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2003.8.13
〈政局分析〉亀井静香著『ニッポン劇的大改造』(扶養社刊)を読む
――にじみ出る亀井氏のやさしさ
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亀井静香著『ニッポン劇的大改造』――売れ行き好調のためなかなか入手できなかったが、やっとを手に入れることができた。私の事務所のスタッフが何軒もの書店を回ったが入手できなかった亀井氏の最新著である。書店の話では、すごい売れ行きで、版元が重版を急いでいるが、注文や問い合わせがあとを絶たないと言う。この著作には、勢いというか、生命力というか、あるいは亀井静香の執念というべきか―― そんなことを感じさせるものがある。
政治家の著作について思い出すのは、田中角栄著『日本列島改造論』(1972年、日本工業新聞社刊)である。この本もよく売れた。田中角栄氏はこの著書を通じて国民的政治リーダーになり、政権を担うことになった。もう一人いる。小沢一郎氏だ。著書は『日本改造計画』(1993年、講談社刊)。小沢氏もこの本によって国民的リーダーになったが、その時は、首相になることはできなかった。
亀井氏もこの著書によって国民的政治リーダーになるだろう――そんな予感がある。問題は、田中角栄型か小沢一郎型のどちらになるかだが、読後感を言えば、田中角栄型に近い感じがする。この著書によって亀井氏は政権に近づく可能性が飛躍的に高まるのではないかと思う。
本書の場合、女性経営者の質問に答えるという形をとった本の作り方が成功している。亀井氏が今まであまり表に現してこなかった「やさしさ」が前面に出ている。今までの亀井氏には、どちらかといえば、無理に偽悪的に振る舞う傾向が見られた。本質はきわめて善良なのだが、その本性を隠して生きているようなところがあった。しかし、この著書では氏の本性であるやさしさと善良さが素直ににじみ出ている。
序章は小泉政治への批判である。「構造改革は弱肉強食の発想」「いまの日本は、みんなが『負け組』」との指摘は正しい。小泉構造改革の本質を衝いている。小泉構造改革の本質は、国民を少数の「勝ち組」と大多数の「負け組」に二分し、「勝ち組」中心社会を築こうとするところにある。亀井氏の小泉批判は的確だ。
亀井氏は、10兆円の真水・事業規模50兆円の補正予算を提案している。これには財政支出が伴う。「亀井政策」の批判者は、この点を亀井経済政策の弱点として批判する。「巨大な財政赤字に陥っているのに、さらに財政赤字を増やすのか」という批判である。だが、この批判は財政再建至上主義の固定観念にとらわれた誤った考えである。成長なしには財政再建もできないことを忘れた謬見である。財政至上主義はすでに破綻している。
亀井氏はこれに対して次のように反論している。
「このような状況(「日本産業が空洞化」し、「民間の活力だけに期待できない」状況)に陥ったときのために、国家の役割というものがあるのです。自然の成り行きに任せれば、ますます悪くなるときに政府が思い切った舵取りをする。民間の活力が十分に発揮されないとき、国が前に出ていって、どんどん仕事をつくる。そのことによって、民間の需要を引っ張り出していくのです」
この亀井理論は正しい。不況のときに政府が国民経済を担うのは当然である。
本書においては亀井氏が平和主義者であることが鮮明に示されている。「『戦争を防ぐことは、政治家の最大の責任である』と私はいつも言っています」と亀井氏は述べている。
このほか亀井氏は多面にわたって持論を展開しているが、その主張はいずれも小泉首相の主張に比べればはるかに常識的で穏健なものである。9月20日の総裁選は「常識の亀井」対「非常識の小泉」の対決となる可能性がある。
亀井氏は有力な総理・総裁候補である。江藤・亀井派の会長代理であるが、事実上の亀井派の領袖自民党の数少ない実力者の一人だ。である。
最近、自民党内で小泉人気は急落している。7月24日夜、私は、テレビ東京のニュース番組「ワールドビジネスサテライト」で“小泉再選の確率は55%”と述べたが、その後の小泉人気の下落は著しい。8月中旬にはもはや小泉再選は絶望的になったと見られるようになっている。数字で表せばその確率は20〜30%程度だろう。亀井氏が勝利すれば、この著書に書かれている政策が実行されることになる。
これから熱い政治の季節が始まる。いまの政治を考える上で、この亀井氏の著書は有権者にとって必読の書ではないかと思う。
http://www.pluto.dti.ne.jp/~mor97512/C0580.HTML
◆森田氏が指摘しているように、書店で亀井静香著「ニッポン劇的大改造」と言う本は見かけない。売れないとみて出版社もあまり刷らなかったのだろう。政治家の政策本は小沢一郎の「日本大改造」以来だろう。小泉首相も郵政民営化の本を出していたが経済は論じていない。第二の田中角栄として期待したい。