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http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20030722ig91.htm
いくら「過ちは人の常」と言っても、限度がある。重大なミスを繰り返す人に、厳しく対応するのは当然のことだ。
とりわけ、人の命にかかわる医療の分野においては、厳格な対応が求められる。だが、実際の処分は極めて甘く、重大なミスを繰り返す「リピーター医師」が放置されてきた。
これでは国民の医療不信は募るばかりだ。厚生労働省は今月、処分のあり方を見直すための対策室を新設した。問題のある医師を厳しく処分し、再教育も施す制度を早急に作らねばならない。
交通事故を繰り返せば運転免許をはく奪されるが、医療事故を繰り返しても医師免許を取り消されることはない。
こんな理不尽が通るのも、医師の処分を決める厚労省の医道審議会の対象が、罰金刑以上が確定した刑事事件か診療報酬の不正請求に限られてきたからだ。
しかも、医師免許の取り消しは殺人事件や悪質なわいせつ事件など、「医道」ではなく「人道」に反したケースだけである。医療事故で刑事責任を問われても処分は軽い上、そもそも事件にならない多くの医療事故は、民事裁判で賠償責任を何度認定されても処分の対象外だ。
患者の命を預かる医師には優れた技量と倫理観が求められる。それらに欠ける医師を排除する仕組みが必要だ。
米国では、医療事故を繰り返す医師はもちろん、患者に暴言を吐いた医師なども処分対象となる。免許を取り消される医師は年間千人を超えている。ドイツでは、医師会が定めた職業規則に反した医師は職業裁判所で裁かれる。
先進国の中で、日本の対応はかなり甘いと言わざるを得ない。医道審議会は昨年末、刑事事件とならない医療事故についても処分対象に加える方針を打ち出したが、具体的な検討はこれからだ。
まず、リピーター医師の実態を把握しなければならない。今年度から都道府県に医療安全支援センターが設置され、患者や家族から相談が寄せられるようになった。情報を積極的に活用すべきだ。
非公開とされている医道審議会も、審議内容を公開するなど透明化が求められる。患者団体の代表や医療訴訟に詳しい弁護士などを委員に加えることも検討してはどうか。
医師会や医学会の自浄能力も問われている。問題のある医師を排除したり、再教育したりすることは、専門家集団の本来の役割であるべきだが、これまでは仲間内のかばい合い意識が根強かった。
専門家集団の名にふさわしい実効性のある対策を早く打ち出すべきだ。医療不信の解消にも、それが不可欠である。
(2003/7/23/00:04 読売新聞 無断転載禁止)