいたい)骨骨折の発生比(厚生労働省調査)には相関関係があり、納豆の消費量の多い東北、関東地方は骨折の発生比率が低い。納豆消費量が半分程度の近畿以西は、骨折の発生比率が高い。
納豆のネバネバには、カルシウムをはじめとするミネラルの吸収を助ける働きがある。88年に味の素が見いだした成果だ。
同社の野村善博・アミノ酸部開発グループ長によると、ネバネバはアミノ酸の一種のグルタミン酸がマイナスイオンを帯びて30〜5000個つながった状態。このネバネバがプラスイオンのカルシウムと結びつくと、腸内で吸収されやすくなるという。
閉経後1年以上たった女性24人を2グループに分けて実施した実験では、カルシウムだけを入れたジュースを飲んだグループよりもネバネバ成分も加えたジュースを飲んだグループの方がカルシウムの吸収率が4.5%高かった。
まだある。
腸内細菌に詳しい日本獣医畜産大の寺田厚教授(食品衛生学)は「便通をよくするほか、食中毒の防止にもなります」と話す。
寺田さんは22〜49歳の健康な成人男性7人に納豆1パック(50グラム)を2週間毎日食べてもらい、便を採取して腸内の状態を調べた。すると、便通を良くするビフィズス菌が実験前の2〜3倍に増えていた。
大豆に含まれるオリゴ糖と納豆菌の細胞膜をつくるアミノ酸の断片をビフィズス菌が食べることで増殖。それにより、腸内運動が活発になり便通がよくなるのだという。
食中毒の原因になる悪玉菌のクロストリジウムも減っていた。腸内の酸性度が増し、悪玉菌が生きにくい環境になるからだ。大腸菌などの活動も弱まることで便のにおいも弱くなった。
「大豆で食べるよりも納豆として食べることで効果が高まります。ビフィズス菌を活性化させるのにヨーグルトを80グラム食べたのと同じ効果がある」と寺田さんは語る。
納豆が体にいいのは十分過ぎるほど分かったが、初物は怖い。東京農大の小泉武夫教授(醸造・発酵学)においしく食べられる方法を聞いた。
「においとネバネバがあるから納豆。温かいご飯の上に、よくかき混ぜて糸をたくさん引いた納豆をかけて食べるのが一番おいしいんですけどね」と小泉さん。
「においさえ何とかなれば」とお願いして教えてもらったのが、「焼き納豆」と「揚げ納豆の雪ぜめ」。
早速、家で作ってみた。焼き納豆は、加熱したおかげで意外とにおいが気にならない。雪ぜめは、大根おろしで納豆のネバネバがなくなり、食べやすくなった。
1回では、好きになれたとは言えない。家族並みになるには、時間がかかりそうだ。
◇
○においを抑えた料理
焼き納豆 フライパンに油を敷き、1パック(50グラム)の納豆をいためてドーナツ状にする。その中心に卵1個を落とす。ふたをして4分ほど蒸らしたら皿に移して、カツオ節と万能ネギ、しょうゆをかける。
揚げ納豆の雪ぜめ 納豆を詰めた油揚げを焼き網で表面が焦げるくらい両面を焼くか、油で揚げる。大根おろしをふりかけて、しょうゆをたらす。
○ミニ知識
全国納豆協同組合連合会(http://www.natto.ne.jp/)によると、納豆の年間生産量は1パック50グラム換算で52億パック。総務省家計調査によると、1世帯当たりの購入費は02年で年間4175円。
小泉さんの「納豆の快楽」(講談社、1500円)は、参考になる。
(2003/08/25)