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【フランクフルト=貞広貴志】ドイツの介護保険の財政事情が景気低迷などで急速に悪化し、2003年は過去最悪の5億ユーロ(約680億円)もの赤字を計上する見通しであることが9日、明らかになった。
日本のモデルともなったドイツの介護保険だが、収入の1・7%を保険料として徴収する現行方式では存続が危ぶまれる状況を迎えつつあり、制度の廃止を含む改革論議が高まっている。
保険事業者で構成する職員疾病金庫連盟は、今年上半期の収支状況に基づいて通年のドイツ全体の介護保険収支を試算した。その結果、今年の赤字幅は、昨年の3億8000万ユーロからさらに32%も悪化し、5億ユーロに達する見通しになった。
原因としては、〈1〉保険料収入(170億ユーロ程度)の伸び悩み〈2〉長期施設介護の増加による支出拡大〈3〉今年初めから痴ほう症への適用を拡大したことによる支出増――を挙げている。
ドイツの介護保険会計は1995年の導入後、当初4年間は黒字が続いたが、99年に初めて3000万ユーロの赤字を計上。その後、赤字幅はほぼ横ばいだったが、景気低迷が鮮明になった昨年、一気に4億ユーロ近くまで拡大した。
こうした財政危機を受け、連立与党「90年連合・緑の党」幹部が「介護保険は廃止し、健康保険制度に統合を」と提唱し、波紋を広げている。政府委託で社会保障制度改革に取り組む専門家委員会も今年6月、年金受給者の負担増などをうたう改革案をまとめた。
独保健省は、景気の早期回復と失業者減を前提に、「2005年以降は再び黒字に転じる」と楽観的な見通しを示してきたが、現在の厳しい経済状況では実現はほぼ不可能となった。
◆ドイツの介護保険=1995年導入。18歳以上の成年に対する強制保険で、要介護者を3等級に分類、サービスは〈1〉現金給付〈2〉介護サービス〈3〉双方組み合わせ――から選択できる。サービス受給は、原則65歳以上とする日本と異なり、年齢制限がない。
(2003/8/9/23:56 読売新聞 無断転載禁止)
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20030809id23.htm