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http://www.yomiuri.co.jp/main/news/20030817it01.htm
急性のB型肝炎が治ってからも長年、原因のウイルスが肝臓に残り、血中にも出てくることが、国立病院大阪医療センターなどの研究でわかった。
B型肝炎ウイルスは、大人になって感染した場合は慢性化しないのが常識とされ、急性の症状が治って半年以上たてば献血も再びできる。研究チームは「本人の健康に悪影響を及ぼす可能性は低いが、輸血感染の原因になる恐れがある」と指摘しており、献血の安全管理体制に大きな影響を与えそうだ。
B型肝炎は、免疫の正常な大人は通常、ウイルスを攻撃する抗体が体内にでき、慢性化せずに治る。その後は再感染しない。
ところが、同センター消化器科の結城暢一医長らが、発症から約2年から9年半たって肝機能が正常に戻った急性B型肝炎の元患者14人を再検査した結果、3人の血液からB型肝炎ウイルスが見つかった。
さらに、3人のうち2人を含む9人からは、肝臓の組織も採取して調べたところ、全員からウイルスが見つかった。うち7人は軽い炎症も続いていた。
日本赤十字社が行う献血の安全検査では、B型肝炎ウイルスが血液1ミリ・リットル当たり1000―2000個程度ないと検出しにくい。しかし、同50個以下とみられる微量のウイルスでも、感染して死亡した例がある。今回、元患者3人から見つかった血中のウイルス量は、それぞれ同770、1300、2万4000個のため、2人の分は献血されると検査をすり抜け、輸血感染する恐れがある。
B型肝炎ウイルスは、治った後も肝臓に残る例が近年報告されていたが、調べた9人すべてで残存を確かめたのは初めて。
また、ウイルスは免疫に抑え込まれてあまり増殖できないため、これほど血中に現れるとは考えられていなかった。
◆「混入不可避」前提、現実的対応が必要◆
調べた肝臓に例外なくウイルスが残っていたという結果について、研究者は米国肝臓病学会の論文審査員から何度も再分析を求められたという。厳密な確認の末、論文は最近掲載された。
最大の問題は、献血の検査をすり抜けかねないウイルス量が、元患者14人のうち2人の血液から見つかったことだ。急性B型肝炎の患者は推定で年間数千人。ウイルスが血中に現れる元患者は、累計で何千人に上ってもおかしくはない。三代俊治・東芝病院研究部長は「B型肝炎ウイルスは、検査精度を上げても排除しきれない。その前提での対策が必要」と指摘する。
日赤は、ウイルスの活動を抑える化学処理を全血液に施す対策も検討し始めたが、導入までには時間がかかる。当面、輸血する際には必ず「感染の危険がある」と考えて患者の検査を行い、感染した場合には適切な治療で重症化を食い止めるなど、現実的な対応を医師に徹底する必要がある。(科学部 増満 浩志)
(2003/8/17/03:02 読売新聞 無断転載禁止)