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「元気な精子」をシリコンチップで選別
Louise Knapp
2003年7月12日 2:00am PT ミシガン大学の研究者たちが、精液の中から元気のない精子を選別する新しい技術を開発している。精液中に含まれる精子の数が少ないことが原因で子どもを授かることができない男性にとって、より効果的な不妊治療への道が開けるかもしれない。
研究者チームが開発したのは、2つに分岐した溝が埋め込まれた、1セント硬貨ほどのサイズのシリコンチップだ。片方の隅に精液を垂らし、もう一方には生理食塩水を垂らす。2つの溝が合流するところに達すると、元気のよい、つまり活発な精子は食塩水の入った溝を泳いで行くが、死んでいる、あるいは動きの悪い精子は元の溝に残る。こうして選別された活発な精子を集め、試験管の中で受精させる。
現在のところ精子の選別には、かなり高速で回転する遠心分離機が使われている。しかしこの方法では、分離される過程で、生きた精子が死んでいる精子と衝突し、非常に多くの精子が死んでしまうため、効果的ではない。
ミシガン大学ヘルスシステム(UMHS)産婦人科の準教授で、今回の研究チームに加わっているゲイリー・スミス博士は、「我々は、精液中の精子の数が少ないサンプルを使ったが、精子に全く損傷を与えることなく元気な精子を採取できた」と話す。
精子の数が正常な男性の場合、1回の射精における精液中には2億〜4億個の精子が含まれている。そうした男性の場合は、遠心分離器を使用したうえでの体外受精は比較的容易だ。ペトリ皿において卵子と受精させるには、元気な精子が1000万〜2000万個あれば足りるためだ。しかし精液中の精子が少ない男性の場合、成功率は低くなる。
「精子の数がきわめて少ない男性の場合、われわれが開発した以外の、そうした遠心分離器を用いる方法では、元気な精子を全く採取できないことがある」。精子選別のための今回の新しい装置を開発しているミシガン大学生体工学プログラムの高山秀一助教授はこのように話す。
精液中の精子の数が少ないサンプルから元気な精子を選別するには、これまでは顕微鏡と多大な労力も必要とされた。しかしミシガン大学が開発中の技術が完成すれば、そうした大変な手作業も必要がなくなるかもしれない。
「元気な精子の採取のために、高度な訓練を受けた専門家も必要がなくなるかもしれない」と、ビバリーヒルズにある南カリフォルニア不妊治療センター(SCRC)のマーク・サリー博士は話す。
新しい装置は、これまでのテストで良好な結果を残している。あるケースでは、サンプル中の精子のうち元気なものが44%に過ぎなかったが、この装置を用いて選別した結果、元気な精子の割合が98%になったという。
この装置は、物理学およびバイオテクノロジーの応用分野で、微量の液体を制御する技術であるマイクロフルイディクスを利用したもの。装置内では、すべてが、重力と表面張力の働きにより末端方向に流れる。
ミシガン大学の研究チームによると、病院などで実際に使用するためには、さらなるテストが必要だという。スミス博士は、1〜2年後には治療に用いられるようになると考えている。
[日本語版:中沢 滋/多々良和臣]
http://www.hotwired.co.jp/news/news/technology/story/20030715306.html