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佐賀商工共済:
破産で中小企業に大打撃 責任追及の声高まる
佐賀商工共済協同組合(理事長・水田唯市県議)の破産が、不況にあえぐ地場の中小零細事業者に深刻な打撃を与えている。約1万5700人の組合員が生活費を切り詰めて蓄えた積立金など(総額58億円)は戻る当てがない。組合トップの自民党国会議員・県議が赤字隠しの粉飾決算を承認・指示し、内情を調査した県も問題を放置。ずさんな経営と隠ぺいの構図は破たんまで露呈しなかった。
「金だけじゃない。票も返せ」。今月6、7日に組合側が県内12カ所で開いた債権者への説明・報告集会。ある会場で、飲食店経営者(47)が前理事長の陣内孝雄参院議員に激しく迫った。長女(18)が生まれた時から始めた積立金は1000万円近い。「大学出さなならん」と、子供が貯金箱に小銭を入れるような気持ちで続けてきた。今、子供は2人。夜中まで受験勉強をする子供の背中を見るのがつらい。
「今さら、大学は行かせられんち言われるもんか。お前らは子供の人生まで変えてしまうとぞ」。陣内議員は「申し訳ありません」と答えるだけで、粉飾決算への関与は否定し続けた。
佐賀県南部の町の菓子店主(75)は、約30年前に加入した。10年満期の月掛け。月1万円ずつ積み立て、約100万円残っていた。夫婦2人暮らし。菓子づくりは手作業で大がかりな設備はないが、仕事用の車の買い替えや店の改修費は必要だ。「理事長の県議も前理事長の国会議員も、選挙の時は商工業者のために働きます、と繰り返し訴えていた。だが結局、何の力にもなってくれないうえ、大切なお金を奪われた」。怒りとくやしさで仕事が手につかない。
資金運用の職員が有価証券で生じた赤字を隠した架空計上7億円が内部で発覚したのは94年。その年の12月、佐賀市のホテルの一室で当時理事長の陣内議員に、役員2人が経緯を報告した。理事らによる内部調査は1年後にまとまったが、結論は「外に出すのはまずい」。方針決定の場に陣内議員も同席したと元役員らは口をそろえる。陣内議員は「粉飾決算の認識はなかった」と繰り返すが、元役員は95年と96年の2度、架空計上による粉飾決算への了承を求める「伺い書」に陣内議員の決裁を受けたと証言する。
96年8月の就任後、粉飾決算を知った水田理事長は隠ぺいの継続を指示し、アルゼンチン債など高金利の外国債に手を出し、傷を広げた。「隠してきた赤字の解消策が外国債だった」と語る。
「国会議員や県議が理事長だから大丈夫だろうと思って加入したのに」と多くの組合員は話す。福岡日出麿元参院議員(故人)、陣内議員、元県議会議長の水田県議と、歴代理事長は有力政治家が並ぶ。それが組合員には“信用”と映り、政治家には万単位の組合員が票の山に見えただろう。
県も96年2月の非公式調査で問題を把握しながら、放置していた。当時の県幹部たちは「12月の債権者集会までは事情を伏せるように言われている」と逃げに終始。県内の弁護士で結成された被害者弁護団は10日、県に対し被害者の破産債権の全額買い取りを要請した。年内に要請に応じない場合は、訴訟に踏み切る構えだ。
■佐賀商工共済協同組合の破産■ 約33億円の債務超過で8月26日に佐賀地裁に破産を申し立て、翌日に破産宣告を受けた。粉飾決算は91年度から始まり、有価証券の評価損が約16億円、投資信託の架空計上が約17億円。預金者保護の対象とならず、破産債権を抱えた組合員の救済が課題となっている。
毎日新聞9月10日