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UBS証券会社・経済調査部チーフエコノミストの白川浩道さん(Hiromichi Shirakawa/ Chief Economist, UBS Securities Japan Ltd.)は今日のポイントとして、「時間軸効果の補強が必要」を挙げる。
<現行の『時間軸効果政策』の景気支援力は不十分> 福井日銀総裁は、昨日の定例記者会見で、(1)長期金利上昇に対抗するための量的緩和追加の必要はないこと、(2)当面は、現行の時間軸効果政策を継続するつもりであること、を述べた。「政策現状維持を確認した」と評価される。 しかし、「現行の『時間軸効果政策』の景気支援力が不十分であることは明らかである」と語る。第1には、ゼロ・インフレ率へのコミットメントでは、実質金利をマイナス領域に低下させることは困難である。第2には、時間軸効果政策は、量的緩和の規模に関して何らのコミットメントも行っておらず、このため、市場が流動性の持続的な拡大を期待できないという問題がある。
<時間軸効果を補強する「2つの処方箋> 日本経済の持続的な成長には、「長期実質金利の低下がかなりの期間にわたって生じる必要がある」と言う。そして、そのためには、より強力な時間軸政策が必要である。日銀は、まず、(1)ゼロ・インフレ率ではなく、プラス2%程度のインフレ率にコミットすることが必要である。さらには、(2)市場の流動性拡大に対する期待を安定化させるために、マネタリーベースの伸び率にもコミットする必要があるだろう。マネタリーベースの流通速度は低下傾向を継続させており、そうしたトレンドでの流通速度低下を割り引いた場合、名目GDPをプラス成長の領域に安定的にもって行くには、前年比+20%程度の伸びにコミットすることが要求されるものとみている。
<実質長期金利の持続的低下もたらすことが可能> プラス2%のCPIコア前年比と、20%程度のマネタリーベース前年比に同時にコミットすれば、「実質長期金利の持続的な低下をもたらすことが可能ではないだろうか」。このまま、日銀が様子見スタンスになってしまった場合、景気の持続的な回復は展望できない。足元で予想されている設備投資の回復は、キャッシュフロー拡大を背景にした製造業の循環的な投資行動によるものであり、構造的なバランスシート調整の終焉を意味するものではないことを確認しておかなくてはならない、と言う。