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http://www.mainichi.co.jp/news/flash/shakai/20030825k0000m040091000c.html
盗難通帳による預貯金の不正引き出し問題で、全国の都市銀行と地方銀行の大半が、被害者側から導入希望の強い「窓口での暗証番号による本人確認」に消極的であることが、毎日新聞の調査で分かった。理由としてセキュリティーの問題などをあげた。通帳に照合用の印影を残す「副印鑑制度」は、既に廃止か今後廃止される方向だが、副印鑑の廃止は通帳の新規発行、更新分などに限られることから十分な効果が出ていない。相次ぐ被害に危機感を抱きながらも、具体的な有効策を打ち出せない銀行側の実情が明らかになった。
一連の問題に関し、毎日新聞が全国銀行協会に加盟する都市銀行、地方銀行(第2地銀を除く)、個人取引のある信託銀行の計77行にアンケートを実施。「個別取引にかかわる」などを理由に回答を避けた銀行を除く計53行から回答を得た。
不正引き出しについては、副印鑑をパソコンに取り込むなどして印影を偽造する手口が相次いでいることから、回答のあった53行のうち制度そのものがなかった1行を除く52行すべてが、副印鑑制度を廃止するか、廃止を検討していた。今年1月までにすべての都銀が廃止するなど35行が既に制度を廃止。17行が「近く廃止」「廃止を検討」とした。
一方、ATM(現金自動受払機)利用のための暗証番号を窓口業務で応用する本人確認方法については、UFJ銀行が先日、全国で初めて本格的な導入を明らかにしたが、ほかに「検討中」としたのは地方銀行5行にとどまった。残りの銀行のうち26行は「有効な対策」などとしながらも、「番号漏えいのリスクがある」「暗証番号を持っていない顧客がいる」などを理由に、実施の予定がないとした。
不正引き出しの対策について、被害者を支援する弁護団らからは、暗証番号確認のほか、運転免許証などの提示義務付け▽免許証などの偽造を見抜く鑑定機の導入――などを求める声が上がっている。しかし、「取引の簡便性」などを理由に、有効な防止策は打ち出せていない。【江田将宏】
[毎日新聞8月25日] ( 2003-08-25-03:00 )