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国民年金の保険料未納が増え、“空洞化”が一層深刻になる中、厚生労働省は4日、「国民年金特別対策本部」(本部長・坂口厚労相)の初会合を開き、徴収強化に乗り出した。2002年度の保険料納付率は過去最低の62・8%で、未納は全体の約4割。厚労省は「強制徴収も辞さない」としているが、年金不信は広がっており、納付率アップの壁は厚い。
「保険料を払うつもりは全然ない。周囲だって、ほとんど払っていないんだから」――。都内の飲食店経営者(39)は、こう断言する。今年1月に10年近く勤めた飲食店チェーンをリストラされ、独立開業したばかりだ。
会社員時代の厚生年金保険料は給料天引きだから、気にも留めなかった。だが、自営業者は国民年金に加入して、自分で金融機関などに出向いて保険料を納付しなければならず、「それが役に立つのか」と考えてしまう。「保険料はどんどん上がるのに、年金がどうなるかはよくわからない。これじゃ、払う気になれない。老後は自分で何とかします」
保険料の未納を続けると、将来、無年金になったり、わずかな年金しか受けられなくなったりして、生活が苦しくなる恐れがある。また、障害を負っても、障害年金が受けられない。だが、老後の生活への関心が低い若者層だけでなく、30、40歳代でも納付率低下が目立っている。不況による収入減の影響もあるが、高まる年金不信が最大の要因だろう。
都内の社会保険労務士は、「これまではきちんと納めてきた人でも、『もう我慢の限界。年金の受給資格が得られる25年間を過ぎたので、支払いをやめる』と言う人が増えた」と話す。
2002年度から、徴収業務が市町村から国に移管され、各社会保険事務所で取り組むようになった。社会保険庁では、徴収の効率化を図るため、納付窓口をほぼすべての銀行に拡大し、口座振替を推奨するなど、自主納付の促進策をとった。これに伴って戸別訪問員は、原則として各戸を訪ねて保険料を集めることをやめ、滞納者への納付呼びかけに集中することになった。
だが、こうしたやり方には、「まるで現場をわかっていない。毎月、顔見知りの訪問員が来るから保険料を払っていた人も多く、わざわざ口座振替してまで納めない」(首都圏の徴収担当者)など、批判が多い。厚労省内にも、「社会保険庁は組織が大きすぎて、十分な対応ができていなかった」(年金局)と疑問視する声がある。
もはや、小手先の徴収強化では、事態の改善は期待できない。社会保障審議会年金部会では、国民健康保険との徴収の1本化や、未納者に対する税制上の生命保険料控除等の適用除外、運転免許証やパスポートの交付停止なども提案されている。
制度や省庁の枠組みを超え、あらゆる対策を講じるべき時期に来ている。
◆保険料の所得比例も浮上…対策本部が初会合◆
4日午前10時から、厚労省の会議室で開かれた国民年金特別対策本部の初会合では、坂口厚労相が「国民年金を魅力ある制度にするため、がんばっていきたい」とあいさつ。全国312社会保険事務所ごとに具体的な計画を立てて納付率アップを目指すなど、強化策を決めた。
特に、2002年度の納付率が低かった東京、大阪、兵庫、福岡など8都府県の社会保険事務局のほか、納付率が60%を下回った22社会保険事務所(13道府県)を収納強化対象に指定。社会保険庁と一体で収納対策に取り組む。
「2007年度に納付率80%」の目標達成を目指し、市町村やハローワークとの連携も進める。悪質な未納者には、預貯金の差し押さえなどの強制徴収も、近く実施する方針だ。
また、現在は月1万3300円と定額の保険料について、細かい減額の仕組みを導入するほか、所得比例に改めて納めやすくすることや、低所得が多い若者層のために国費を充当する案も浮上している。
(2003/8/4/15:08 読売新聞 無断転載禁止)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20030804it03.htm