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http://www.asahi.com/national/update/0810/003.html
愛知県小牧市の小牧市民病院(末永裕之院長、544床)で昨年11月、不妊治療の一種で、夫の精液を妻の子宮に送り込む配偶者間人工授精(AIH)を行った際、過って夫以外の精液を女性に注入していたことが9日、分かった。女性は妊娠しなかったが、結果が分かるまで精神的な苦痛を受けたという。小牧市は医療ミスを認め、末永院長が女性側に謝罪した。病院側は「患者の氏名を確認しなかった初歩的なミス」としている。
病院の説明によると被害にあったのは愛知県内の30代の女性。昨年11月下旬、外来で不妊治療に訪れた。ほぼ同じ時間に、別の患者の治療も予定されていた。
別の患者を先に診察室に呼び入れたはずだったが、実際には被害にあった女性が入室し、診察台に乗った。医師、看護師とも氏名を聞かないまま、女性に精液を送り込んだという。
注入を終えた後、女性は待合室で座っていたが、再び自分の名前が呼ばれたため不審に思い、すでに治療が終わったことを告げた。医師らがあわてて確認すると、この女性に注入するはずの夫の精液が残っており、取り違えが分かった。すぐに、女性の子宮内を洗浄するなどしたため、妊娠はしなかった。
診察台はカーテンで仕切られ、医師や看護師から女性の顔は見えないようになっていた。治療中、医師が女性に話しかけることも、ほとんどしなかったため、声でも取り違えが分からなかった。
ミスを認めた小牧市は、賠償することで女性側と合意している。
女性は被害にあうまで半年ほど治療に通っていたが、その後、同病院では不妊治療を受けていない、という。
このミスを受けて、病院側は、患者に自分の名前を名乗らせたうえ、医師と看護師が確認するよう徹底した。院内の外来や病棟にも、患者に名前を名乗ってもらうよう呼びかけるポスターを張った。また、夫の精液を入れた試験管にも、自分で氏名を書かせるようにしたという。
同病院の末永院長は「女性や家族の心労は大変だったと思う。今後は再発防止策を徹底したい」と話している。
不妊治療を巡っては、石川県内の産婦人科診療所で95年3月、体外受精の治療を受けた不妊症の患者に、過って別の患者の受精卵を移植した事故が、00年に明らかになっている。
(08/10 03:05)