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http://medwave.nikkeibp.co.jp/regist/medi_auth.jsp?id=1/mdps/261162
乳幼児に対する麻疹(はしか)ワクチンの接種率が低下している英国では、麻疹の流行規模がここ数年で大きくなっているが、1999〜2002年までの流行規模に基づく推算で、麻疹の「増殖率」(reproductive number)が「いつ大流行が起こってもおかしくない水準」に近づきつつあることがわかった。研究結果は、Science誌8月8日号に掲載された。
麻疹は、麻疹ウイルスによって引き起こされる、感染力が極めて強い感染症。わが国では未だに年間10万〜20万人が罹患、10数人以上が死亡しているが、多くの先進国では既に制圧(control)された状態にある。英国も麻疹を制圧した国の一つで、ワクチン接種率が91%に達した1998年時点では、年に数回、数人規模の散発的な流行が起こるに留まっていた。
ところが丁度その頃、「麻疹、おたふく風邪と風疹の新3種混合ワクチン(MMR)が自閉症を引き起こし得る」との研究が発表。現在では医学的にほぼ否定された仮説ではあるが(関連トピックス参照http://medwave2.nikkeibp.co.jp/wcs/med/leaf?CID=onair/medwave/mdps/216139)、接種年齢の子供を持つ親の間に不安が広がり、2002年にはワクチン接種率が85%を割った。同時に、数十人規模の局地流行が頻繁に起こるようになっていた。
英国王立Holloway大学のV. A. A. Jansen氏らは、1995〜2002年に英国のEngland地方とWales地方で起こった麻疹流行の規模から、年ごとの麻疹の増殖率(R値)を算出。ワクチン接種率の低下が、R値にどのような影響を与えたかを評価した。R値は一人の患者から何人に二次感染が起こるかを測る指標で、これが1に近づくほど大流行のリスクが高まる。
その結果、1995〜1998年のR値は0.47、1999〜2002年のR値は0.82となり、ワクチン接種率の低下に伴って有意にR値が大きくなったことが判明(p<0.00011)。ワクチン接種率がわずか数%下がっただけで、まさに大流行の危機を迎えつつあることが明らかになった。
今年3月に厚生労働省厚生科学審議会小委員会がとりまとめた「今後のポリオおよび麻しんの予防接種に関する提言」によると、わが国の麻疹ワクチン接種率は、7歳半までに約90%と諸外国と遜色ない水準にある。しかし、麻疹に最も罹患しやすい1歳児では約50%と低く、10歳代の子供の1割は麻疹への免疫が無い(麻疹感受性者である)など、大流行が起こるリスクは未だに高い。
さらに、1998年に麻疹制圧国の一つである米国Alaskaで、日本から訪れた4歳児を発端として地元の学生などに麻疹が流行し「日本から麻疹が輸出された」と非難を浴びるなど、国際的にも日本の状況は危機感を持って見守られている。小委員会提言では今後の取り組みとして、「1歳児の麻疹ワクチン接種率向上」を最優先にすると同時に、1歳児以外の麻疹感受性者に対しても、積極的に麻疹の予防摂取を受けるよう推奨すべきとしている。
この論文のタイトルは、「Measles Outbreaks in a Population with Declining Vaccine Uptake」。Science誌最新号のホームページhttp://www.sciencemag.org/content/current/から、同誌の購読者は全文を閲読できる(リンク先の運営次第で変更になることがあります。ご了承下さい)。厚生科学審議会「ポリオ及び麻しんの予防接種に関する検討小委員会」の提言及び関連資料は、厚生労働省ホームページのこちらhttp://www.mhlw.go.jp/shingi/2003/03/s0328-2.htmlから入手できる。1998年のAlaskaでの麻疹流行に関しては、米国疾病対策センター(CDC)ホームページのこちらhttp://www.cdc.gov/mmwr/preview/mmwrhtml/00056144.htmまで。(内山郁子)
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◆ 2002.11.11 MMRワクチンは自閉症発症に無関係、デンマークの子供全数調査結果が発表http://medwave2.nikkeibp.co.jp/wcs/med/leaf?CID=onair/medwave/mdps/216139