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7月22日(ブルームバーグ):財政赤字が戻ってきた。政府の台帳に赤い字が記されるというだけでなく、概念としてもだ。
米国債市場では、6月25日の連邦公開市場委員会(FOMC)会合を受けて、10年債利回りが上昇基調(価格は下落)に転じた。グリーンスパン連邦準備制度理事会(FRB)議長がデフレのリスクを説くなかで、利下げ幅が0.25 ポイントにとどまったことが、きっかけだった。
15日のグリーンスパン議長の議会証言を手がかりに、長期債利回りはさらに上昇したが、議長のどの発言が市場に不安を与えたのかいまだにはっきりしない。ただ、米国債相場が下げた(利回りは上昇)理由はいくつかある。インフレへの恐れ、来年の明るい経済見通し、金融当局による政策的な長期債購入の可能性低下、そしてもちろん、財政赤字拡大だ。
成長率との関係
グリーンスパン議長が長期債購入をテーブルから降ろした同じ日、政府の行政管理予算局(OMB)は将来の国債発行に向けて政府債務をテーブルに戻した。OMBは2003年度(2002年10月−2003年9月)の財政赤字見通しを過去最高の4550億ドル(約53兆円)と、4月に示した3040億ドルから大幅に修正した。 2004年には4750億ドルと赤字はさらに拡大する見通しという。
国内総生産(GDP)比でみると、2003、2004年度の赤字は4.2%と、1983 年につけた過去最大(6%)を下回る。政府の予想通りに経済成長率が2003年暦年で2.8%、2004年が3.7%となれば、2006年の財政赤字はGDP比1.9%に下がる計算だ。
しかし成長率が3.7%でなく2%にとどまれば、来年の財政赤字は簡単に 6000億ドルに膨らみかねないと、金融サービス最大手シティグループのエコノミスト、ウィーガンド氏は指摘する。この計算式では成長率がいかに重要かを示す例だ。
米政権は2001年4月時点の見通し(推定3340億ドルの黒字)から2003年度への収支悪化について、その53%が景気低迷のためと説明している。過去3年で3回の減税は23%、戦争など新たな項目への支出は悪化の24%相当にすぎないという。
これに対しウィーガンド氏は、減税と支出拡大の組み合わせが急速に構造的な財政収支悪化をもたらしたと指摘する。
浪費家
民主党はことしの減税に批判的だ。しかし、共和党だけでなく、民主党も口にしたがらない秘密がある。それはブッシュ大統領が浪費家だということ。米シンクタンク、カトー研究所の財政政策アナリスト、デルギー氏によると、国防支出を除いた裁量的支出は2002年度に前年比12.3%増加、2003年度には12.6%増える見込みだ。
ブッシュ大統領の過去3年間の裁量的支出(国防費除く、インフレ調整後)は実質ベースで累計20.8%増加と、ブッシュ元大統領の最初の3年間(11.6%増)、レーガン元大統領(1期目13.5%減、2期目3.2%減)、クリントン前大統領(1期目0.7%減、2期目8.2%増)をはるかに上回るという。
支出に熱心な議会をブッシュ大統領は引き継いだのかもしれないが、ことの真相は「大統領が就任後、歳出法案に一度も拒否権を行使していないこと」だと、デルギー氏は分析する。米政権と議会を支配する共和党は小さい政府が信条のはずだが、党の指針から大きくそれている。
財政赤字の概念がワシントンの浪費家たちに浸透しない限り、概念としての財政赤字は継続的な長期金利の上昇に反映されるだろう。(キャロリン・ボーム)
(ボーム氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です)
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Last Updated: July 24, 2003 02:09 EDT
http://quote.bloomberg.com/apps/news?pid=80000003&sid=atV9H2ehlfwI&refer=top_kaigai