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Linuxへの対抗策として、政府顧客とのソースコード共有を打ち出したMicrosoft。共有プログラム立ち上げから約7カ月間でロシアや中国などから契約を獲得。(ロイター)
米Microsoftは7月31日、12カ国の政府に対して、Windowsのソースコードを閲覧する権利を与えたことを明らかにした。高い利益が見込める公共セクターからの契約を勝ち取り、競合OSであるLinuxへの注目が高まっていることに対抗する狙いがある。
同社は今年に入って、新しいイニシアティブ「Government Software Program」(GSP)を開始した(1月16日の記事参照)。主にセキュリティ上のニーズに合わせてWindowsを改変することに関心を持つ政府機関に、同OSのコードを開放するというものだ。
Microsoftによると、1月にGSPが開始されて以来、オーストラリア、ロシア、中国、英国など12カ国がこのプログラムに加入し、さらに35カ国と加入交渉を行っているという。
掛け金はつり上がっている。デスクトップやネットワーク化したコンピュータシステムへのLinux導入に目を向ける企業や政府機関は増えており、そのことがコンピュータOS市場でのMicrosoftの支配的地位を脅かす最大の脅威となっている。
同社は、Linuxソフト・サービスベンダー――IBMからRed Hatまで――への攻撃をさらに強め、予算を気にする潜在顧客を獲得するための特別な基金や割引制度を立ち上げている。
Linuxは、主要なソフトがボランティアにより開発されているため、比較的安価で透明性が高く、サーバ市場でシェアを確立している。サーバは、デスクトップPCにWebサイト、電子メールなどのデータを送る強力なコンピュータ。
調査会社IDCによると、Linuxの1998年時点での欧州サーバ市場でのシェアは0.7%だったが、今ではこれが15%程度に伸びている。
競争圧力に対抗
Windowsを開放するというアイデアは、数年前、オープンソースの気運が高まっていなかったころには考えられなかったことだ。しかしMicrosoftは、「顧客がプロプライエタリな製品をニーズに合わせて改変できる」という新しい考え方に対処せざるを得なくなった。
「当社は、おそらくは業界で最も価値ある知的財産と言えるものを共有している。それはWindowsのことだ」とMicrosoftの共有ソースプログラム担当マネジャー、ジェイソン・マトゥソウ氏はReutersの取材に応えて語った。
主にWindowsでデスクトップコンピューティングを支配することにより株式時価総額2840億ドルを築いた同社は、Linuxとは違ってソースコードを公開していない。
しかし、オープンソースコミュニティからの競争圧力に対抗するため、同社はWindowsの開示を進めている。
「この取り組みは新しいコンセプトを試すというものではない」とマトゥソウ氏。
IDCの業界アナリスト、トーマス・マイヤー氏は、LinuxはMicrosoftと違って複数のベンダーが販売に当たっているため、より市場シェアを伸ばせる態勢にあると語る。「Linuxは中立的な雰囲気を持ち、門戸を開いている」
東欧に着目
法人方面では、Microsoftは大企業に対して「Windows 2000」「Windows Server 2003」のソースコードの閲覧を認めているが、改変までは許していない。Windows PCの利用台数が1500台以下の中小企業は、コードの閲覧も許されていない。
また同社は、ライセンス契約を結んだ企業に対し、Windows CE .NETとASP .NETのソースコード改変を認め、同社の地位があまり固まっておらず、Javaなどのコネクティビティソフトとの競争が激しい分野で、Microsoftコードを基盤とした商用アプリケーション開発を奨励している。
その一例が、日立がWindows CEをベースに開発した高速インターネット対応のPDAだ。Microsoftの欧州、中東、アフリカ(EMEA)地域事業戦略担当ジェネラルマネジャー、ウィルフリード・グロメン氏は、東欧を重要な未来の市場ととらえている。
同社は最近、リトアニア政府とルーマニア政府から、それぞれ納税申告とビザ処理のオンライン化を支援する契約を獲得したことを挙げている。
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[パリ 31日 ロイター]
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